41. 勇気の出し方
(勇気の出し方)
話し終わると昇さんは、また一口コーヒーを口にした。
「ちょっといい話ね……、私もその勇気の出し方、使わせてもらうわー、でも私の場合は、人のためだったら何でもできそうな気がするわー、美晴のため、お母さんのため、由加ちゃんのため、昇さんのため、多分、私に子どもができたら、子どものためっていうことかなー、それと絵を描くためなら何でもできそうな気がする。自分自身には、あまり関心がないからー、でも自分のために死にたいと思ったら私、本当に死んじゃうかもしれないわ……」
「おいおい、それも困るけどねー」
昇さんは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「でも、それを教えたお父さんって、昇さんの言うように、本当に頼もしいお父さんねー」
「あとから聞いたんだけど、お父さんのお父さんも登山家で、お父さんからやっぱり同じように教えられたんだって……」
「筋金入りのアウトドア一族ねー」
昇さんは嬉しそうに、またコーヒーを口に運んだ。
彼のこれまで生きてきた生活が見えるような気がした。
「そう言えば、昇さんは何を専攻しているの?」
「教育学部……」
「うそ、じゃ先生になるのね!」
「だから、ならないって、ビジターセンターに就職が決まっている」
「あ、そうねー、山が好きだからねー、でも教職とって、先生にならないのは、もったいないわねー」
そっか、この人の話術は教師の気質から来ているんだ。
私も一息ついて、コーヒーカップを取った。
「みんなにそう言いわれるよ。でも教育を勉強するうちに、今の日本の学校教育に疑問がわいてきたんだ。今は先生にならなくてよかったって思っているよ」
「どんなふうに……? どんなふうに疑問に思っているの?」




