第7話 三つ巴
「おはようございます。ご主人さ・・・・ま?」
「あぁ・・・おは・・よう。」
何故二人とも固まっているのかと言うと・・・・。
『ギュウ~』
いつの間に入ったのか知らないが、俺の隣で寝ている青い髪の少女に原因がある。
しかも思いっきり腰に手を回し抱きついていたのだった。
クリスの表情がとんでもないモノに変わる。
「ちょっとアナタ!!!!寝たふりするのもいい加減になさい!!!というか早く洋服を着なさい。」
そう青ちゃんは未だに全裸だった。
「・・・・・・・ちっ。」
青ちゃんが舌打ちをした気がした。
青ちゃんがメイド服に着替える間クリスのお小言が続く。
「ご主人様は油断されすぎです。まだこの子だから良かったものの敵の人間だったらどうなさるおつもりだったのですか?」
「あぁ・・・悪かったよ。気をつけるから朝からそんなに怒んないでくれクリス。それに敵だったらクリスが守ってくれるだろ。」
さいきんヨイショが上手くなった気がしないでもない。
クリスも満更ではない表情だし。
すると青ちゃんが俺の服を引っ張りながら言った。
「・・・・・・・名前。私も。」
どうやら青ちゃんも名前が欲しいらしい。
「そだな・・・アオラってのは?」
もちろん名前の由来はクリスと同様である。
パルの適当さは相変わらずであった。
「・・・・・・アオラ。」
どうやら気に入ってくれたようだ。
抱きしめて離そうとしないアオラ。
それを殺気全開でにらむクリス。
・・・・・幸せな時間は終わったのだと理解した瞬間でもあった。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
朝食を食べながら今日の予定を考える。
「やはりあの赤い髪の子も探さなくちゃな・・・。なんとかならないの?場所を特定する魔法みたいな。」
「私の魔法ではどうすることも・・・アオラ?あなたならどうにか出来るんじゃない?」
「・・・・・・・・無理。」
本当かどうかはさておき協力はしてくれないみたいだ。
三人の仲が悪いのは今後どうにかしなくてはいけない。
大きな課題になりそうだ。
「よし、今日はみんなであの子を探そうか。このまま放置する訳にはいかない。」
「そうですね。私もお手伝い致します。」
「・・・・・・・・・・・・・・分かった。」
一言に探すと言っても方法は特に無い。
人に尋ねていく人海戦術だけが頼りだ。
外に出るとたくさんの人が街を慌ただしく駆け回っている。
街は先日のソラエル消滅の話題で持ちきりで、この街も消滅するのではないかという話が中心。赤髪の少女を見たという情報は全然手に入らない。
「街を出るか・・・?」
「すれ違いになる可能性もあります。街の外は危険ですし得策ではないと思います。」
「・・・・危険。」
二人に言われて考え直すが・・・なんだか見つかる気がしない・・・。
そんな時だった。
「よう兄ちゃん。昼間から二人も可愛い子連れてどこ行くんや?二人もそこのひょろいモヤシ野朗と遊んでないで俺と遊ばねぇか?」
・・・・・勇者が現れたのだ。
「おっさん・・・。この二人には喧嘩は売らないほうが・・・」
オッサンの為に言ったのだがオッサンは逆上する。
まぁ当たり前ともいうが・・・・
「二人に喧嘩なんか売ってないっちゅうねん!!!お前に消えろって・・・・・・・」
オッサンは最後まで言葉を繋げることは出来なかった。
クリスが思いっきり腕を有り得ない方向に曲げている。
「これ以上の侮辱は許しませんよ。うふふ。」
クリスの目は笑っていなかった。
アオラに至っては氷のナイフを首に付けていた。
「二人ともほどほどにね・・・・」
弱者は強者を止めることは出来ないのである。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
「でだ・・・おっさん赤い髪の女の子見なかったか?ボーイッシュな感じの子だ。」
オッサンは右腕を抑えながら返した。
「そ・・そういえば、奴隷市場で見かけた気がする。だから・・・頼む!!もう見逃して・・・・下さい。」
おっさんは泣いていた。
本気で号泣していた。
・・・・初めての新しい情報だった。これは行くしかない。
「ありがとな。おっさん。」
「次はありませんよ。」
「・・・・・・・」
なんだかオジサンの自業自得なんだが可哀想に思えてきた。
このままそっとしておいてあげよう。