#8
あたしはなぜかその人に興味が出てきて、一緒にご飯を食べることになった…
「いきなりごめんな?」
『別にいいよ家にいてもつまらないし…』
「俺も一緒だよ一人で食べるご飯は、なぜかおいしくないしね…」
『それ、すごくわかる』
「…だろとりあえず食べようぜ」
…食べながら、普段なら彼氏に言えないようなことも、なぜか彼には普通に話せた…
それを受けて、彼も少しずつ自分の事を語りだした…
彼は、たった5歳しか変わらないのに、すごく大人だったし、何より余裕があった…
彼の両親は離婚していて、まだ幼い兄弟を守るために、社会に早くから出ていたみたい…
「…だろ顔は童顔なのに、しゃべりはオヤジだからさ(苦笑)会社の人たちがみんな、オヤジだからかな?(笑)」
『オヤジとは思わないよ大人っぽいとは思うけど…』
「…それってあまり意味変わらなくない」
『…あたしの中ではすごく違うんだけど…』
「…マジで」
『けっこうマジで』
…本当にこの人はよく笑う…
人を明るくできる「何か」を持っているんだろう…
あたしの頭の中とは正反対…
…と、お互いの自己紹介も含めて、いろんな事を話している内に店員の「早く帰れ」オーラが強くなり(笑)
店を出ることにした…
「俺は、ああいうの嫌いなんだよねサービス業なんだから、早く帰りたいのはわかるけど、あの態度はないよな~」
『…でもあたしが店員なら同じかも…(笑)』
「…そうかなぁ違うと思うんだけどなぁ」
…彼は思ったことをはっきり言う…
そこもあたしと正反対だ…
「…そういえば、機嫌治ったねじゃあそろそろ帰るかい?」
『…その方がいい?』
「いや…俺はまだまだ付き合えるし、まだ一緒にいたいけれどさ…お前には彼氏も親もいるからね…」
『…そうだよね…でも…どうしたらいい…?』
「…それは、ズルいよちゃんと自分で決めなよ?自分の考えで動きなよ?俺は合わせるよ」
『…え~っそれもずるくない?』
「ずるくないよだって俺は"自由"だもの」
…その"自由"というフレーズに、心が震えた…
あたしはなんて"不自由"なんだろう
先輩からよく聞かされた「尾崎」を思い出した…
「自由になりたくないかい熱くなりたくはないかい」
…"自由"になりたい
あたしはたった一度だけ、「自分」を「信じる」ことにした…