第3話 変革の後、そして
後日、四大公爵を中心として各処分の正式決定がおこなわれた。
ミカエラから国庫金を受け取っていたルルアの実家である、キシュラー男爵は違法賭博をしていたことがわかった。賭博で抱えた借金を返済するために、キシュラー男爵はルルアにミカエラに頼み込むように依頼をしたのだという。
キシュラー男爵家は爵位を失うこととなり、ルルアを含めて平民として生活をしている。
国王と王妃、ミカエラはというと、ウィンダルスの辺境の地で過ごすこととなった。
国民から不正に取り立てた金は国民への一時金として戻されるそうだ。
加えて、国王たちは平民として農作業に従事することとなった。
四大公爵の内の一人であるミシュタル公爵が彼らの監督責任者となり、給金の一部を向こう十年間徴収して、差別を受けていた平民たちに支給するようにした。
一方、リディはぼうっと学院の屋上で空を見ていた。
すると、彼女に人影がかかる。
「政務のほうはいいのですか?」
「ああ、ちょっと休憩だ」
第二王子エヴァンは、次期国王として四大公爵に助けられながら政務をおこなっていた。
「神位制度」は撤廃されたが、人々の記憶や意識からそれがなくなるにはもう少し時間がかかるだろう。
「ああ、疲れる。あの気難しいキルビス公爵と軍事話を話すと長い!」
「キルビス公爵は国防のトップ。あなたもよく小さい頃はしごかれてましたね」
「ああ、おかげで剣技は誰にも負けたことがない」
「よかったではありませんか」
「納得いかない……」
エヴァンは不満そうに口を尖らせている。
「そういえば……」
「ん?」
何かを言いかけたリディに、エヴァンが返事をした。
そんな彼と目が合うが、リディは笑って首を左右に振った。
「いいえ、なんでもないわ」
「なんだよ、変なの……」
そうして少しの沈黙が流れた後、エヴァンは口を開く。
「なあ、リディ」
「なんでしょうか?」
「俺が王位欲しさに今回のことを企んだとか疑わないの?」
二人は目を合わせずに空を見ている。
「そんな器用なこと、あなたにできっこないもの」
「ひどっ!」
彼女の心を掴むまで何年かかるのだろうか、と彼は思った。
(ふふ、きっとエヴァンね。私に陰口をいっていた彼女たちに私に謝罪に向かうように言ったのは……)
リディは青く晴れた空を見て、眩しさに手をかざす。
「よく晴れた日ね、今日は」
こんな二人が未来の国王と王妃になるのは、もう少し先の話だ──。




