表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

第2話 さあ、いざ変革の時

 卒業式の最中に行なわれた婚約破棄──。

 ざわめく講堂内で、国王の声が響き渡った。


「エヴァン、お前っ! なぜ王族席へと来た。お前の席はあちらだろう!」


 突然、在校生の席から王族席に姿を現したエヴァンに国王は驚きながら叱った。


「いやあ、父上。それに母上、兄上。お話があったので、参りました」

「話だと?」


 エヴァンの言葉に王妃とミカエラも怪訝そうな顔をしている。

 一気に注目はエヴァンへと向いた。


 そうして、彼は『一級公爵書』を胸元から取り出すと、それを国王の方へ向けた。


「なっ!」


 国王だけでなく王妃もミカエラも目を見開いた。


「これが何か、おわかりですね?」

「『一級公爵書』……だと!?」


 エヴァンの後ろには四人の公爵が控えていた。

 そのうちの一人であるグラス公爵が一歩前に出て国王に進言する。


「恐れながら、陛下。私とあなたはもう三十年以上の付き合いでございます。だからこそ、あなたが真っすぐ国の政治に向き合っていたあの時に戻ってほしかった。けれど、もう、こんな『鴉』の言葉を聞き届けてくださらなかった……残念です」

「グラス公爵……」


 グラス公爵は胸元のブローチに手をやった。

 それは若かった頃の二人の絆の証として、国王からグラス公爵に贈られたものだった。


「父上、あなたは国民から十数年不当に税を取り立てていた。そして母上もそれに気づいていらっしゃいましたね」

「なんのことだ……」


 国王も王妃もしらを切る。

 国王は冷静に対処しようとしているが、王妃は動揺を隠しきれずにわずかに手が震えている。


「兄上、あなたは国庫金に手をつけて、ルルア嬢の家に多額の金を渡していた」

「なんだとっ!?」


 ミカエラの行為を聞き、叫んだのは国王だった。


「お前はなんということをしたんだ!」


 ミカエラはバレないと思っていたのか、ガタガタと震えだして青ざめていく。

 ルルアもまずいと感じているのか、さっきまで得意げだった顔も白くなっている。


「四大公爵当主から私に要請がありました。『一級公爵書』をもって、一つ、国王と王妃、第一王子から王族の位を奪うこととする。そして、もう一つ、不当な身分制度である『神位制度』の撤廃をする」

「なっ……」


 いくら国王と言えども、『一級公爵書』には逆らえない。

 王妃は絶望の色を見せ、その場にへたり込んで泣き始めた。


「父上、母上、兄上。これは私からの最後の願いです。国から出て行けとは言いません。ですが、その身をもって罪を償い、そしてこの国の現状を、民の声を聞いてください。百年前にできた「神位制度」が生み出した闇を、そしてあなたたちがその闇を広げてしまったことの罪を、その目で確かめてください」


 エヴァンが言い終えるのを見届けると、リディはミカエラに向かって言う。

「あなたはわたくしを『獅子』だから、と優遇した。そして、子猫のように弱いと嘲笑った」


 リディは力強く告げる。


「強い者が弱い者をいじめてどうするのですか。強い『獅子』が、弱い者を助けなくてどうするのですか。私はあなたが強さに溺れてしまわないことを願っていました……」


 リディはミカエラに背を向けて講堂を後にした──。

ブクマや評価などありがとうございます!

とても執筆の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ