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間章 ーダブラ盗賊団ー

コロネ村侵略戦を侵略者側としてただ1人生き残った元女冒険者カリンは、一度コロネ村で旅の道具、食糧を調達しガルマン王国首都ガルマンへ急いでいた。



女性にしては体が大きく比較的足が速い方ではあるが、王都ガルマンまでは早くても1ヶ月半はかかる。


そこから冒険者ギルドや王城に連絡が回り判断が降りるまで半月、スムーズに討伐隊の編成が終わりダンジョンに辿り着くのは更に2ヶ月、計4ヶ月はかかるだろう。



それだけの時があれば生まれたてのダンジョンはかなり強化されてしまう。

今ならまだ精強と名高いガルマン王国軍であれば容易くダンジョンを破壊することができる。



一刻の猶予もないのだ。


「ハァ、ハァ、ハァ


運良く商人の馬車にでも乗せてもらえれば、半分の期間でガルマンに到着できる!」



カリンは走る。少しでも早く。

友を、仲間を殺された復讐を果たすために。



ーーーーーーーーーーーー



コロネ村から1週間ほど離れた小高い丘の上。

王国に捨てられた砦の大部屋、薄汚れた鎧を見に纏った男女が集まっていた。



その中の1人、熊のような大柄の男、ダブラ盗賊団首領のダブラは伸び放題の髭をさすりながら新たな獲物を求めて地図を眺めていた。



「アーリア平原、あそこはいけねぇ。

魔女の縄張りだからな。


港町ランセイユと首都ガルマンの近郊は高位冒険者の連中が目を光らせてやがるし。

この辺りの狩場は荒らしちまったからなぁ。」



部下のやつらも、このまま暴れられなければ不満が溜まる。

不満が溜まれば謀反の危険もあるからな。



「ダブラのお頭!アーリア平原の魔女なんてそんな恐れるもんなんすか?


最強のダブラ盗賊団100名で一斉に襲いかかりゃぁ…」



「馬鹿言ってんじゃねぇ‼︎‼︎」


ダブラは鷹のように鋭い目つきをさらに鋭くさせ、甘い考えを宣う部下を一喝する。


「相手は300年生きる魔女だぞ?


てめーらがママのおっぱい吸ってる頃からドラゴンの討伐、ダンジョンの破壊と大暴れしてやがったんだ。



50年前には当時の王国の近衛騎士団長、グスタフと引き分けたって話だ。


お前らが100人集まっても相手になるわけねーだろうが‼︎」




ダブラの言葉に、室内はざわめく。

彼の放った言葉はそれだけの衝撃をもたらした。


「嘘だろ⁉︎ドラゴン退治にダンジョンの破壊?」


「戦士長グスタフといやぁ、当時の王国最強だぞ⁉︎」



そのどれもが、どれか一つ成し遂げても王国中に轟く武勇伝となるもの。

それを3つも成し遂げるなど、まさに伝説だ。



「わかったか、クソども‼︎


幸いあの魔女は好戦的なやつじゃないらしい。

やつの縄張りにさえ入らなければ、殺されやしねー。



わかったらアーリア平原は諦めるんだな。」



触らぬ神に祟りなしである。

どうせアーリア平原周りの村々もボロボロの貧乏村ばかりだ。

好き好んで近づく理由もない。


「「「へい‼︎」」」



配下の1人が、ボロボロの大柄の女を連れて砦に駆け込んでくる。

流石にあそこまでボロボロの女は俺でも遠慮するぞ…。



「おい、ベッツ。


いくらお前が女に飢えてるからってそれは…。」



ベッツはダブラ盗賊団の新入りだ。

山賊特有の粗野な感じはない金髪の優男で、入団の経緯もよくわからないが、剣の腕は凄まじく新入りながら戦闘では

中心的な役割を果たしている。



「違うんだお頭。


街道でとっ捕まえたこの女が気になる話をしていてな。


コロネ村のほど近く、アーリア平原の中に新しくできたダンジョンがあるとぼやいてやがった。


そこで自分以外のコロネ村の奴らはみんな死んじまったと。

首都ガルマンに助けを求めなくてはとも言っていたな。」



ほう、新しくできたダンジョン?

それが本当なら、一生遊んで暮らせるかもしれねーな。



次の目的地は決まりだな。


「ベッツ、その女は手放すなよ。


川にでも突っ込んで汚れを落としたら飯を与えてやれ。

目が覚めたら詳しい話を聞く。



次の目的地はコロネ村、そして新しいダンジョンだ‼︎」




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