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第二章 カネvsチカラ

私はまた生き延びることが出来た。


ラフィアンタウンでの戦闘もいろいろあった。

傭兵として参戦したラフィアンタウン攻防戦はひと段落ついている。

この物語の詳細はセイナ殿か黒狼が書いたものに記されているので割愛する。


私はいつもの店に来ている。

今は敵も味方もない、中立地帯での戦闘行為はご法度だ。

(従事する隊員同士のセクハラ行為は……ゲフンゲフン)


まぁ、店主特製の旨い料理と酒、そして従事する隊員たちの笑顔の前では、

到底そんな気にもならなくなるだろうが。



さて、目の前には先程まで戦っていたセイナ殿も黒狼も

互いに距離をとっているとはいえ、同じ店にいる。


かく言う私も先程まで戦っていたロデム様と店主と同じテーブルで呑んでいる。


戦っていた。

というのは書き損じではなく、事実。


攻防戦の最中、

ロデム様と店主はセイナ殿より勧誘(賄賂)を受け

≪SLAGWOLF≫から≪DEADLINE≫へ陣換えをしていたのだ。



--------



我々の参戦時には黒狼率いる≪SLAGWOLF≫は優勢であったが、

途中より思わず陣地を追われ始める。


セイナ殿が買収工作を行っているらしい。

そんなうわさが広まり始めていた。


私はロデム様と店主とは別の分隊にいたため気がつかなかったのだが、

今思い起こせば、この頃にロデム様と店主は買収されたのだろう、

徐々に戦力と士気が下がり始めたのだから。



その頃、街の北部への侵攻作戦を敢行、

私の所属した分隊は東よりトラップを仕掛けながら北進する。

トラップが仕掛け終われば市街中央で待機予定だ。

あくまでも≪DEADLINE≫のこれ以上の南進を食い止めるのが目的だ。


トラップを構築して数分後だった、

相手方からそこに目掛けて突っ込んでくるロデム様の姿を見たとき、

私は目を疑ったが、時すでに遅く。

ロデム様はトラップに捕まり、セイバーの一撃で捕縛される。


相手陣地から店主の遠距離射撃がなければ、そのまま牢獄行きだっただろう。

その攻撃にひるんでしまった我々はロデム様から何も聞けぬまま、取り逃がしてしまう。

トレードマークであるスネオヘアーのヅラを落として。



そこからは壊走劇だ。


店主の援護射撃を受けて≪DEADLINE≫は南進してくる。

不意の事態により部隊集結中であった黒狼が発見され、

黒狼は自ら囮となって全員を逃がすと、止めるのも聞かずに≪DEADLINE≫に突っ込んでいってしまう


残された≪SLAGWOLF≫の精鋭たちは総統の命令にある意味忠実に残らず退転していく。

これがカリスマなのか、捨てられたのかは今になっては不明だ。


残された私は特攻した黒狼の様子を確認しようと、東砦まで急ぐ。


そこには砦の外でジリジリと大勢に取り囲まれ追い詰められる黒狼の姿があった。

≪DEADLINE≫の連中も『いまは』殺すつもりではなく、いたぶるつもりなのだと思った私は、


見つからぬよう建物の陰から急襲。

セイナ殿たち複数人に手傷を負わせ、黒狼を助け出すも敗走確定。

この後に起こることを考えれば助けるのが遅すぎだったのだが。


なんとかアジトに帰参することができたが、

どうやらスパイが潜んでいることが判明する。

敗色濃厚になってきたのでスパイ活動から内部からの壊滅行動に移ったのだろう。

疑心暗鬼に陥った我々には、スパイがいるという一言はかなり堪えた。


ただ、スパイがいる、という重要事項が出てきたにも関わらず、

黒狼はスパイ排除を優先せず、

ラフィアンタウンへの再度侵攻を命令。


こんなときにスパイと挟撃されれば本当に壊滅してしまう。

複数人が黒狼の侵攻命令に同調し、侵攻を開始した。

(もちろん、言動がおかしい者はメモするのを忘れない)



今回の侵攻作戦によって、幾人かのスパイも捕まり、

敵陣までもう少しというところで待ち伏せをしていたところ、

黒狼の胸ポケットから微弱な発信音がする


ッザザザ……セ…ナより……ブッ…へ……作戦…の…準備…ブッ…


私は瞬時に覚った、

黒狼の仮面をつけたコイツは偽者だ

近接戦闘で私が救出する前には入れ替わっていたのだろう。



私は周りを伺うが、前線が接敵していた為、

この通信は私にしか聞こえなかったようだ。

しかたなく、

私は陣地に残り黒狼に詰め寄る。


お前は誰だ。本物の黒狼はどこにいる…


その問いに黒狼のようなものはあくまでもシラを切る


とりあえず、黒狼(偽)に認定したところで、

前線ではさらに激しい戦闘音が聞こえてくる。


私はツーマンセルで組んだ相棒にあとを頼み

足早に前線へ赴く、が


数秒後銃声が後ろから響く、振り向けば

相棒が倒れていくのが見える。


そして、黒狼(偽)は私に銃口を向けてきたのだ。



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