視点R 赤野千優理
僕の母親、赤野千優理。自分、そして風也君の3人で大学近くの喫茶店に寄ることになった。風也君は俺も一緒でいいのかと言われたけど、久々の再開で何を話せばいいかわかんないしそもそもこの片し屋のことをおばさんには伝えてないしいい機会だから話しておこうかと思った。
が、1つ気づいた。本当に教えていいのか?片し屋のやること自体はバイトのようなものだが、扱うものがモノだから命懸けだ。そんなことをしているといったらおばさんは反対するのでは?どうしよう。お冷だけが出された状況で何を話せばいいのかわからない。
「えっと、こちらが大学でできたお友達?」
「い、いや。この人はバイト仲間というか。年下だよ。年下。」
「へぇー、真白君いつの間にバイト始めたん?その様子だと仲良さそうでよかったわー。」
「う、うん。ところでおばさんはどうしてこのタイミングで棟京へ?」
「え?それはねー。真白君、今回年末年始は帰らなかったやろ?会えないのはさみしーなー思て。そういえば私は去年定年退職したし、行っちゃおうかなーってなったわけ。」
「そう、なんだ。」
「あと、棟京の知り合いにも会いたいしね。」
「ご注文よろしいはお決まりでしょうか?」
「え?えーっと。」
「アイスティー3つ。とりあえずお願いします。」
「かしこまりました。」
突然の店員の注文は風也君が対応してくれた。
「で、そのバイトはどんな事するの?」
「ん-。か、せ、清掃業?」
「清掃業。へー、綺麗好きの真白君にはぴったしじゃん。」
「・・・ごめん、ちょっとトイレに」
ヤバイ。この空気に耐えれない。一回態勢を整えないと。
「あらそう。ってん?地震?」
僕が席を離れた瞬間、店内の机とその上のグラスがカタカタと揺れる。
「・・・落ち着いた?」
揺れが収まった。が、数秒後にまた揺れが起こる。その後、揺れが起きては収まるパターンが数回続く。耳を澄ます。何かー---聞こえる?
「真白、この音は?」
揺れの合間に音がする。低い轟音。鼓膜に直接揺らすようなこの音。
「砲撃?」
店の外を見る。若者たちが大量に逃げている。彼らが逃げてきた方向はー---。
「大学?」
「真白、行くぞ!」
「うん。おばさん、ゆっくりでいいけん、落ち着いて逃げて。」
「真白君は逃げないの?」
「・・・行かなきゃ。安心して。」




