表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/200

13-105.そこまでです

 

 ――ザザッ。


 黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルが藪草を踏みつける。消火しようとしているのだろう。だが、黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの消火活動は少し遅かった。すでにバリアの中は煙で一杯だ。


 黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルを覆う()()()()()が、よろよろとさまよう。もうすぐだ。


 ――パキン。


 軽い金属音と共に、黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルに纏わりついていた煙が広がり拡散していく。バリアを解除した証拠だ。


 ヒロは低い体勢からダッシュして、一気に黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルに向かった。


 黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルはバリアを解除すると同時に数歩引いて、煙から脱出する。左右に首を振ってヒロの位置を確認しようとしたが、見つけられない。


 ――ザザザザッ。


 藪草をかき分ける音。黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルが音のする方を見やったが、拡散していく煙の中、音の主を捉えることはできない。気が付いた時には、ヒロが数歩の距離まで迫っていた。


「でぇぇえい!」


 ヒロが低い体勢から脇に構えた木の棒を一気に逆袈裟にすりあげる。ソラリスに教わった「抜き」の剣技だ。ソラリスのそれと比べると剣速も遅く、太刀筋も甘い。およそダメージを与える程のものではなかったが、牽制にはなった。


 ヒロは黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの向かって左脇腹を狙ったが、踏み込みが甘く届かない。それでも、懸命に伸ばした棒の先端が黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの仮面を僅かに捉えた。


 ――カツン。


 乾いた音を立てて、黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの白い仮面が弾け飛んだ。ヒロの攻撃を避けようと体勢を崩した黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルはそのまま後ろに倒れる。


 ――貰った!


 返す刀で黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルに一撃を加えようとしたヒロの手がぴたりと止まる。


 仮面の下には、端正な顔立ちの若い女の顔があった。見覚えのある白いサークレットに深い紺色の髪。仮面に劣らぬ真っ白な素肌。切れ長の青い瞳。薄ピンクに染まる紅を引いていない唇。間違いない。


「エルテ!?」


 黒衣の不可触ブラック・アンタッチャブルの正体は、冒険者ギルドで自分を代理人(マネージャー)として雇わないかと持ちかけてきた若い女、エルテだった。


「動くな!」


 動揺する心を押さえつけながら、ヒロは、ぴたりとエルテの喉元に木の棒を突きつけた。少しでも変な動きをすると容赦しない。ヒロの目がそう語っていた。


 起き上がろうとしたエルテは、動きを止め、観念したかのように目を瞑る。


「お見事! そこまでです」


 ヒロを制止する声があった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ