◇第46話◇ 一大事!
世の中には理解できないことが山ほどある。幽霊?神隠し?UMA?
そんなのまだマシだ。今の状況に比べれば………
事の発端は1通のメールだった
旅行の最終日、俺は和志君と豊臣とでお土産を買うために商店街で買い物をしていた
そして、目的の物を買い、そろそろ帰る時間になった頃、長距離移動の前にトイレに行っておこうと向かう。
しかし、この判断が間違いだったんだろう。用を済まし、手を洗っていると俺のポケットの中に入っている携帯がプルプルとメールが着たことを知らせてくれる
しかし、そのメールは目の前を真っ暗にした
-俺たちは先に帰ってるから。お前が帰ってきたら素敵なプレゼントを用意してるぞ!-
まったくもって意味の分からない豊臣からのメール
一瞬冗談かよ…と思っていた。しかし、車の置かれている駐車場には豊臣の車は置かれてなかった
「おいっこら!!!どこ行った!!!!」
豊臣に電話を掛け、出た途端怒鳴りあげる
そりゃ誰だってこんな状況になれば冷静になんてなってられない
「どこって家に帰ってる途中だけど?」
「はぁ?俺忘れんなよ!!」
「忘れてない、潤一の乗るスペースが無くなっただけだ」
「はぁ?」
「まっ、精一杯頑張れや。お前はやればできる子なんだからさ。じゃっ」
じゃっ…って………
ここは車でずっと運転してても3時間以上かかる場所だ、歩いて帰れる距離じゃない
それに、あいつらはバカなのか器用なのか、それともただの犯罪者なのか知らないが、いつの間にか俺の財布は500円しか入っておらず、札は綺麗に取られていた
というか、豊臣の電話の後ろ方で女性の声が聞こえたような気がする………もし聞き間違いでなければ可能性として………考えたくもない…
「あぁぁ…もう怒る気にもならない…」
両手にはお土産の袋、周りには知らない車、どこからかは「見てはいけません」的な小言も聞こえてきそうだ
とりあえず、車の邪魔にならないように少し離れた所へ移動する
さて…これからどうしようか…
自動販売機で缶コーヒーを買い、残り380円となり、もはや出来ることはない
どこかのTV番組で所持金がほぼ無い状態で旅をするみたいなのがあったけどこういう気持ちなんだろうか…不安で仕方がない
というか、悪い出来事は続くらしい…携帯で親に電話をしようとするとブーブーっと震え、画面が暗くなる…つまり、電池切れだ……これはもはや絶望的と言っていいだろう
「あぁ~…本格的にヤバいな…」
周りに公衆電話は無い
それに太陽の光が俺を集中的に浴びさせてるのか暑い…
まだ5月の初旬なのに、この暑さは…GWにとっては良いだろうが、今の俺にとってはうっとしいとしか思えない
しかし、そんなことを思っていても事態は何も変わらない。というか悪化していきそうな予感がぷんぷん感じる
そんな予感はこうやって吹き飛ばそう
「豊臣のバカヤローーーーーー!!!!!」
多少…いや、かなり危ない人だけど周りに人はいないことは確認済み。
これで少しは嫌な予感が無くなる。
俺は「ふぅ」と深呼吸をしようとすると後ろからガサッっという音がした