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◇第15話◇ 大人の男性

 

 美穂さんは仕事で疲れたのかすぐに眠ってしまった

 美穂さんを寝室のベッドに寝かせてから、リビングに向かう


「はぁ~……」


 今から1時間前

 やっとの思いで課題レポートを終えて、美穂さんを驚かそうとマンションの入り口の近くに隠れていた時だった

 知らない人と美穂さんが一緒のタクシーから出てきて、楽しそうに話す

 遠くから見たけど、男はカッコよかった。まさしく大人の男性。

 俺なんかとは比べ物にならないような

 美穂さんも笑顔で話してて仲がよさそうな感じ。そして、俺には見せない笑顔だった…


 あれが社会人の美穂さん。俺の知らない美穂さんだ

 あの男性は誰なんだろう…美穂さんとどんな関係なんだろう…


 心の奥からイラつきと不安が湧きあがってくる

 そして、前に考えてしまった美穂さんのいない生活が知らないうちに近づいてきているんじゃないだろうか…

 その夜は結局、不安で睡魔はやってこなかった



「なんか今日元気ないな。潤一」

「…別にどうでもいいだろ」

「何何?なんか彼女とあったわけ?」


 ウザい…

 普段、合コン以外じゃやる気を出さない豊臣がやる気を出し始めた

 今の俺にとってこのテンションはウザい…


「そういや前の合コンの時にお前途中で帰ったろ?」

「悪かったな」

「清水、あ、一緒にいた男ね。あいつが言うには隣の客に殴られたって言うじゃん」

「……だから帰ったんだよ」

「ん~どうも信じられねぇ」

「あのさ、今考え事してんだから1人にしてくんない?」

「1人で解決できるもんじゃないんだろ?どうせ」

「………」


 豊臣の言う通りだ

 俺がどれだけ悩んだ所で何も変わらない。でも人に話すって気にもならない


「それでも話す気無い」

「そっか。んじゃもう聞かないわ。っでだ、そんな悩み事をしている潤一くんに合コンのお誘いを…」

「行くわけないだろ」

「…ですよね~」


 バカなのか?

 豊臣は小さくため息を吐いて携帯でメールを打ち始めた

 おそらくメンバーでも集めているんだろう

 俺はいつも寝ている授業も真面目に受けながら美穂さんの事を考える


 やっぱりあの男性は美穂さんと特別な関係なんだろうか…

 あまり信じたくないけど美穂さんも大人だし、俺みたいな子供を相手するもの疲れるだろう

 それに頼りがいのある人の方が良いに決まってる


 俺はどうするべきなんだろう…

 美穂さんの性格からして自分から別れてほしいなんて絶対に言わない。人が悲しむことはできない人だから。そしたら、言うのは俺からになるんだろうか……


 もし、そんなことが必要になったとき、俺は本当に言えるだろうか…

 泣かずに言えるだろうか…感情を殺せるんだろうか…



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