第一章 参戦
私は行きつけの店のカウンターで酒を呑んでいた。
いつもは奥の厨房にいる店主が、今日は顔を覗かせて、話をしてくれた。
ラフィアンタウンでの抗争が激化しているらしい。
…うかつに近づかない、抗争に巻き込まれないのは戦場での鉄則だ
そんな折、店の常連であり、戦友である黒狼が店にやってきた。
話をしていたところ彼がラフィアンタウンでの抗争の一翼だという。そして、力を貸して欲しいと言ってきた。
彼とは昨年のブレイブポイント紛争で一緒に戦った戦友。
だが、組織と組織の抗争に入れば、遺恨が残る。
撃ちもらしなどしたら
最悪、地下活動に移行されてゲリラ戦。
続くのはやってやられての不毛な争いだ。
だから、私は黙考しその場で返答をしなかった。
黒狼は妹の金狼を連れて再び戦場へと戻っていく。
まだ幼さの残るあどけない表情で私たちにバイバイと手を降っている。
そんな兄妹のうしろ姿を見送った私は店主にどうしようかと話をしてみた。
すると、回答は意外なものだった。
抗争に参加する為に準備中だという。
店と同じように中立を貫くと思っていた、その彼が動くとは到底思っていなかったのだ。
しばらく話を聞いていると、
実は、どんな戦場にもこの人ありと言われたロデム様が参加されるという、店主は自らもロデム様をお助けする為、参戦するというのだ。
確かにロデム様が参戦するのであれば話は簡単だ
そこで改めて店主より参戦の誘いを受け、私も参戦を決意する。
ロデム様の為に。




