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◇第42話◇ エロ魔人?

 

「潤一~、お前の運転超おせぇー」


 助手席で暇そうに携帯を触る豊臣がいる

 そして、バックミラー越しでは楽しそうに携帯を触ってはテンション高く、話をする和志君がいる

 今日は男3人での1泊2日の旅行。わざわざ豊臣の親から借りたアルファードに乗っている、たった3人だけの旅行なのにだ……意味が分からない

 それに、どうしてこんな男だけの泊まり旅行をしないといけないんだろう…って思ったりもするけど気が楽だからこっちの方が良い気もする

 それに今は男といる方が意識しなくて安心する。どうしても女の人が近くに居ると美穂さんの事を思ってしまう。

 あの時…あの時に紗代さんに潰されずにいたら、美穂さんが回復した後に告白できたのに……

 いや…潰されたじゃなくて、潰れてしまったと言っていいのかもしれない。やっぱり心のどこかで玉砕覚悟とか言いながらも怖かったんだろう…真実を知るのが。だからお酒で後伸ばしにしようとした。


 だけど、もうそんな子供みたいなことはしない。この旅行が終わったら意地でも機会を作らせてもらう

 そして、その時が俺の人生で最大の勝負だ


「おい、後ろのマーチに煽られてるぞ~」

「ほっておけばいいだろ」

「いや…せめてもう少しスピード出そうぜ…」

「ここの法定速度は50キロ。それに後ろって言っても1台しかいないだろ」

「はぁ…まぁ良いけどさ。夕方には付いてくれることを祈るよ…」


 嫌みか…

 そりゃ俺だってこんな法定速度を守って走るようなことはしたくない

 だけど、知らない道に他人の車。もしこれで事故ってしまえば大変なことだし、何より俺は初心者中の初心者。安全に走っても問題は無いし、法定速度で走っていても後ろと前に付けている初心者マークで許される。

 初心者マークの偉大な効果バンザイ!


「そういえばさ、潤一ってあの飲み会の後も女性陣に攫われてってけどどうだったんだ?」

「……どうとは?」

「いや、死んだ状態で運ばれてったから…ヤラれちゃったのかなぁって」


 豊臣のニヤニヤがものすごくムカつく…このエロ魔人の頭の中は結局ソレか…

 安全運転を心掛けながらもバシッとニヤニヤする豊臣を叩く

 後ろではゲラゲラと笑う和志君がいるけど、気にしちゃ負けだ


「まぁ潤一はやられるよりやる方だもんな。見た目Mなのに中身Sだし」

「え?そうなの?」

「SもMも無いよ。豊臣が勝手に言ってるだけ」

「え?ということはオールマイティってこと?」

「マジかよ…前の彼女ともそういう…」

「はぁぁ……旅館に着くまでで良いから黙っててくれないか?豊臣」

「でも男だけで話すなんてそんぐらいしかないだろ。俺の話聞いても面白くないだろうし」


 確かに豊臣の話なんて聞いたら呆れることしかできない

 相手と会ってその日に合体なんて事は豊臣にとって日常茶飯事。こいつも当たり前だと思ってる

 もちろん、そんなことをしていると危ない場面に遭遇するってこともあるらしい…その危ない場面もやばすぎて聞いてるこっちが呆れてしまう


「和志はどうなの?彼女とか」

「僕?ん~今は彼女いないし、普通だよ?そんなSMとかそういうプレイは無いし」

「いや、あった方が怖いよ…」

「でもでも、前の彼女は目隠し好きだったよ」


 和志君の一言。たぶん、何も考えずに言ったんだろう

 豊臣は和志君の発言を起爆剤に経験してきた数々の戦闘をネタに和志君と盛り上がり始めた





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