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この異世界に救済を  作者: 秋月良羽
第一部 アルーラファル国フロンティラ領~変わり者の領主と防衛戦~
52/234

第52話

『この異世界に救済を』以外にも以下の作品を投稿しています。


『水晶』(「小説家になろう」で投稿中);https://ncode.syosetu.com/n5361ga/


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中);https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『この異世界に救済を』のあらすじは、有輝とイルアーナはフロンティラベルトを拠点にスペーグラ活動を再開する。一方で、裏では有輝とイルアーナというギフトの所有者を狙うアルーラファル王国が狙っていて―…。

 「では、アルーラファル王国がフロンティラ領へと攻める経緯に関しては、キーネとの会話で察してもらえると思える。

 だが、ここから考えられるのは相手側の動向だ。

 そのことで予想されることは何だろうか?」


 と、ハルバーラが司会進行のようなことをしてしまう。

 まあ、トップが信仰した方が楽なので、しているだけと思いますが―…。

 一人の人物が手を挙げる。


 「はい、外交部のフィルダード=クリスターナ。」


 ハルバーラは手を挙げた者に解答するように促す。

 その人物は、女性であり、年代から感じさせられないぐらいにしわがなく、美しい女性であるが、同時に、普通の人間には制御できないほどの大物感を漂わせている。


 「まず、アルーラファル王国のことですから、自国内のことなので、使者を派遣してくることが想定されます。

 そして、確実に、ギフト保有者に関して、アルーラファル王国国王に渡すように要求してくるでしょう。

 その場合、必ず従わないことに関する条件を付けてくるでしょう。

 その条件が、アルーラファル王国国王の言うことを聞かない場合、フロンティラ領を攻めて、無理矢理でも要求を飲ませると―…。

 それに、ハルバーラ様は、アルーラファル王国国王にいろんなことで恨まれているので、その好機と思って、大量の軍勢を動員してくるでしょう。

 こちらも防衛のための軍勢を動員するのには時間もかかりますし、外交交渉へ赴いても、あちら側は一切、私たち外交部の言っていることに耳を貸さないどころか、使者すら平然と殺してきて、自慢してくる可能性が高いです。

 要は、交渉不能の相手だとみなした方が良いです。

 軍事に関しては、軍事関係の者が言ってくれることでしょう。」


 クリスターナは言い終え、席に着く。

 対策を一つも言わずに―…。

 というか、アルーラファル王国が今、しようとしていることを正確に言うとは―…。

 それに結論として、交渉不能と判断するなんて―…。

 まあ、外交は命がけでなされることもあるのだからねぇ~。

 フォングラでは、他国との交渉は命がけというのが往々にして存在したりしますから―…。

 だからこそ、相手をしっかりと正確に理解することが重要であったりするんですよねぇ~。

 自分の命は大切ですからねぇ~。

 勿論、私も自分の命が大切ですけどね。

 そして、クリスターナの発言の後に、空気を読んだのかフロンティラ領軍のトップ元帥のラダ=キーラフが発言する。


 「発言をさせてもらう。

 私としては、軍事戦になった場合、軍団を半分以上動員することになるだろうし、スペーグラにも協力してもらう。

 そうしなければ、アルーラファル王国軍から完全に防衛するのは無理だからな。

 だけど、スペーグラ達には、それぞれ遊撃を担当してもらい、こちらとの連携も確認しないといけない。

 あいつらにもあいつらのやり方というのがあるからなぁ~。

 俺らにも……だが―…。

 そして、スペーグラの召集は依頼という形にしてくれ。

 それと財務部には、スペーグラ達には、功績によって報酬をしっかりと払ってもらいたい。

 あんたがたも、フロンティラ領の発展のために投資したいという気持ちはこちらも分かっておるが、今はフロンティラ領をアルーラファル王国から守ることができない以上、その投資すらできなかったりする。

 済まんが、お願いいたします。」


 ラダは、財務部に頭を下げるのだった。

 財務部のトップは、領主の正妻であるので、軍部よりも権力が強かったりするので、こうやって頭を下げないといけなかったりするのだ。

 予算、というかお金がなければ、兵士の糧食やら、馬に食べさせる秣《まぐさ》を供給することもできなかったりする。

 現地調達も可能であるが、なるべくそのような手を使うのはよろしくない。

 なぜなら、持久戦になればなるほど、現地から調達量は増えるし、現地に住んでいる人々の食べる分まで徴発しないといけなくなり、不満を抱かれることになり、反乱を起こされる可能性も存在するのだ。

 自分達で、しっかりとある程度は供給しないといけない。

 自分達の領土なのだから、生産物を生産してくれる人々を大事にしないといけない。

 彼らがあってこそ、領地の支配を成り立たせることができているのだから―…。

 そのことを忘れてはいけないし、国に置き換えても同じことが言える。

 これを理解できない人がある国では多すぎるんだよなぁ~。

 やっぱり人って、愚かなことをすることがあるんですよねぇ~。

 それを扇動するのは、馬鹿としか言いようがない。

 過去を本当の意味で学ぶことができず、都合の良いハッピーエンド感動ストーリーにでも歴史を変えているのだろうか。

 馬鹿であり、愚か者としか言いようがない。

 さて、話を戻しましょう。

 言ったところで、今の私の言っていることを本当の意味で理解するのは難しいでしょう。実際に経験して、後悔しなければ本当の意味で出来ない人が多いですから―…。

 今の私の言葉は威張っているように、傲慢そうに聞こえるかもしれませんが、ふざけたことは言っていませんよ。


 「分かっているわ。私も今のフロンティラ領の状況ぐらい。

 それに、そのように頭を素直に下げてくれる人がトップだと、私も安心して予算を出すことができるわ。

 そのような謙虚さと視野の広さを軍関係のトップには持ってもらいたいものよ。

 軍事しか頭にないトップなんていらないわ。

 経済とか、政治とか、科学とか、そういう諸々の人々の思考ができない軍人はいつか国を駄目にするだけだわ。」


 と、財務部のトップであるキーネ=フロンティラは言う。

 彼女にとって、トップという人材は一つのことしか考えず、周りのことを考えない者ではなく、周囲をも気を遣えるトップなのである。

 ハルバーラという存在がいるので、それぞれのトップはそのような存在で十分なのだ。

 軍事の利益ばかり考えれば、経済的な利益を犠牲にすることになる場合だって存在するし、そうすれば、結局、軍事の利益も将来的に損失するだけとなる。

 ある意味で、キーネさんの言っていることは正しかったりする。

 上に出世するほど、視野というものを広げないといけない。

 その視野なくしては、より良い判断を下すことはできなくなってしまうんですよねぇ~。

 で、気づいていないことが多かったりするのが、さらにマズかったりするんですよぉ~。言っても分からないなら、経験するしかないのか。悲しきや。

 それは多方面への理解と同時に、彼らの思考を理解しないといけないのだから―…。


 「そのように私を評価していただき有難い。」


 と、ラダは言う。

 頭を下げながら―…。

 本当に、謙虚な軍人だな。

 だからこそ、軍人からの多くからも、周囲の人々から信頼される。

 実力は折り紙付きである。


 「謙遜しなくても、事実を述べただけよ。」


 と、二人の会話が終わると、財務部が予算を出すことは決まったようだ。

 今回の防衛費に関するものを―…。

 まあ、対外危機を煽ったわけではないし、ちゃんとした危機なので、財務部も予算を出すことには同意するのですよ。

 現実には、敵国が攻めてきたり、敵国を恨むようにしたりして、彼らがどうして敵対しているのか、その理由をも理不尽なものであると改竄して、さらに、敵対しようとしているわけでもない国を敵国扱いしたりする奴らもいたりするんですよ。

 そういう奴らに限って、敵が攻めてきた時に、役に立たないどころか、先陣で行くわけでもなく、自分は安全なところで、ゆっくりと一般の人々へと戦うことを煽って、人々の命を多く犠牲にさせたりするんですよ。

 その責任すら取りませんから、ああいう奴らは―…。

 だからこそ、戦争なんて、一般の人々には何の得もないですし、不利益を被るだけですよ。

 本当に世の中はままならぬことばかりだ。

 そして、話は続いていく。


 「農政部です。今回、アルーラファル王国との戦いである以上、領境の村では糧食の被害が出るかもしれません。

 ということで、彼らが再建できるための費用もお願いいたします。

 費用に関しては、予想を事前に財務部の方にお教えいたしますが、現実の被害はどうなるか分からない以上は、予想を超える可能性もあり、そのことを含めて、あらかじめ費用を出していただき、予想より超えていない被害の場合は、残りの分は財務部で好きにフロンティラ領を発展させる費用に使ってください。」


 と、農政部のローア=ゴルディアードは言う。

 手を挙げることも忘れ、要求するのだった。

 この人物は、空気を読むことはあまり得意ではないが、事前に予測することに長けており、いくつかの可能性を提示したりする。

 情報を与えられれば、大抵のことに対して、解決策を提案することができる。

 いろいろな問題が次々へと発生することが多い農政部のトップにはうってつけというわけだ。

 そして、空気を読めない要求にもすぐに、肯定的返事を浮かべるキーネだった。


 「わかったわ。」


 (ローアは空気が読めないが、それでも、農業やら林業の問題を疎かにすると、危険だわ。

 人は食事をとらないと生きていくことができないし、都市である以上、水や排水の確保は絶対だし、そのための維持費と同時に、問題が起きた場合にすぐに放置せずに対処しないといけない。

 ここを疎かにすると、文明自体も崩壊していくことになるのよねぇ~。

 面倒くさいと思っても、ちゃんと予算を出さないといけない。やり繰りが難しいわ。)


 キーネは心の中で溜息を吐くのだった。

 そして、この会議はいろんな意見が登場し、何とか方針を纏まることになった。

 フロンティラ領を防衛するために必要なこと、被害が起きた時の支援とかで―…。


第53話 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿日は、2023年9月16日頃を予定しています。

では―…。

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