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◇第23話◇ 豊臣の家

 

 目が覚めると知らない家の天井が目に入った

 俺は慌てて身体を起こし、辺りを見回すと豊臣がソファに寝転んで寝ている

 おそらく豊臣の家なんだろう


 それにしても頭がガンガンする

 無理やり身体を起こして、冷蔵庫まで行き勝手に水を飲む

 昨日は確か豊臣と合コンへ行って、やけ酒のように飲みまくった

 それからはどうなったんだっけ…

 覚えてるのは色んな人に心配されていたぐらいだ


「あぁ~…頭いてぇ…」

「ふぁぁぁ~…あれだけ飲んでりゃ二日酔いは当たり前だろ」

「あ、起きたんだ」

「ふぁぁぁ~…いつもは食うだけのくせに飲みすぎ」

「飲み放題だったんだから良いだろ」

「皆引いてたって…せっかく潤一のためにセッティングしてあげたのに」

「どうも…でも、今はそんな付き合うとかそういう気分じゃないから」

「まだ前の彼女のこと引っ張ってんのか?」

「うるさい」


 分かっていることだけど人に言われたくない

 俺は風呂を借りると言って勝手に風呂場へ行く

 この頭のガンガンくる痛みと豊臣に言われたことが混ざって気持ち悪い


 少し熱めの温度に設定して頭から被る

 今頃、美穂さんはあの男性と仲良くしているんだろうか…

 俺とは全く別の大人な男性。

 普通に考えれば俺みたいなガキんちょがあんな綺麗な女性と付き合うなんて夢だったのかもしれない

 だから、少しの時間でも美穂さんと付き合えたことは感謝すべきなんだろう


 シャワーの栓を締めて、風呂場を出る

 鏡に映る自分の顔が酷い顔になっている

 こんな状態なら心配もされるはずだ

 顔を数回パンパンと叩いて気合を入れ直す。

 これからは美穂さんの事はもう考えない。あれはもう過ぎたことだ

 今更ねちねちと考えたって意味が無い。美穂さんのことを考えて俺は別れたんだから


 お風呂から出てリビングに居る豊臣にお金を貸してもらい、家に戻る


「車で送るぞ?」

「いいよ、別に」

「…1つ聞いていいか?」

「何?」

「潤一はまだ前の彼女のこと好きなのか?」

「……なんでそんなこと?」

「いや、まだ好きならもう合コンとか誘わないでおこうかなぁって」

「…食べに行くだけなら行く」

「了解。んじゃまぁ、頑張れや」

「ど~も。金は次遭った時に返すから」

「あぃよ」


 豊臣から借りたお金で電車に乗り、家に向かう

 これからはちゃんとした学生を送る。あんな甘えた学生生活はもう終わりだ

 心の中で決意して電車の窓から見える風景を眺めた



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