◇第5話◇ 1限目の睡魔
1限が始まる10分前
2度寝をしたい気分で後ろの方に座り、音楽を聞きながら時間を潰す
前では朝っぱらから女子達が元気よく話したりしていて、なんであんな元気なんだ…と思いながら携帯を開く
すると、1着のメールが届いていて、宛先が美穂さんだった
-ごめん、今朝は私が悪かった-
絵文字も何も入ってない
でも、本当に謝ってる文だと分かる
俺は優しい気持ちに包まれるようにメールの返信をしてから、美穂さんがわざわざ起こしてくれたこの1限は寝ずに頑張ろうと気合を入れた
「珍しいな…潤一が1限来て寝ないとか」
横でメガネをかけた豊臣がノートを書きながら話かけてくる
豊臣は大学生になって初めてできた友達だ
「うっさい。今日は本気で頑張んの」
「何なに?また喧嘩でもした?」
「すると思うか?」
「いつもしてんじゃん。パンが焼きすぎてたとか泊めてくれなかったとかで」
「………」
確かにそうかもしれない…
思い返して見ると週に3回は些細なことで喧嘩してその日に謝って…
「まぁ仲いいからできるんだろうけど」
「…だよなぁ。大好きだもん」
「はいはい。ごちそうさま」
「豊臣は?いないの?」
「いるけど、どれが本命かわからん」
「最低だな…」
「向こう側からすれば不倫なんだし、お金もらえるからいいんじゃね?」
豊臣は真面目な顔をしてやることは不良だ
お金のためならなんだってする。もちろん犯罪関係はやらないらしいけど
「てか、そういうのってどこで捕まえんの?」
「ん~…主に出会い系かな。そういうのがあるんだよ」
「ふ~ん…」
理解できないけど、豊臣は豊臣の生き方なんだろう
俺は適当に話を終わらせてノートに文字を埋めていく
それにしても1限の授業がこんなに面白くないとは思わなかった…
前で淡々と話していく先生がいて、周りの奴らは半分が死んでいる
俺も始まる前には頑張ると決めたのにドンドン眠くなっていく
そもそも、この教室が悪い
エアコンがちょうどいい温度に設定され、前では一定のペースで話す先生、そして1限。
これだけのものがそろっていて眠くならないはずがない
俺は大きな欠伸をしながら何とか耐えようと頑張るがそろそろ限界が押し寄せてきた
豊臣の方を見ると普通に授業を受けていて、俺には不思議で仕方がない
「なぁ、眠くならないのか?」
「別に」
「…あ、何食ってんだよ」
「ミンティア。食う?」
「もちろん」
眠くならないのはこれのせいだ
俺は2粒貰って口の中に入れる
するとスーっと頭がしてくる。これなら寝れないはずだ
俺は眠気がぶっ飛んだ頭で前を見る。これなら1限なんて余裕かもしれない。これからはこれを買おう
そう思いながら先生の話を聞いているといつの間にか聞こえなくなっていった