視点N 電話
その日の夜。恵里菜から電話があった。
「こんな時間にいいのか?もうすぐ試験なんだろ。」
「うん、でもちょっとくらいいいじゃん。占いのラッキーアクションが「幼馴染との電話」だったし。」
「なんだそれ、もしかしてミャーミャー占いか?」
「え?なんで分かんの?」
「それは、いやーその。」
出鱈目なんだよ、それは。って言いたいが彼女のためにもそれは黙っていた方がいいか。
「受験、頑張れよ。」
「うん、ありがと。」
電話を切ろうとする。
「ちょっと待って。風也。」
「ん?どうかした?」
「もしかして何か悩んでる?」
「・・・」
こういうときに限って勘が鋭いというか。
「まあ、少しな。」
「オホン、それでは一風也君に質問です。」
「どうした?面接官のつもりか?」
「あなたが片し屋になった第一の理由を教えてください。」
「・・・」
改めて考えてみた。俺は、俺は、
「誰にも悲しい思いをさせたくない。みんなが幸せになるために、みんなの為に、役に立ちたいです。」
「それじゃ、不合格です!」
「え?」
「それじゃダメ。大事なのは自分の為にどうするかってこと。誰かの為に、なんて将来いくらでもやるから、まずは自分のためを考えないと。悪く言えば自己中になれってこと。今のうちから周りのことだけ考えてると、いつか壊れるよ。」
徐々にガチトーンになっていた。自分の為。俺自身の為。
【あなたもっと強くなりたいんじゃないの?】
俺は強くなりたい。ならば。
「ありがとう、恵里菜」
「え?なんか私良いこと言っー」
電話を切ってしまった。そうだ。俺は強くなりたい。自分の思いに素直になれ。




