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◇第40話◇ 玉砕覚悟?

 

 深い眠りから覚めるとそこはまだ夢なのか?と思う風景が広がっていた

 加藤さんはべろんべろんに酔っ払っていて、紗代さんはガンガンお酒を飲みまくっている

 そして、俺が起きていた時にはいなかった人が2人。それも1人は俺が今さっき会って話したいことがあった人だ。もう1人は俺の好きな人の友達、尾崎さんって人だ


「あぁ~起きたなぁ!!!」


 俺が起きたのを一番早く気が付いたのは一番元気な紗代さんだ

 紗代さんの一言で周りの人も一斉に俺の方を見る


「え、あ…えっと、どうしてここに…」

「潤一君!あと10分でラストオーダーだから食べたいもの一杯頼みなよ、もちろんお酒も!」


 紗代さんはそう言うと店員さんに数種類のお酒と食べ物を頼む

 それにしても…なんで美穂さんがここにいるんだろうか…いや、ここはちょうどいいのかも知れない。夢の中でも覚悟を決めたように今というチャンスはもう逃さないし、玉砕する覚悟は決まってる


「み」

「潤一君、はい。ビール」

「いや、今はいらないです」

「まぁまぁ、紗代お姉さんが飲んでほしいって言ってるんだから飲もうよ。グイッっと」


 紗代さんは俺にビールジョッキを持たせると「グイッとグイッと!」と楽しそうに飲ませようとする

 こうなればこの人を止められないし逆らえない。俺はグイッと一気に飲み干し、ジョッキをテーブルの上に置く


「おぉー良い飲みっぷりだねぇ。で、目冷めた?」

「はい?…あぁ…」


 ビールを飲んで良かったのかどうかは分からない。だけど、今すぐ美穂さんと話したいって気持ちはどんどん小さくなっていく。なぜなら美穂さんの目がトロンとしていて目の焦点が合っていない。おそらく座りながら寝ている状態だろう

 俺は立ち上がろうとしたのを止め、座り直す

 そして、横に座る紗代さんに話かけた


「もしかして紗代さんですか?今の状況を作ったのは」


 和志くんのお姉さんはもう酔いすぎて美穂さんと一緒に寝ている感じで、尾崎さんは呂律が全く回っておらず、何を話してるのか分からない状態で誰かに電話をしている。

 こんな状況を作れるのは今一番元気な紗代さんぐらいだ


「いやぁ皆で楽しく飲んでたらついね」

「……はぁ」


 紗代さんは焼き鳥を食べながら焼酎を飲む


「潤一君もさ、なんか最近変だなぁって思ってたけどあんな綺麗な彼女がねぇ」


 紗代さんは横目で今にも寝そうな…いや、もう寝ている美穂さんを見る


「潤一君はまだ谷口さんのこと好き?」

「はい」

「ふ~ん、即答かぁ。それじゃ告白する?玉砕覚悟的な気分で」

「そのつもりです。でも…今はちょっと…」

「そうだね。それじゃ、今は潤一君の玉砕覚悟記念ってことで時間まで飲もう!」


 紗代さんは再び店員を呼び、ラストオーダーだと言いながら大量のお酒を頼んだ

 しかし、そんな紗代さんに一言言いたいことがある


「あの、玉砕玉砕って言うの止めてくれません?少し凹むので」

「でも潤一君は玉砕覚悟で行くんでしょ?」

「だから…まぁそうですけど…」

「何度も私に言われたぐらいで凹む覚悟ならそんなのしない方がいいよ」

「………」


 確かにそうかもしれない…

 でも…


「紗代さん、楽しそうに言ってますよね」

「うん。だって玉砕って言う度に潤一君凹んでいくんだもん」

「最低だ…」

「あの人の彼氏になるんならそんぐらい耐えないと。そうじゃなきゃ私が認めないよ」

「なんで紗代さんに認められないといけないんですか…」

「なんでって私より幸せになるかも知れない可能性があるんだから当然でしょう?」


 紗代さんは胸を張りながらニコッと笑う

 昔から傍若無人ぶりは凄かったけど今回ほど最悪だと思ったことは無い…

 紗代さんは俺の気持ちなんか無視しながら残りのお酒をごくごくと美味しそうに飲んでいた




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