表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/70

第一章 コロネ村防衛戦 〜はじめての侵入者〜

その日、異世界グラシアスの極西の国であるガルマン王国、さらにその極西にあるアーリア平原の中にひっそりと一つのダンジョンが誕生した。



世界はその誕生に気がつくことはなかったが、アーリア平原の程近くに位置するコロネ村は急な地形変動にすぐに異変を感じた。



人口が100人程度でわずかな狩猟と商業、農業で細々と生計を立てているコロネ村は貧しい。



村長をはじめ、商人、狩人、農民みな貧しい中でダンジョンの誕生はまさしく福音だった。



"ダンジョンを破壊したものは莫大な富を得る"



それがこの異世界グラシアスの伝説だったからだ。




「なぁチク兄、俺たちだけで抜け駆けして本当に大丈夫かなぁ?」



薄汚れた体にくるくるの巻き髪の小柄な男、タクは薄暗い森を歩きながら隣りを歩く同じ姿の男に声をかける。



「ビビってんのか、タク?

孤児の俺たちがこんなチャンスに巡り会うことなんてもう二度とないかもしれない。


そうだろ?」



莫大な富を前にして、抜け駆けを目論んでいる。

幼い頃に両親を無くした彼らはコロネ村で泥棒を働き、まともな職にもつかず文字通り泥水を啜って生きてきた。




目の前に現れたチャンスに飛び込んでしまうことも致し方ないだろう。

森のどこかでコウモリが羽ばたき、オオカミの鳴き声が聞こえる…。





ーーーーーーーーーーーーー


「はじめての侵入者は弱そうな男2人か…。」



サーチバットのスキル、監視によってダンジョンコアに浮かび上がった映像を眺める。



随分と痩せ細った男2人だ。

刃こぼれしたナイフに薄汚れた衣服と身なりも粗末で、とてもまともに戦えそうには見えないが…。




ー鑑定ー



種族名:ヒト

個体名:チク


力:30

耐久:30

敏捷:70

器用さ:70

賢さ:30

魔力:20

耐魔力:20


スキル

なし



種族名:ヒト

個体名:タク


力:20

耐久:20

敏捷:60

器用さ:90

賢さ:20

魔力:20

耐魔力:20


スキル

なし



見かけと違い、強敵であることも考えたが見かけ通り雑魚だったようだ。

敏捷と器用さは高いことから逃さないように気をつけなければな。



「わかっていると思うけど、ダンジョンコアを破壊されれば負け。



ダンジョンも、マスターのヤマトも消滅するにゃ。

つまり、、、」



シャボンが言葉を選ぶように言い淀む。

気を使ってくれているのだろう。



「つまり、情けは無用ということだろう?



心配してくれてありがとう、シャボン。

わかっている、こちらも命がかかっている以上誰も見逃すつもりはないさ。



魔物達にもあらかじめ、侵入者は誰であっても殺すように命じてある。」



そう、逃すわけにはいかない。

やつらを殺さなければ、次に死ぬのは俺だからな。



元は人だった俺だが、ダンジョンマスターになって人殺しへの忌避感は全く湧かないようだ。



「俺も出る。


はじめての侵入者だ。丁重にもてなさなくてはな。」




ーーーーーーーーーーーー




森も中腹にさしかかったころ、チクは違和感に気づく。

いつの間にか周りに気配があふれている。



「何かいるのか?


おいタク、気をつけろ何かいる!」



瞬間、藪に隠れた10匹ほどのゴブリン達が一斉に立ち上がる。

手には大きな石を持っている。


「グギャギャ‼︎」


体が2回りほど大きいボブゴブリンの合図と共に一斉に投げられた石がチクとタクの兄弟を襲う。



「ぎゃー!

タク!タク!逃げるぞ!!


おい、タク!クソっ!」



体中に石をぶつけられ、両腕の感覚がない。

タクは頭にも石をくらい、即死のようだ。



もつれる足を必死で動かし、逃げ出す。

クソっ!ダンジョンってのはこんなに危険な場所だったのか!



こんなことなら、こんなことなら、、、

目の前に現れたウルフが大きな口を開けて襲いかかっとくる。



それがチクの人生最期の景色となるのだった。



ーーーーーーーーーーーー


ー侵入者を倒しました。500魔素を手に入れました。ー


終わったか…。無事に侵入者を倒すことができたようだ。


「ウルフ、待て!」



侵入者の喉笛を噛み切り、なおも肉を食らっているウルフを止める。

敵の死体は合成に使えるかもしれないからな。



ー合成ー


バット×バット=ジャイアントバット 消費魔素 200

ゴブリン×ゴブリン=ボブゴブリン 消費魔素 300

サーチアイ×バット=サーチバット 消費魔素 200

タク×ゴブリン=???? 消費魔素500



なるほど、投石で即死したタクは死体が残っているため合成が可能だがウルフ達に肉を食われたチクの方は合成不可か…



侵入者の死体は損傷させずに合成に使った方が良いようだ。



「ウルフ、そいつは食べていいが今後は禁止だ。

そんなのよりもっとうまい肉を用意してやるからな。」



俺の言葉に伏せていたウルフ達が一斉に食事を再開する。


タクの死体と新たに召喚したゴブリンを合成すると目の前に鋭い目つきの素早そうな小人が現れる。



ー鑑定ー


種族名:ホビット

個体名:なし


力:50

耐久:50

敏捷:200

器用さ:200

賢さ:50

魔力:20

耐魔力:50


スキル

盗みLV1



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 括弧内のセリフでの改行は要らないかな。 二行も空いてると逆に読みづらい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ