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プロローグ
…身体が痛い。動かす事が出来ない。
朦朧とした意識の中、ゆっくりと目を開ける。
薄い意識の中、視界に入ったのは、半狂乱で
地に伏せる敵と、
ーーーーその敵に、銃口を向ける小柄な女性。
一気に状況を把握し、身体の痛みを堪えながら、できる限りの声を彼女にかけた。
「だめっ…だめぇええええ! 和臣さん!!!
やめてぇぇぇえええ!!!」
叫び終わるや否や、その瞬間に祖母に抱きしめられ、顔を塞がれた。
ーーーー刹那、銃声。
どうしてこんな事になったのだろう。
この世界は みんなが幸せに楽しく暮らせる
場所では無かったのか。
なぜ この人が 苦しまなければならないのだろう。
身体は大人になっても、私は子供だから分からない。
「夏ちゃん、大丈夫よ、大丈夫だからね…」
普段の祖母よりも若い女性の手で頭を撫でられる。
祖母の体温で少し気が緩み、大粒の涙を流しながら、そのまま私は何かに吸い込まれるように、意識を失った。