ふしぎなみかん
さっちゃんは、1歳の赤ちゃんです。
おかあさんは、さっちゃんのお世話で大忙しです。
さっちゃんは歩くのが大好きで、家の中をちょこちょこ、ずっと歩き回っています。
そして、歩きながら、そこら中のものを手当り次第に、ぽいぽい投げ散らかすのです。
「ふぅ、疲れた。片づけても片づけても部屋が散らかされるわ」
おかあさんは、
「おさんぽでもしなくちゃ」
と言うと、ベビーカーに、さっちゃんを乗せて外にでました。
すると、どこからか、めがねのおばあちゃんがやってきました。
「おさんぽかい?」
「ええ、もう家にいても大変で……」
おかあさんが言うと、めがねのおばあちゃんは、
「みかんをあげるよ。ふたりでおたべ」
と言うと、みかんを2つくれました。
「ありがとうございます!」
おかあさんは、おさんぽから帰ると、めがねのおばあちゃんにもらったみかんを食べようと思いました。
さっちゃんに、みかんの皮をむいてあげようとしたとき、さっちゃんが、みかんの皮をつかんで、ぽいっと放り投げました。
すると、みかんの皮から歌が聞こえてきました。
疲れたからだに みかん みかん
心も ほっこり いい気分
みかん かん かん いい予感
きっと いいこと あるはずさ
だから おかあさん たのしんで
さっちゃんと いっぱい わらっちゃおう
「あれれ?ふしぎ。でも元気がでたわ」
おかあさんは、さっちゃんといっしょに、もうひとつのみかんを食べました。
みかんのさわやかな香りが、部屋の中にひろがりました。