◇第7話◇ 合コン
1限も無事終わり…まぁ寝ちゃったんだけど
2限、3限と受ける
そして、4限は取っていない為、適当に時間を潰して5限も無事に終わった
本当は5限なんて取りたくないけど、必修だからしょうがない
外はすでに真っ暗で1月も終わりなのにまだまだ寒い
美穂さんお手製のマフラーを巻いて、自分の家に帰ろうとすると携帯が鳴った
「はい」
「あ、潤一?」
「何、母さん」
「あんた、家のカギ持ってる?」
「は?…ちょい待って」
いきなり家のカギを持ってるかなんて謎だ…
とりあえず、カバンの中を調べてみる
「…持ってないね」
「あら?そうなの……ん~…」
「何、なんかあったの?」
「お父さんの知り合いの方が亡くなったらしくて、私たち急に出かけることになったから今日は友達の家にでも泊めさせてもらってちょうだい」
「は?」
「だから、あんたカギ持ってないんでしょ」
「は?どっかに置いておいてよ」
「もう新幹線乗っちゃてるのよ。だから今日はなんとかしてね。じゃ」
じゃ…って………いきなりすぎるだろ…
あまりの急な展開に付いていけないけど、不幸中の幸いと言うべきか家のカギは持ってないが、美穂さんの家の合鍵なら持っている
俺は美穂さんに電話をかけ、留守電に家を使わせてもらうと言う
そして、美穂さんの帰ってくる時間を予想しながら大学内を歩いていると豊臣から電話が入った
「潤一、今日空いてるか?」
「この後は何も無いけど」
「N女と合コンすることになったんだけど、1人足りねぇの。だから参加してくんない?」
「興味無いんだけど」
「お前の分は俺が払うから。お願い」
「…了解。お前の財布空にしてやる」
これで俺の晩御飯はいらなくなった
ラッキーと思いながら豊臣が言っていた居酒屋に入ると意外と盛り上がっている
まぁこんなに寒いならお酒も飲みたくなるもんだ
俺は店員に場所を聞いて、そこへ向かう
すると、豊臣が部屋から出ていて俺を見つけると手を振って呼んだ
「来た来た」
「別に1人居なくてもいいんじゃないのか?」
「いや、なんかもう1人来れないとか言いやがったからさ。さすがに2対4はまずいでしょ」
「ふ~ん。まぁ別に良いけど」
何がまずいのか良く分からない
でも、まぁただ飯だからどうでもいい
俺は靴を脱いで座ろうとすると隣の部屋から盛り上がった声が聞こえてきた
声からして社会人だろうか?
「あははは、中西くん置いてかれてる~」
中西くんが置いてかれてるらしい
何が何なのかさっぱりだけど、まぁ置いてかれているんだろう
俺は適当に座って女の子たちが来るのを待つ
俺が席に座ってすぐに女の子たちが入ってきた
さすが豊臣が呼んだだけあって可愛い子ばっかり
でも、皆ちょっと濃い目の化粧でまだまだ若い子の感じがぷんぷんする
正直、俺はこういう女性が苦手だ
「豊臣、俺苦手なんだけど」
「我慢しろって。適当に飯食ってればいいから」
小声で言うと軽く返されて俺は頼んだポテトを食べる
豊臣は場を盛り上げ始める。さすが馴れていることはある。すぐに女の子たちと仲良くなっていき、俺以外のもう1人の男も豊臣と同類らしく仲良くなっていく
すると俺は1人になってしまった。まぁ始めっから分かっていたことだから俺はひたすら食べる
そして、お酒も飲む
「ごめん、ちょいトイレ行ってくる」
お酒の飲みすぎだろうか
少し酔ってきた…
俺は豊臣に行ってから廊下に出て、トイレに向かう
そして用を足して、外の空気が吸いたくなったため外に出る
一瞬、このまま帰ろうかと思ったけどさすがにそれは悪い。俺は豊臣に一言だけで言っておこうと携帯を開く
すると、1件の留守番電話が入っていた
「潤一、別に電話に言わなくても良いよ。あと私は少し遅くなるかもしれないから先に寝てていいよ」
美穂さんは遅くなるらしい
ということは帰っても暇になるだけ
少し考えて時間を潰すだけだ。と考えて豊臣の所へ戻ると始まった時より何やら盛り上がっている
悪い方向に
「あ、帰ってきたな潤一!」
「まだ少し食べれるからな。てか、隣がものすごく盛り上がってるな」
「そうだな。こっちも負けずに盛り上がろう」
豊臣は女の子たちと話し始め、一気に場が盛り上がる
そして俺はまた1人でから揚げなどを食べながら時間を潰す
「ねぇねぇ、君さっきから食いまくってるけどそんなにお腹減ってんの?」
「んあ?」
からあげを頬張っていると1人の女の子が真横に近づいていた
てか、こいつ香水キツ過ぎる…
「腹は減ってるから来てんの」
「合コンとか興味ない感じ?」
「無い感じ」
「あはは、まさか単刀直入に言われるとは」
「あ、ごめん。俺気にせずに楽しんでおいてよ」
「実は私、君みたいな子気になるんだよね」
「そうですか」
俺は全く興味がない
見た感じは化粧が濃くて香水もキツい。もう少し落ち付いた化粧をすれば可愛くなると思うんだけど…
女の子は少しずつ近づいてくるが、俺的には近づいてほしくない。しかし、女の子相手にそんなこと言うほど勇気もない
「ねぇ、君の名前何?」
「福沢諭吉」
「あははははは、面白いね、君」
「どうも」
そろそろ離れてくれないかなぁ…
「潤一ぃぃ!!!!」
酒に酔った豊臣が飛びついてきた。いや、衝突してきたと言ったほうが良い
ラグビーのようなタックルだ
それも大声で叫びながら。
「ってぇ!!」
「良い雰囲気してんじゃん」
「騒ぐな、隣に迷惑だ」
「潤一のくせに何言ってんだ!!!ごらぁ!」
「っぅ~…耳元で叫ぶな」
完全に酔ったような感じだ
周りの女の子も心配そうにしている子もいれば、呆れている子もいる
俺はとりあえず頭を下げてトイレに行かすと言って、廊下に出る
「…はぁ、いつも思うんだけどさ。良い子がいなかったら酔っ払った振りするの止めてくんない?」
「あの子らなんか無理」
「それは分かるけど、タックルされる身にもなれって」
「だから、ここ奢るだろ」
「はぁ…トイレから帰ったらさっさと終わらせろよ」
「了解、んじゃお前先に帰ってて。少ししたら戻るから」
「あぃよ」
豊臣はいつも合コンをして、良い子がいないと思えばあんな風に酔っ払った振りをする
あいつに呼ばれた連中はみんな知っている事だ。もちろん男子だけなんだけど。
だから、あいつが酔っ払った振りをしたら他の男は戦闘開始の合図だ。今頃、あの男の人は頑張っているんじゃないかな
俺は豊臣をトイレに置いてから部屋に戻る
すると、何やらさっきまで騒がしかったのに、部屋の中はものすごく静かになっていて知らない人が立っていた