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◇第29話◇ お姉さん。

 

「ん…んん?」


 重たい目を開け、周りを見回すと見たこともない部屋の中にいた

 周りにはだれもおらず、俺に毛布を掛けられている

 昨日の晩、確か和志君の家に行って………あぁ~…


 そうだ、和志君が潰れたあと、お姉さんがグィグィとお酒を進めてきて潰されたんだ

 そのおかげで頭がガンガンする…

 俺は目を擦り、ぼやける世界をはっきりさせようとしているとドアが開いた


「あら?起こしちゃった?」


 お姉さんが朝風呂に入ってきたのか髪をタオルで拭きながら入ってきた

 もちろん服はちゃんと着ている。デニムにシャツという軽装だけど


「すみません、なんか潰れちゃったみたいで」

「あはは、別に私が飲ませすぎちゃっただけだし気にしなくても良いわよ。それよりちょっと聞いていい?」

「はい?」

「潤一君って今彼女いたりするの?」

「はい?…今はいないですけど」

「そう。なんか魘されてるときに名前言ってたから彼女なのかなぁってさ」

「あ~…すみません」

「ううん。それより朝ごはん食べる?」

「あ、和志くんは?」

「あ~、あの子今日はデートなのよ。全く友達ほっておいて何がデートよ、ふざけんなっての」


 お姉さんは本当に怒ってるのか、和志君の悪口を言っていく

 友達より彼女を選んだのが気に入らないと思っていたけど違うみたいだ。

 悪口は途中から愚痴へと変わっていき、朝ごはんを食べる頃にはお姉さんの悩み相談みたいな感じになっていた


「ほんと、彼氏できないんだよねぇ…出会いが少ないってのもあるんだけど」

「はぁ」

「あ、分かってるんだよ?こんな性格だから彼氏できにくいってのわ。分かってるんだけどさ、あ~彼氏欲しいなぁ…あ、潤一君の友達紹介してくれない?」

「いや、紹介できるほどの友達は」

「そっか…あ、なんかごめんね。愚痴になっちゃって」

「いえ、それよりごちそうさまでした。おいしかったです」

「よかった。…………ねぇ、今日はお暇?」


 なんだかものすごーく嫌な予感がする…

 お姉さんはニコニコしながら俺の返事を聞こうとしていて、なんか威圧感を感じる

 ここで断らないと何かが起こるのは確実だ。でも、朝ごはんも食べてしまって、今日は暇。

 お姉さんを騙せる自信がない


「予定はないですけど…」

「なら、私とデートしない?お互い彼氏も彼女も居ない身だし、暇なんだからさ」

「ま、まぁ…別に良いですけど」

「それじゃちょっと待っててね。化粧して着替えてくるから」


 お姉さんは嬉しそうに笑うとテーブルの上に置かれている皿を洗面台に置いてドアの向こうへと消えていく

 そして、30分近く待たされた後、ようやくお姉さんが来たがさっきとほとんど変わっていな服装で化粧をしたの?ってぐらい変わらないお姉さんがいた

 というか、本当に化粧をしたんだろうか?朝ごはんを食べていた頃から眉毛は描かれていたし、本当にしたのか?というほどだけど男には分からない世界がそこにはあるんだろう


 そういえば、美穂さんも俺の前では眉毛は絶対に無くならなかったっけ……


「こらっ、私の美貌に見惚れるのは良いけどそろそろ行こ」

「あ、すみません」


 別に美貌に見惚れていたわけじゃないけど、ネガティブモードに入りかけていたから助かった


「さてっと、それじゃデートと言えばドライブだよね。とこっとん!付き合ってもらうよ」


 お姉さんは嬉しそうに車のキーを取り出して、駐車場へと向かう

 俺もその後を追い、お姉さんが運転するニュービートルに乗って目的地があるわけでもなく走りだした



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