第一章 コロネ村防衛戦 〜洞窟エリア侵入〜
「ウガー‼︎なんだこの森は!
やってられるか‼︎」
幻惑スキルを破ったのか、痺れを切らしたのか、ガブが周囲のトレントをぶった斬り幻惑スキルが解除される。
戦闘を進んでいたガブと部隊数人が洞窟エリアへとまっすぐ向かう。
「チッ、思ったより早かったな!
シャボン、俺も出る!ゴランとホビットと共に敵を迎えうつ!」
洞窟エリアに入られればこのコアルームまでそれほどの距離はない。
のんびりしている時間はなさそうだ。
戦いはまだ始まったばかりだ。
ーーーーーーーーーーー
ゴブリン部隊、ウルフ達とコロネ村ダンジョン攻略部隊の主力部隊との激しい戦闘の中をコソコソと通り抜ける一団がいた。
村長テト、商人頭ブチ率いる後方支援部隊だ。
彼らはまともに戦闘には加わらず、最後にダンジョンコアの
破壊を果たすためだけに周りの隊員を見殺しにして先に進んでいた。
「テト様!
犠牲は出ているようですが、ガブが順調に敵を攻略しているようです。
我々も先に進みましょう。」
「うむ、後方部隊全軍前進!
ガブの後を追って、洞窟に潜入するのじゃ!
ダンジョンコアを破壊し莫大な富を手にするのはワシじゃぁ!」
主力部隊の後ろをコソコソついてきていた、村長テトと商人頭ブチ率いる後方支援部隊も洞窟エリアへと向かう。
「敵襲だーーー ‼︎
早いところ洞窟に逃げ込め‼︎」
道中ウルフとゴブリンの奇襲によりその数を大きく減らしたが、村長テトと商人頭ブチと部隊10人が洞窟エリアに侵入するのだった。
コロネ村侵入者
残り40名。
ーーーーーーーーーーーー
「クソッ!
ガブ隊長もテト様もブチ達も先に進んじまった!
うちらは囮ってことかよ!!」
主力部隊の残党20名はウルフとゴブリンの猛攻から命辛々身を守っていた。
長距離の移動で疲れを感じていたところに敵の絶え間ない奇襲を受け、部隊のみんなの体力も限界だ。
「ハァ、ハァ、ハァ、
こんなんやってられるかっての‼︎」
悪態もの一つもつきたくなるというものだ。
「ぐぎゃぎゃ‼︎」
今もまたボブゴブリンの号令の元、木の棒を持ったゴブリンが襲い掛かってくる。
1人、また1人と仲間がやられる中で雑に結んだ赤毛と顔にそばかすのある大柄な女カリンは少しずつダンジョンから遠ざかっていった。
襲い掛かるウルフとゴブリンによって体も傷つけられていく。
ウルフに噛まれた左足と、ゴブリンに打たれた右肩が激しく痛む。
「うぐっ!このままじゃみんな死んじまう!
コロネ村まで戻って首都ガルマンに援軍を要請するんだ!」
部隊の人間が全滅していく中、カリンは左足を引きずり命からがらダンジョンを脱出するのだった。