03.首都エルタリア
ファンタジーに感動して、元の目的を忘れかけていた私だが、とりあえずは誤解を解かなければと思い、慌てて大男に答えた。
「あ、あやしいものじゃないです。ただー、そのー、起きたら森にいて、、、」
そう言ってて、自分でも気づいた。
私、もしかしてめっちゃ怪しい?!
格好は多分相手からしたらおかしいだろうし、1人で森にいる。言い出したら、もう怪しい要素しかない。
大男は怪訝そうにしながら、仲間の魔法使い風の少女に問いかけた。
「なあ、こいつ、、、どう思う?」
仲間の少女も不思議そうに首を傾げながら、答えた。
「大丈夫そう、、」
「ありがとう。お前、名前は?」
そう言って、大男は構えを解いた。
え?そんな簡単に信じてもらえるの?うそを見破る魔法みたいなのがある感じ?
戸惑いながらも、私は答えた。
「ええと、鈴沢綾華といいます。」
「スズサワアヤカ、、珍しい名だな。俺のことはジークって呼んでくれ。で、なぜ自分がこんな森にいるのか覚えていたりするか?」
大男が警戒を解いたのを見て、少女も警戒を解いて仲間の治療に戻ったようだ。
「わからない、起きたらこの森にいたの」
「じゃあ、ここがどういう状態からかもわからないのか」
そこから、ジークがこの辺りについてざっくり説明してくれた。ジークが言うには、ここイリアス大森林はローダネル王国の所有する森の1つであり、現在封鎖中であるということだ。なぜならば、この森の中央には国が管理している古代の遺跡があるが、それが最近山賊に占領されてしまったらしい。
そこで、ジーク達はギルドで依頼を受け、その偵察をしに来た。しかし、その帰りの道中で運悪く魔物に遭遇し、なんとか撃退したものの2人が怪我を負ってしまったのである。ちなみに、私が聞いた爆発音はその戦闘時のものらしい。ダメージを受けたジーク達は、一度治療を優先しようとして開けた場所に出たが、そんな時に私が来たので、山賊の追手かと思われ、今に至るということであった。
また、私の話をすぐに信じたのは魔法使い風の少女は人が嘘をついているかどうかや、敵意があるかどうかを確認することができるのだと、私に説明してくれた。魔法があるとわかった私は興奮し、ジークにいろいろ問い詰めたが、魔法はジークもあまり詳しくないということであった。
その後、私も自分がこの森で目覚めてから、今まであったことをジークに説明した。私がちょうど説明し終わった頃に、
「ジーク、治療おわったよ」
そう言いながら、魔法使い風の少女がさっきまで血を流しながら倒れていた2人を連れてきた。
「おぅ、ありがとうな。紹介するぜ、こいつらは俺のパーティの仲間で、」
「斥候のロイだ。よろしく頼む。」
「私はアーチャーのエマ、大変だったんだね。でも大丈夫、これからは私が守ってあげるよ!」
どうやらさっきの私とジークの会話を聞いていたようだ。先ほどまで、血を流して倒れていた2人とは思えないほど普通に自己紹介をしてくれた。やはり魔法はすごいのである。
男の方はあまり喋りたがる性格ではないらしく簡素に自己紹介をしてくれた。女性の方には、いかにも陽気なお姉さんと言う印象を受けた。
「そしてこっちが、、」
「ん、私は神官のアリア。よろしくね」
いかにも魔法使いです、って見た目をしているのに神官なの?!と、私は驚きを隠しつつ答えた。
「気づいたら森で目が覚めてました、鈴沢綾華です。よろしくおねがいします!」
そして、全員の自己紹介が終わったタイミングを見計らって、ジークが話し出した。
「さすがに記憶喪失の人を1人で森に置いていくわけにもいかない。だから、俺はスズサワを街まで連れてってやろうと思う。そういうことでいいか?」
「もちろんだ、断る理由もない」
「なに言ってんの、女子1人を森に置いていくわけないでしょ」
「うん、いいよ」
全員が賛成したので、私はジークたちについて行きローダネル王国の首都、エルタリアへと向かった。ジーク達だけならば、2時間くらいで着くはずだったが、私がいたことによってちょくちょく休憩を挟むことになり、疲れ果てながらエルタリアに着いた頃には、すっかり夜となっていた。
首都の外側には巨大な城壁があり、その門の横には見張りの兵士が立っていた。その門を通らなければ、首都の中には入れないようだ。
「ここが首都、エルタリアだわ!」
「わぁ、、城壁ってこんなに大きいんだ、、!」
「そうでしょ、そうでしょ!ここの城壁は、世界でも有名なんだから。この城壁はね、建設されてから4回も侵略を受けているのに1回も壊されてないから、いろんな逸話にもなっているの!」
私が感動していると、エマが楽しそうに私にこの街の事についていろいろ説明し始めた。
「エマ、まずは街の中に入ろ?」
止めないと長くなりそうだと感じたアリアがエマに声をかけ、私たちは城壁の門へ向かって行った。
その圧巻の城壁を眺めながら、特に身分チェック等もなく、私はすんなりと街に入ることができた。ここで一悶着あるのが定番なのではないだろうか?とか考えながら進むと、街中は中世ヨーロッパ風の建物が立ち並んでおり、道などもしっかりと舗装されている。夜だというのに案外にぎやかで、多くの人が街中を歩いていた。時々酒場からなのか、うるさい笑い声も聞こえてくる。
「賑やかで良い場所だろ?俺たちはここ活動拠点にしているんだ。ところでだがスズサワ、泊まるところがないならしばらくは、うちのパーティの活動拠点に泊まるか?」
街の中に入った後にどうするか、何も考えていなかった私に、ジークがそう提案してきた。どこに泊まるあてもなく、お金も持ってない私はジーク達の好意に甘えるしかなく、言う通りにジーク達の活動拠点に泊まることになった。
3時間遅れですけど、本日の分です。どうぞ!




