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◎第18話◎ 可愛い女の子

 


「あ~…思ったより会議延びましたね…」

「そうね。もう14時半かぁ」

「うわ、そんなになります?」

「もうお腹ぺこぺこね」

「あはは、本当に。谷川さん、今日はファミレスにしませんか?」

「ええ」


 仕事仲間の加藤さんが財布が寂しいと言うので一緒にファミレスに入る

 潤一と加奈子以外でファミレスに入るのは久しぶりかもしれない

 場所は近くのファミレスで時間もお昼を過ぎているので人は少ない

 私たちは窓側近くの席に座って適当に頼む

 30分ぐらいだろうか?

 そろそろ出ようかなぁと思っていた時に窓の向こう側に潤一の姿が見えた

 それも、隣には就職活動をしている学生なのかスーツを着た女の子が笑いながら歩いている

 潤一も笑いながら一緒に歩いていて、すぐに私たちのいるファミレスの中に入ってきた


「潤一君、聞いてる?」

「はい、聞いてますよ。それで?」

「それでね~」


 可愛い声の女の子…見た目も小さくて可愛い…

 潤一より頭1つ小さくて可愛らしい女の子


 今までの潤一のメールの返信の遅さ、会っている時の反応など、少しおかしかった潤一の言動がすぐに分かった。

 あの子のことが好きになったんだ…

 普通に考えれば25歳の女が19歳の男の子と付き合うなんて難しい

 それに19歳なんて加奈子が言っていた通り、恋したい盛り。仕事で滅多に会えない年上の彼女よりいつもそばにいる大学生の女の子の方が良いに決まってる


 頭ではそう理解してても心では理解できない

 目の奥の方から涙が溢れそうになってきて、私は慌ててトイレに向かう

 そして、ドアを閉め、下唇を噛みながら涙を流すのを押さえる


 私は潤一の事が好き。だけど潤一はもう私の事は好きじゃない

 さっき一緒にいた女の子の方が好きなんだろう

 どうすればいい?潤一の性格からして別れて欲しいなんて言えるだろうか?

 …いや、気を使うに決まってる。だとすれば私から言うべきなんだろうか…

 でもなんて言えばいい?

 潤一は他に好きな人がいるんでしょ?別れましょう。なんて言える?…絶対に言えない。

 言葉自体は言えるかもしれないけど、顔に出てしまうし、声にも出ちゃう

 だから、電話でも言えないだろう

 となるとメールになる

 ………ダメだ、メールで別れ話なんて切り出せない

 でも、私からしないと潤一を苦しませてしまう

 今、ここでメールする?そうしたらこの涙は止まるんだろうか…

 ない…もっと泣いてしまうだろう…

 それだけ私の中での潤一は大きい。


 だけど、それじゃ…まだ19歳の潤一の青春を縛ってることになる

 それだけはしたくない…



 私は携帯電話を取り出して、宛先を潤一にする

 そして、文章を打とうとすると指が言うことを聞いてくれない。

 送信ボタンを押すこともできない…

 潤一の幸せを考えれば押さないといけない。だけど、潤一のいない生活が怖い…

 もし、潤一のいない生活になった時、私は耐えられるんだろうか…潤一に包まれている時のあの幸せはもう2度と味わうことができないし、安心感も無い。そして、潤一の笑顔も見れない


 そう思うと目の前が真っ暗になりそう…

 私は携帯をパタンと閉じて深呼吸をする

 そして、自分にこう言い聞かせた


 潤一のいない生活になれないといけない。と


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