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◇第13話◇ 子供と大人

 

 昼ごはんを食べ終えて、風邪薬を飲んだ美穂さんはぐっすりと寝はじめた

 お昼の時から何か様子がおかしかったけど、アレはなんだったんだろう…


 雑炊のカップを渡す時、美穂さんは涙を流していた

 あれはなんだったんだろう…もしかして、何かあったんだろうか…

 凄く心配になるけど、どうしてか聞けない。聞くのが怖いのかもしれない


 美穂さんの寝顔を見ていると、時々心がキュッと締め付けられるような感覚に陥ることがある

 寝ている時の美穂さんは起きて話している時の美穂さんより少し子供っぽい感じも見える

 だけど、その分起きている時の大人の感じとのギャップがある

 もちろん、俺の好きな部分でもあるけど、不安な部分でもある

 大人の美穂さん、子供みたいな美穂さん

 俺は両方知っているつもりだけど、社会人の美穂さんは知らない

 豊臣との合コンの時の美穂さんが部下に命令する姿は素直にカッコいいと思った

 だけど、初めて見る社会人の美穂さんは俺とはかけ離れた存在だということも悟った


 自分とは全然違う…

 俺はただひたすら勉強して、めんどくさかったらサボって…自分のやりたいことをして…

 でも、美穂さんは責任を持っている

 部下の上に立つ責任・部下のミスは自分のミス。そんな重いモノを背負って生きている

 そして、そんな世界で生きている美穂さんの周りには大人な男性がたくさんいる

 俺とは比べ物にならないような男性だ

 カッコよくて、頭が良くて、高収入で…ガキの俺とは別次元の…

 いつか…美穂さんは俺を捨ててそっちに行ってしまうんじゃないか?

 ガキの俺に愛想を付かせてしまうんじゃないか?って思ってしまう




 美穂さんの寝顔を見ながら少し泣きそうになってきた

 たった6歳の差。されど6歳の差、小さいようで大きい差。

 自分が社会人になった時、美穂さんは隣に居てくれるんだろうか…


「…美穂さん、俺…早く大人になりたいよ……」


 熟睡している美穂さんの手を握りながら小さくつぶやく

 美穂さんに追いつきたい…いや、せめて近づきたい…でも、美穂さんは凄いスピードで進んでいく

 俺では到底追いつけないようなスピードで。いつか振り落とされるんじゃないかって心配で仕方がない

 だからって、美穂さんに「待ってて」なんて言えない。美穂さんには美穂さんの人生があるから。

 自分の我が儘で美穂さんの人生を狂わせるわけにはいかない

 …もし、美穂さんと別れることになった時、俺はどんな風になるんだろう……考えたくもない…でも、いつかそれはやってくるかもしれない。だから、今だけは…今だけは俺の彼女で居て欲しい…

 美穂さんに別の男性が出てきた時は素直に譲るから…



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