53. 美晴と由加とお風呂
(美晴と由加とお風呂)
帰りの車の中で美晴から電話があった。
「なにやっているのよ―、昨日から携帯つながらないし……」
「あ、ごめんごめん、忘れてた……」
「ご挨拶ねー、私のこと忘れるほど、そこは楽しいところなのねー」
「いえ、ちょっとその、複雑で……」
「あんた、また男ができたでしょうー」
「何で、……?」
「毎日、何だかんだと電話してくる幸子が、二日も連絡がなかったら、男に決まっているじゃないー」
「そんな、男好きみたいなことを言わないでよー、でも、美男子がいっぱいいるのは確かねー」
「ほーう、そこにはいっぱいいるのねー、やっぱり……、ところで、私はどうすればいいのよー?」
「今どこなの……?」
「あなたのいたペンションよ!」
「あ、ほんとうー、今そこに向かっているから、後一時間くらい……、いい男一杯もって帰るから、それで許してー」
「ほほーお、楽しみにしているわー」
もうすっかり日が暮れてからペンションに着いた。
遥さんと美晴が迎えてくれた。
「美晴、久しぶり、逢いたかったー」
「それにしては、私を今日一日ほっぽいてくれていたわねー」
「ごめんごめん、でも、こんなにいっぱいお土産もってきたから……」
私は後ろで車から荷物を降ろしている美男子たちを指差した。
美晴は男たちを見て、表情が変わった。
彼女は入学いらい男には興味が無く、いつも私の体ばかりを狙っていた。
「これには深い事情があるのよ。おいおい話してあげるから……、まずはお風呂に入りたいー」
「疲れたでしょうー、お風呂も食事も用意してありますから、さー、なかに入って……」
私の言葉を聞いて、遥さんがペンションの中へと誘ってくれた。
「それと、昇さんの山岳部の仲間、電話で話したように今日泊めてもらうから……」と私は付けくわえた。
「もちろん用意できていますよー、さー、皆さんどうぞ……」
山の稜線が少し赤みを残していて、夜空には星が見えた。
昨日の山とは違い、やっぱり下界は落ち着く。
私は部屋に荷物を置くと、さっそく美晴とお風呂に行った。
私が裸になると、この時とばかりに、美晴は背中からおっぱいをわし掴みにして抱きついて、頬で背中を撫でる。
「あーあ、この肌が欲しかったのよ……」
「もう、何やってんだかー、由加ちゃんが見ているわよ……」
私は無理やり美晴の手を解き放した。
「由加ちゃんて、あの幽霊な子?」
「そうよー、こういうことは、しっかり見ているんだから……」
「わかったー、お姉ちゃん背が小さいねー」
由加ちゃんは、私たちと一緒にお風呂に入るのか、今は裸で美晴の後をさっちゃんを抱いて付いてきていた。
「ほら、やっぱりねー、美晴のこと、背が小さいねって……」
「ここにいるの……?」
「美晴の後ろよー」
美晴は、思わず振り返った。
「誰もいないよ……?」
「だって幽霊だもの……」
「こらーあ、由加、出てきなさい!」
美晴は両手を上げて、後ろにいると思われる由加ちゃんを、めちゃくちゃに動き回り追いかけまわした。
由加ちゃんは突然追っかけてきた美晴に驚いて、きゃあきゃあ言って逃げ回った。
「美晴、裸で何やっているのよー、由加ちゃんが喜んでいるわー」
「あー、疲れた……、でも、大変なものにとりつかれたのねー」
「そんなひどいこと言わないで……、私の大切な友達なんだからー、ね、由加ちゃん……」
由加ちゃんは大きく頷いた。
「それでも、どうして幸子には見えるんだろう……、私にはぜんぜん見えないのに……」
「私、本当はもうじき死ぬかもしれない……、由加ちゃんの見える人は、もうじき死ぬ人と死んだ人……、そう言えば、山であき子さんっていう女の幽霊にも出会ったわ……、生きている妹さんに伝言を頼まれたわ」
「それはいいねー、ひと儲けできるかも知れない……」
「小説のネタにするの?」
「違うわよー、幸子を霊媒師として売うりだすのよー、幸子は顔もいいしスタイルもいい、そのうえ霊媒師と来たら鬼に金棒、テレビや雑誌に引っ張りだこよー、私マネージャーやってあげる、みはるプロダクションの看板女優よ!」
「なにいってんだか、その前に死んじゃうわよー」
「それも困るわねー、死ぬ前にしっかり稼いでもらわないと……」
「どっちを心配しているのよー、他人事みたいに……」
私は、あきれ顔でサンルーフから見える星空を仰いだ。
由加ちゃんは、この話には関心がないみたいで、湯船の中から美晴のおっぱいをじっと見ていた。
そうなんだ、美晴は背が低いわりにカップでいえば私よりも大きい、大きくて形がいい。
背が小さいということも手伝って、美晴のおっぱいはかなり目立つ。
「由加ちゃん、触りたいの?」
「うん、お姉ちゃんのおっぱい大きい……」
「じゃ、代わりに私が触ってあげるー」
「何を触るって?」
「由加ちゃんが美晴のおっぱいが大きくって、触りたいって、でも触れないから私が触ってあげるの!」
私は美晴の返事よりも先に、さっきのお返しとばかりに美晴のおっぱいを両手で掴んで、ぶらぶら揺らした。
「あーあー、気持いい……、もっと乳首の方を……」
美晴は、やっぱり逃げずに気持ちよさそうにあえぎ声をあげた。
「美晴、それ感じすぎ……、由加ちゃんが見ているから……」
美晴は、突然湯船にすっくと立ち上がって……
「さー、おいでー、私のおっぱいはこんなんだよー」
美晴は自分でおっぱいを掴みぶるぶる揺らした。
由加ちゃんは、美晴の前まで寄ったとき、美晴は両手を拡げて由加ちゃんを捕まえようと湯船に飛び込んだ。
「きゃあ、もう何やってんのよ!」
美晴が飛び込んだおかげで、水しぶきが私の頭から覆いかぶさっりずぶ濡れ。
由加ちゃんは、私の横に逃げてきた。
「由加ちゃんを捕まえて、うちの女優にしようと思って……」
「何考えているのよー」
「私、テレビに出ようかな……?」
由加ちゃんは真面目に言った。
「幽霊がテレビに出られるわけないでしょうー」
もう、どいつもこいつもって感じだ。