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球根  作者: たいしょ~
5/10

#5

「…バン」


いきなり耳元で音が鳴った…



「…どうしてそこで意地張るのよ?なぁ?じゃあ、不幸に生まれたら、一生、不幸に生きるのか?」


「しかもその"不幸"なんて誰が決める?俺だって"不幸"なことはあった誰だってあるんだよ」



…彼氏が泣いてた…


最後の方は、言葉になっていなかったけど…



…伝わった…

…確かに届いた…



…あたしはまた、声をあげて…泣いた…


やっと許された気がしたんだ…


「必要」としてもらえたんだ



…「独り」じゃない



…そこに言葉はいらなかった…


ただ抱きしめ合って、求め合った…


…初めてのキスは、涙でグシャグシャになった顔だったけど…キレイだった…



…余計なモノが何一つない…


…ただ「二人」…



何かおかしくなって笑ったね…



そう、あたしは「サナギ」なんだ


まだこれからいくつもの「可能性」があるし、何にでも「なれる」


そう実感したのは、初めて抱かれた夜だった…




退院して、少し月日がたち、真面目な同級生には「腫れ物」扱い、不真面目な同級生には「ヤバい人」扱いで…でもあたしは強かった…



誰かが「あたし」を「必要」としてくれる…


たったそれだけで、あたしは「無敵」だった…



そう、初めて肌を重ねた日、あたしの傷に彼は丁寧にキスをした…


そして最後に心臓にも…


ドキドキして、逆に死にそうになった(苦笑)



「これで傷が埋まったろ?」なんて、ちょっとカッコつけてたけど、実際カッコよかったからしょうがないよね?(笑)




…けれど、まだ若すぎる二人にはそんな「幸せな日々」は続かなかった…



彼は年上だから、先に高校にあがってしまうし、しかも遠くに行ってしまう…


『あ~あ、落ちないかなぁ』


「…縁起でもないこと言うなよ~彼女だろ?」


『…彼女だからだよ』


「…わかるけどさ」



…あたしの願いは空しく、彼は受かってしまい、遠くの高校に行ってしまった…


「淋しい時には電話しろよ?」


『…じゃあ今する』


「…いやいや(笑)…まずはゴールデンウィークには帰ってくるんだし」


『そうだけどさ…』


「…まぁ良い子でいろよ」


『…浮気しないでね』


「…するわけないだろ?バカだなぁ(笑)」


『毎日、メールしてね』


…そして二人は、触れるだけの短いキスをして別れた…

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