そうだ人狼ゲームしよう!
恵理衣「ハイハーイ、人狼ゲームしよう! 人狼ゲーム!」
女子バスケットのインターハイ会場に向かうバスの中、ショートヘアの上に跳ねる癖っ毛をピョコピョコさせながら2年生の恵理衣が提案する。
真那花「おーやるやる♪」
麦色のツインテールを躍らせながら真っ先に身体ごと挙手して賛成したのは、恵理衣の中学からの後輩でもある1年生の真那花。
凪巴「私もやるぞ。ただ見たことはあっても、やったことはない。配役やルールは大体わかる、筈だ!」
1年生の凪巴も堂々と参戦&初心者表明。
「私はパス」
続いて真っ先に避けたのはいつも群れから離れたがる美羽、1年生。
「右に同じ」
同じく1年の初夢もそれに続いた。
金髪碧眼の斜に構えたこのハーフは、とりあえずツン対応から入りがちだ。
「私も今バスケ以外に頭をメインで使うのは避けたいですね」
「……」
3年のキャプテンで、チームの司令塔でもある麗胡は辞退。
隣に座る同じく3年の静も無言で手を横に振り、棄権を表明。
四季「面白そうだ。俺はやるぜ」
3年の副キャプテン、ベリーショートの四季は参戦表明。
3年生の選手全員が参加しないと、ちょっと空気重くなるかもなという気遣いもあったが──
オールラウンダーなバスケットプレイヤーとして、頭脳戦はそこそこ得意としている自負もあった。
凜「GMは誰すりゅの? わ私は絶対無理だよ?」
普段から噛み噛み1年生の凜が自信なさそうにあわあわしながら話す。やや長めのショートカットが合わせて踊った。
普段から噛みまくってるので狼としては強そ──いや、村利が少なくてすぐ吊られるかもしれない。
香澄「それなら私がやるわ」
1年生でありながらアシスタント・コーチを務める白金色の髪をした美少女──香澄がGMに立候補。
真那花「香澄んなら先輩相手でも容赦ないし問題ないな♪」
真那花から肯定が入りGM──ゲームマスターという名の進行役は決定。
因みに「香澄ん」は真那花特有の呼び方である。
煉香「フフ。私はプレイヤーとして参加したいわ」
香澄の妹でちゃっかりバスに乗り込んだ煉香も参加。
病的なまでの白い肌に紅い瞳と銀髪のゴスロリ少女。見た目でよく小学生に間違われるが年齢的には中学生。
深雪「わたくしもやります」
ボスっと座席に沈んだ奥ゆかしいぽっちゃり少女の1年生、深雪も参加。
奏「私と優姫も参加です」
赤毛の2年生、奏が隣の窓際に座ってゲームしてる優姫の分も一緒に参加表明。
千尋「姉さんもやるよ」
一人称が姉さんという、2年生の千尋も参加。
左側に纏めたサイドポニーが軽やかに揺れる。
羽衣「では参加者は1年生4人に2年生は全員で5人、3年が四季先輩のみで、そこに煉香ちゃんを加えた全部で11人ですね」
座席にちょこんと座っている2年生、羽衣が自身も参戦するていで参加人数をまとめる。
恵理衣「11人かぁ、役の内訳はどうしよ?」
優姫「人狼2に多重、霊媒師、占い師、騎士が1人ずつ、村人5でよさそう。5吊り3人外。村は吊り縄に余裕あって、人狼は片方騙れなくもない。役持ちが出過ぎることもないし、どっちでも割と楽しめる配役」
2年生の優姫がアーツ(携帯電話やスマホのような電子機器の今世代型の総称)でゲームをしながら案を出す。
騙るとは役職でないのに役職を名乗ること。戦術の一つである。
真剣なのかやる気ないのかわからない顔をしたショートヘアの少女が、窓に映った。
千尋「姉さんは賛成。一度それでやってみて、問題ありそうだったら変えればいいと思う」
結局、優姫はこういった方面の話に強いので特に反対の声はあがらず、全員それでOKとなった。
ルールを確認し、香澄がアプリで順番と配役を確認。
かくして、私立水無神楽坂学園女子バスケット部による人狼ゲームの幕が上がる。




