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戦い済んで

千隻もの艦が拿捕され、ほぼ同数の補給艦と物資が奪われたトークォは即座に停戦を申し出た。

当然のことなれど、講和会議はサーカ側有利に進んだ。

トークォは今回の件で政権が倒れ、軍部の首脳も総退陣。

拿捕された艦船、物資の所有権は賠償金とともに(というか、賠償金代わり?)サーカのものとなった。


交渉に臨んだのはあの美魔女の軍人さんだったらしい。

どうも開戦の切っ掛けになった事件がトークォ側の謀略だったという証拠もこの人は疾うに握っていて、それを交渉のカードにしたようだ。それ故、交渉のテーブルにサーカ側の中心人物として座っていたとか。


しかし、宇宙艦隊戦未経験の俺に指揮をとらせるとは、どういう神経をしているのか?

俺たちが失敗してもどうにかできる算段があったのだろうか。


本来、すぐ地球に帰ってもよかったのだが、サーカの防衛を安定させないと再びトークォが進攻してこないとも限らない。

それに地球人の俺が指揮をとっていたことがすでに知られている。


「まぁ、知らせたのは誰かは見当はつくが…確証はないからなぁ」


というわけで、トークォを放っておくと報復が地球にまで及ぶかもしれないし、面倒だが仕方がない。


そこで『アステロイドベルト防衛圏構想』として今回の戦闘のやり方を応用しての国防を提案、実施することにした。

今回使った誘導装置と機動兵器を改良したものを配備し小惑星を自在に動かせるようにした。

これで航路の掃海が楽になり、航宙がかなり安全かつ自由になった。

もちろん、この装置で小惑星を操り、敵の侵攻を妨げる防御壁として活用することもできる。


航宙の自由さと安全さの向上で物流コストが一気に下がるだろうと経済界も歓迎し、多額の資金提供を受けることができた。

軍、経済界による多額の投資で経済が一気に活性化。景気が良くなった。

この点は想定外だったが、


『すべて計算のうちさ…。』


ということにしておいた。


艦載機の多くは廃止。今回の戦いで活躍した四本足の機動兵器を主力とすることとなった。

これは宇宙作業用のポッドに高速バーニアと火器をつけただけのものだ。メーダに集めるよう頼んだのはこれだった。

機動兵器の有用性を認めた軍部は、この研究・開発を直ちに進めだした。

四本足ゆえに小惑星に激突しそうになった時も小惑星を蹴り飛ばしたりしがみついたりできるので、今まで困難だった小惑星帯の飛行も容易になるだろう。


これらの改革を後押ししてくれたのが例の美魔女の軍人、ヨーダ・バーシ少将…いや、今は自分を指揮官に推した功績で中将だ。

アイディアを出した俺と開発を担当したノージとビースを公正に評価し、賞賛してくれた。


「まぁ、何か思惑はありそうだが今は放っておいていいだろう。」


機動兵器の高性能試作機として俺用のMSが作られることとなった。


「MS?モビルスー…」

「いや、MSでいいから。」


メーダ君。オトナの事情がいろいろとあるんですよ、地球には。いや、にも…だろうな。


動作は自分の体の動きがダイレクトに伝わるモーショントレースシステム。

姿勢制御などは精神(脳波)誘導で行う。


このへんは医療の義手、義足などの技術が応用された。

最近はクローンによる再生が主になったため、廃れかけていた技術だったが、おかげで再度日の目を見て業界が活性化し経済も潤った。無論、賠償金による経済効果もあった。


だが、人々は俺の知略のおかげ!地球の名将は経済にも通じている!

と大騒ぎだった。


「間違いなく、だれかが煽ってるな…。」


メーダが苦笑いをする。たぶん、彼女の頭にもあの美魔女の微笑が浮かんでいるだろう。


メーダが淹れてくれたくれた紅茶を飲みながら考えていた。

早く地球に戻らないと、まだまだ色々と利用されるだろうな…と。

戦後もいろいろな仕事に奔走する矢上。

だが、何とか地球に帰れることとなった。


地球人初めての恒星間航行の旅が始まる。


次回「提督誕生」


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