第二章 魔女の思惑、盗賊の夢 ー盗賊と魔女ー
「行くぞ、カリン。」
私を捕まえた男、ベッツから声がかかる。
不思議な男だ。
首都ガルマンへ急いでいるのを止められ捕まった時は、殺してやろうかと思ったが私に暴力は振るわず扱いも丁重だ。
この男が睨みをきかせていなければ、私は何度か別の団員に殺されていただろう。
元々捕まえたのはこいつなのだから感謝する気などないが、目的を果たすまで生き残るためにはこいつのそばにいた方がいいだろう。
「行くって、、、、一体どこへだ?」
「ん、魔女の棲家へ。」
は?
今なんて言ったんだこいつは。
魔女の棲家ってあの?
「………はあああああぁあぁあ⁉︎
お前、本気で言ってるのか?
魔女の棲家なんて近づいたら間違いなく殺されちまう!
お前、自分で殺すんじゃなくて魔女に私を殺させようって言うのかい⁉︎」
魔女の棲家とは300年を生きるという伝説の魔女が住む棲家だ。
近づいたものは魔女の怒りを買い、絶対に生きて帰れないと言われている。
それをこのバカ、、、
まるで散歩にでも行くみたいに言いやがって‼︎
「大丈夫、…カリンは俺が守るよ。」
っこいつ、クサイ台詞を自然に吐きやがって……。
「チッ!
どうせここにいたら他の奴らに殺されちまう。
ついて行って、魔女に殺されそうになったらお前を生贄にして逃げ出すからな!」
「アハハ、そういうことは黙って実行すればいいのに。
カリンは優しいねぇ。
……っと誰かこちらを覗いているようだね。
いや、こっちの話。
行こうか、カリン。」
こうして、ベッツとカリンは魔女の棲家へと向かうのだった。
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ーベッツとカリンがコロネ村を出発してから3日後ー
「ここが、伝説の魔女の棲家‼︎
………意外と普通の家だな。」
私とベッツがコロネ村を出発して3日。
伝説の魔女の棲家と思わしき家の前に立ったのだが、目の前にあるのはレンガ作りの普通の家だった。
巨大動物の骨で作られた屋敷とか、魔法で作った巨大な要塞とかもっと恐ろしいものを想像していたんだが…。
「伝説の魔女も普通に生活しているってことだね。
さて、入るよ。
ごめんください‼︎」
私が呆然としている間に、あのバカ(ベッツ)は普通に扉をノックしてしまう。
「お前、もう少し慎重に…
魔女にバレたら‼︎」
いきなり殺されたらどうする気だ!
相手はあの魔女だぞ。
「まぁまぁ、俺たちは交渉に来たんだよ。
忍び込むなんて明らかに逆効果でしょ。
それに……もうとっくに使い魔に捕捉されていたよ。」
ベッツが指さした方向をよく見ると、遠く離れた木の枝に一匹の鴉が止まっている。
「あれが…使い魔?」
ただのカラスにしか見えないが…。
それよりもあんなところよく気がついたなこいつ。
「その通りよ。
そちらのイケメンくんは気がついていたのねぇ。」
ベッツがノックしていた扉から亜麻色の髪の美人が現れる。
あれが、魔女?
いや、間違いない。
ただ者じゃない、反抗したら殺されるということを本能的に感じている…!
「ふーん、なるほどぉ。
お嬢ちゃんは、凡人ね。
なんとか力の差がわかる程度の実力はあるみたいだけど。
イケメン君の方は……あらあら、ただ者じゃないわね…。
下手したら私より……まぁ、いいわ。
それでご要件は?」
魔女に警戒されるなんてベッツは何者なんだ?
この警戒が交渉とやらにどう影響するかが問題だな。
「いえいえ、私はただの盗賊の新入りですよ。
それでは、本題にはいる前に……
ハッ‼︎」
ベッツが懐から投げナイフを投げたと思えば、魔女の使い魔カラスよりも遠くにいた鳥?
何かに当たって落ちた。
「あれは、一体…?」
魔女の使い魔がまだいたのだろうか?
「うーーん、様子を見たところ魔女さんの使い魔ではなさそうだし…。
ダンジョン側の監視、ってところかな。
これでようやく邪魔なく魔女さんとゆっくり話せますね。」
あれだけ遠距離にいたダンジョン側の監視?とやらを撃墜するなんて化け物だな。
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優男と赤毛の大女側につけていたサーチバットが殺されたららしい。
魔女と話していた優男から何かが飛んできたかと思うと、映像が途切れてしまった。
魔女とやらもだが、あの優男相当な化け物だな。
殺されたサーチバットがギリギリ見える範囲で予備につけていたサーチバットは帰還させる。
あの優男の感知圏内に入れば無駄死にになりそうだ。
魔女と呼ばれた女と優男が何を話すかはわからないが、話しがすぐ終わったとしてコロネ村に帰るまで3日間。
できる準備を続けておこう。




