友の世界征服
私は久しぶりに外へ出た。
何年物の引きこもりかも分からない。
遮るもののない空にはギラギラと照り付ける太陽が何もない荒野を熱していた。
そう、何もない荒野が私の目の前には広がっていた。
「久しぶり」
急に背後から声が聞こえた。聞きなれた懐かしい声が……。「元気にしてた?」
声を聴いて私は、きっかけの記憶を呼び覚まされた。
『あのさ、僕、世界征服をしてみようと思うんだよね』
笑顔で、言った。
『あぁ、そうなの、いいんじゃない?』
私は寝ころび、漫画を読んだまま、適当に返した。『楽しくやりな』
「ここって、僕たちがいつも通学に使っていた最寄りの駅だった場所だよね。懐かしいなぁ」
背後の声が続けて言った。
「本当に、ここまで……できる……なんて、驚いたよ」
震える声で言った。
自分の軽はずみな言葉がこんなことを引き起こしたと思い、胸が締め上げられ、涙があふれ出しうめき声をあげた。
「すごいでしょう? 僕たちが住んでいた時は、ビルがそこら中に建っていて、空もあまり見えなかったのに、今では自然現象を遮るような人工物の一つも、山の一つもなくなって、平坦な三百六十度の地平線ビュー」
自慢げに言った。
なぜあのとき、こいつの言葉を軽んじて、止めようとしなかったのだろうか。
うつむきたいのをこらえて、振り向いた。
すると目の前にいたのは、あの日最後に見た姿と何も変わりない、親友の姿だった。
「ほんとうだ、親友以外、地平線と空しか見えない。雲もない……」
再び涙があふれた。
「これで、世界に僕たち二人だけ、あなたが降伏すれば世界征服は完了する。親友はどうする?」
答えを言おうとしたとき、時すでに遅く、私の意識は途切れ、長く目覚めることはなかった。




