◇第11話◇ サービスショット?
「ど、どうしよう…」
足を攣って美穂さんの家の前まで来て、呼び鈴を押しても中々出てくれない
それほど怒っているってことなのかもしれないけど、ここは突撃してでも謝らないといけない
だから、合鍵を使って家の中に入ると美穂さんが下着姿で倒れ込んでいた
まさかのサービスショット
ってそんなこと言ってる場合じゃない。俺は慌てて美穂さんの側へ駆け寄る
「美穂さん!美穂さん!!うわっ熱あるじゃん」
おでこに手を当てると火傷しそうなほど熱い
そもそもしっかりしてる美穂さんが下着姿でこんなところで寝るなんてありえないし、俺が遅刻してたら電話してくるはずだ
美穂さんを抱き上げ、寝室のベッドに寝かす
そして、綺麗に畳まれている服の中からパジャマを取って苦戦しながらも着させる
あとやることはなんだろ…
普段あまり熱を出さないからどうすればいいか分からない
でも、じっとしていられるはずもなく思いつくことを実行した
お昼になった頃だろうか
お腹も空いてきてご飯を作ろうと冷蔵庫の中を開ける
でも、お見事!っと言いたいぐらい何も残っておらず、今日買い物をするつもりなのが良く分かる冷蔵庫だ
俺は財布を取って近くのコンビニまで走る
俺の食べるモノと美穂さんの食べるモノとスポーツドリンクなどなど
熱を出してる美穂さんにはお粥系の方がいいんだろうか?
何が良いのか分からないけど、お湯をかけるだけで雑炊になるモノを買って急いで美穂さんの家へと帰る
美穂さんの家に着き、ドアを開けると部屋の奥の方で俺の着メロが鳴っている
そういえば、携帯を美穂さんの寝室に置いたまんまだ
急いで音を消すために荷物をテーブルに置いて寝室の中に入る
すると、美穂さんが携帯を耳に当てながら驚いたように俺の方を見てきた
「あ、美穂さん、大丈夫?」
「じゅ…ん…いち…?」
「あ、ごめんね。俺の携帯で起きちゃった?って美穂さんからだ」
俺は携帯の音を消して、美穂さんの熱がどのくらいなのかおでこに手を当てる
まだ熱い…
「ん~…まだ熱あるね。ちゃんと寝とこうよ。ホントびっくりしたよ、部屋入ったら美穂さん下着姿で倒れてるんだもん」
「………」
「んで、身体触ったら熱いし、しんどそうにしてたから慌てちゃったって。あ、ごめん、しんどいよね」
ボーっとしている美穂さんの身体を支えながらゆっくりベッドに寝かせる
その時、美穂さんの顔を見ると目から涙がツーっと流れた
もしかして、涙も出したくなるほど頭とかが痛いのかもしれない
「ど、どうしたの?美穂さん。もしかして頭痛い?病院行く?あ~でも俺車の免許持ってないし、救急車!救急車呼ぼうか?」
美穂さんはただ静かに涙を流していて、俺にはなんでなのか全く分からない
何をすればいいのか悩みまくっていると、美穂さんが「もう大丈夫」と小さく言う
「ごめんね、潤一。もう大丈夫だから」
「ホントに?無理しちゃダメだよ?」
「うん、もう大丈夫。ちょっとビックリしただけだから」
「ビックリ?」
「……まさか潤一がここにいるとは思わなかったから。今日、ごめんね。デートだったのに」
「あ、いや、俺の方もごめん!遅刻しちゃって!」
忘れてたわけじゃないけど、慌てて謝る
すると美穂さんはクスッと笑って俺の手を握った
「私の方もごめんね。待ち合わせ場所に行けなかったから待たせちゃった」
「ううん。でも熱があるなら無理せずに電話してくれればよかったのに……もしかして、昨日の夜のメールとかで気使わせちゃった?」
昨日の夜、美穂さんとメールしてる時にものすごく動物園が楽しみだっとか色々俺が言ったから、熱を出してでも行こうとしたんだろう。そうなら下着姿で倒れてたのも分かる
また美穂さんに迷惑をかけてしまった…いつもいつも俺が美穂さんの足手まといになってる…
もう自分を本気で殴りたい…
「潤一、どうかした?」
「…ごめん、俺があんな子供みたいに楽しみとか言ったから電話しにくかったよね」
「…そんなこと無いよ。私の方こそゴメン。潤一楽しみにしてたのに熱なんて出しちゃって」
ヤバい…なんかお互い凹み始めてしまって雰囲気がガタ落ちになってしまってる…
俺は何を思ったか寝ている美穂さんの布団の中に入ることにした