視点N ドウカコノ夢ヲ
砂糖熊が倒れたのを確認してから俺たちは天谷さんを置いてきた教室に戻った。恵里菜が天谷さんに駆け寄る。
「麗花、大丈夫?もうあの化け物はいないよ。・・・麗花?」
返事がない。様子がおかしい。どこか関係ない虚空を見つめている。この症状は、
「夢の世界に入られてる?いやでも確かにさっき倒したはず、、」
「そういえば麗花、店にいた時あの熊に襲われそうになってから何も話さなくなってたけど・・・」
「風也。欠片だ。欠片が天谷君の夢に侵入した可能性が高い。」
レッジが直ぐに推測を話す。
「天谷君を攻撃した際の欠片が夢の世界に侵入し、別の意思も持ち始めて暴れているかもしれん。急げ!」
「わ、わかった。」
俺は夢ウ筒を取り出す。
「恵里菜、何か変わったことが有れば教えてくれ。」
「うん、って連絡取れるの?」
「大きな声なら大体届く。じゃあ、行ってくる。」
俺は天谷さんの夢の世界へと入っていった。
ーーーーー
降り立ったのはスイーツ店の店内だ。どことなく前に2人できたあの店に似ている。
「いらっしゃいませ。あら、男1人で来店なんて珍しいですね。」
振り向くとそこには大人になった天谷さんがいた。この店のオーナーなのか。店内は美味しそうなお菓子で埋め尽くされている。天谷さん、親に憧れてるのか・・・。
「あ、いや、入る店間違えました。ごめんなさい。」
こうしている場合じゃない。適当な理由を付け店をでた。どこかであの熊が暴れているはずだ。
商店街を駆け回るがいない。どこを探しても見つからない。まずい。でも化け物騒ぎなども起こっていない。ツクモはどこかに身を潜めているのか?
「もう一度最初にいた店に戻ってみよう。」
レッジの助言を受け、来た道を折り返す。
説明して店の中まで探そうかと思っていた時、店の前に置いてある植木鉢に何か白い物体が動くのが見えた。サイズ的にかなり小さい。植えてある花を傷つけないようにそっとどける。
「これは、」
そこにいたのは小さい小さい熊だった。手のひらサイズだ。怯えている。抵抗はしないようだ。俺はそっと手のひらに熊を乗せた。攻撃してこないのを察したのか熊は愛くるしい目でこちらを見つめてくる。
「どうする?風也。処分するのか?見たところ怨念が未熟すぎて知性もない。今のところは危害は無いと思うが。」
迷う。例え小さな存在でも何かの拍子に危険な化け物と化す可能性は捨てきれない。あの悲劇を繰り返さない為にも、芽は摘んでおくべきか。
「コイツはーーー」
ーーーーー
現実に帰ってきた。
「どうだった?麗花はもう大丈夫?」
「あぁ、大丈夫、」
「どうしたの?歯切れ悪いけど。」
「いや、その、もう一回おつかい頼んでいいか?俺はもう少し天谷さんの様子見ないといけないし。」
「いいよ、何を持って来ればいいの?」
俺は財布から雑に千円札を取り出した。
「虫かご、買ってきてくれないか?」
ツクモ解説
砂糖熊
天谷麗花が廃棄したお菓子に含まれる砂糖に怨念が宿ったツクモ。特徴は怪力、大量の砂糖を勢いよく吐き出し、相手の行動を制限する。




