第二章 魔女の思惑、盗賊の夢 ー捕捉ー
コロネ村に盗賊が集まっている様子を、サーチバットの監視スキルで遠くから捕捉することができた。
拾った声から、ダブラ盗賊団という盗賊団らしい。
全体的に戦闘慣れしてそうだが、何名か突出して強そうなのがいるな。
男手がなくなったコロネ村を襲いに来たのか、
ダンジョンの情報を聞きつけて前線基地としてコロネ村を確保したのか。
「ほぼ間違いなく後者だろうな。」
俺のぼやきに、死霊軍団の進捗報告にコアルームへ訪れていたネクロマンサーが頷く。
「ははっ!
ヤマト様のおっしゃる通りと愚考致します。
盗賊団の人数はおよそ100名、それもかなり戦闘に手慣れております。
あの規模の貧しい村を占拠したところで、旨味は少ないかと。
以前のコロネ村侵略戦の報告にあった赤毛の大柄な女がいますし、情報源はあの者とみていいでしょう。」
このネクロマンサー、賢さのステータスが高いからか他の魔物とは一線を画すほど頭が良い。
魔素に予約ができたら名付けを行い、相談役あるいは総司令官にするのもいいだろう。
「ああ、コロネ村の時と違い奴らのほとんどが荒事に慣れた者達。
今回も厳しい戦いになりそうだな…。
ネクロマンサー、進捗報告の続きだ。
死霊軍の様子は?」
「は!
ヤマト様から召喚していただいて今日で10日、7体のスケルトンと3体のゴーストを召喚しております。
軍勢と呼ぶには心許ない数ですが、現在はコロネ村の連中が持っていた剣をスケルトンに持たせ、後方から私とゴーストが魔法による援護を行なう連携の訓練を行なっております。」
うむ、10日間ではそんなものか。
もう少し時間があって数を揃えられれば軍隊として機能したんだがな。
種族名:スケルトン
個体名:なし
力:150
耐久:150
敏捷:50
器用さ:50
賢さ:50
魔力:50
耐魔力:100
スキル
剣術LV1
種族名:ゴースト
個体名:なし
力:50
耐久:50
敏捷:50
器用さ:50
賢さ:150
魔力:150
耐魔力:100
スキル
闇魔法LV1
剣術
剣の使用に補正がつく。
闇魔法
闇の力の魔法を放つ。
死霊召喚レベルが低いため、まだ召喚できる魔物も弱いが将来性に期待だな。
「そうか、よくやってくれているな。
引き続き精進してくれ。」
「はっ!
ヤマト様の仰せのままに。」
死霊軍の進捗はまあまあだな。
ダンジョン全体でいえば、時間経過で得た魔素でウォータイガーを新たに21体召喚し、31体の近接部隊とした。
そのうち1体のウォータイガーにリンネルと名付け近接部隊の隊長に任命した。
ガブが使用していた鉄の大剣をドワーフのキンテツ、ギンテツに鍛えさせ装備させている。
リンネルの体格に合わせて調整した大剣はすこぶる調子がいいようだ。
種族名:ウォータイガー
個体名:リンネル
力:350
耐久:200
敏捷:350
器用さ:50
賢さ:50
魔力:50
耐魔力:200
スキル
怪力LV2、大剣術LV1
大剣術
大剣の使用に補正がつく。
今できるところで、できるところまで強化はした。
いつでもこい、ダブラ盗賊団!
ところが俺の決意とは裏腹にダブラ盗賊団はすぐには攻めてこなかった。
「金髪の優男と赤毛の女が隊列から抜け出してダンジョンを迂回しているな。」
方向的に逃げ出すわけではなさそうだが…
「サーチバット、2体で離れた男女を追え!
残りはコロネ村付近で待機。
目を逸らすなよ。」
さて、どうなることやら…。




