第3話 中間テスト1
剛と戦ってから約1ヶ月が経った。また、この1ヶ月で少しずつ人は減った。俺たち三人はと言うと、少しずつ仲良くなってきた。そんな中、学校では中間テストが始まっていた。この学校では中間テストで筆記は行わない。ただし、実技を行う。広範囲の森をレースしてクリアすることで合格となる。生徒の妨害はもちろん多くの先生方も妨害をしてくる。制限時間は午後3時まで、
そんな説明を受けて刀夜は
(残っている613人は1000人の中でも強者だからここからはさらに厳しくなるな)
警戒を強めていると剛が後ろから「刀夜、一緒にゴール目指そうぜ。」と相談してくる。
「ああ…」
(こういう一緒にゴールしようは置いてかれるやつだな…)
そう思いながらスタート位置に着く。
「序盤は人が多いから、一瞬で集団を抜けるぞ?」
「いや、お前の方が早いから先に行ってくれ、俺は透明化で後から追いつく。」
「了解!」
小声で刀夜と剛は会話をし、
(剛のことを気にしなくていいなら、俺は少し本気で行くか...)
そんなことを考えていたらやばいオーラを纏った人物が目に入る。
(天堂無月そりゃあ生き残ってるよな...あいつには会わないように行こう...)
刀夜にとってこれは”願い”だった。
あいつと闘うのは無理だと未だに肌で感じる。
「剛、あのやばいオーラの奴にだけには関わるなよ?一瞬で死ぬ。」
とだけ言うと
「俺も一つだけ、俺を見失っても俺を信じて前へ進めよ!」
「わかった...ゴールで会おう。」
「ああ」
「中間テスト開始!」
教師の宣言と同時にスタートする。思った通り序盤で能力者同士の妨害が起こっている。目の前には非能力者からしたら、”地獄”と思うだろう光景が広がっていた。
(一瞬で突破する!)
刀を抜いてスピード重視の剣術。「夏の盤」を使おうとした時だった。
背筋が凍る.....。
嫌な予感がした。刀夜は使おうとしていた剣術から防御に切り替え。
「冬の盤「冬眠冬華」」
その後すぐに物凄い衝撃が走る。
氷に囲まれた刀夜は中から薄っらと外の様子を見た。
(巨大な.....竜巻...)
「一旦落ち着きなさい。」
若い一人の男性教師がこの竜巻を出したようだ。
「風系の能力か?」
そうつぶやくと、
「4分の1当たりです...私の能力は「風林火山」」
(なるほど...今のは風か)
「200人程度は逃しましたが...私を倒さない限りは残りの400人は進めませんよ?」
この竜巻は殺傷能力が強いから剛が心配になった。下城はまぁ、大丈夫だろう。
(俺は.....この人を倒すのはめんどくさいから普通に竜巻を突破する。)
刀夜は走って勢いをつけてから飛び、竜巻に突っ込んで強行突破しようとした。
その瞬間...竜巻に炎が舞い上がる。
「風火」
「この竜巻は火で殺傷力が増しました。ここからは突破しようとするものを削っていくでしょう。」
(いや、思いっきり自然を削ってますけど?)
と思ったが修繕班がいるんだったな...
「それにしてもスルーは悲しいですよ...あの先生が嬉しそうにあなたのことを絶賛してたので、興味が湧いているのに」
……あの先生?
体育館での試験で炎の能力を使っていた教師を思い出す。
(よっけいなことを!)
心で叫びながら刀夜は1度竜巻から離れて、冬眠冬華を解除する。
(春の盤は桜が燃えるから使えない..風林火山....めんどくさいな、倒すしか手はないのか?………いや、やっぱり意地でも強行突破する!)
「出し惜しみしてもしょうが無い...」
刀夜は目を瞑り、息を大きく吸ってから息を長く吐く
そして目を開けると同時に刀を抜く。
「春の盤、秋の盤「春花秋月」」
周りの人は刀夜が何もせず刀をしまったと思う。
俺はすぐにトップスピードで走り出す。
「無駄ですよ?炎をまとった竜巻は強行突破は出来ない!」
「そうだな..竜巻が”あれば”だけどな。」
刀夜が竜巻に突っ込む瞬間、竜巻は真っ二つに切れる。
「竜巻を切ったというのですか?…ですが残念でしたねその先には念の為、”山の能力”で作った15mの壁があるので通れませんよ。」
ふふっと笑いながら教師が言うが、俺には関係ない。
壁は既に切れており、目には見えないスピードで刀夜は先程いた地帯を突破する。
「は、早すぎる...」
教師はつぶやく
切った山すらもう見えないところまで来ていた刀夜は(少し派手な技を使ったけど...俺の予想が正しければ...)と考える。
一方先程いた地帯では.....
「誰だ?誰が竜巻を切ってくれたんだ?」
「誰でもいい!出遅れた分急ぐぞ〜!」
「何先に行こうとしてるんだ?どけ〜!!」
といった会話が広がっている。
(人が多かったし、猛スピードで抜けたからな...俺がやったとわかる人はそんなにいないはず...)
そんなことを考えながらスピードを落とす。
刀夜は木の枝に1度止まり、周りを確認してからもう一度走ろうとした。その時……
「待てよ!!」
その声で足を止める。
「なんでお前みたいな雑魚がここまで生き残れてるんだ!?」
その声はいつも刀夜のことをいじめていた集団のリーダーの声だった。
気づけば刀夜の周りをいじめの集団が囲んでいた。
(中間テスト中に来るとは思っていたが…)
刀夜は刀に手を伸ばしたが、
「刀は貰ったぜ!」
いじめ集団の一人が刀夜の愛刀を持っていた。
(盗む系の能力か?)
「これでお前は丸腰…」
「ここからは非能力をいじめるのと同じだな…」
「最近は学校から出れなかったから久しぶりだな!!」
リーダー含めていじめ集団は顔に手を当てながら大声で笑う。
「……んな」
刀夜が小声で呟く。
「おい!?なんか言ったか!?」
「チビっちゃったんじゃないですか笑?」
」
(…非能力をいじめる?)
ピクっと刀夜の手が反応する。
(ふざけるなよ!?非能力は……)
(差別やいじめから耐えるために生きてんじゃねぇぞ!?)
刀夜は沸点を突破する。
「ふざけるな!!お前ら何様だ!?」
刀夜が大声で言った瞬間
笑いながらいじめ集団は「能力者様だ!!」と叫びながら向かってくる。
(武器も持たないたった一人に負けるわけないだろ笑)
そう軽い気持ちで俺は…俺たちは、刀夜の野郎に向かった。刀の力と運だけでここまで生き残ってるんだと思っていたんだ。だが……
甘かった……
いじめ集団のリーダーは膝を着いていた。
「刀は返してもらうぞ?」
刀夜は低い声で刀を振ってから鞘にしまう。
(一瞬だった…一瞬で、俺以外の集団全員が倒れた)
「はぁ、はぁ」
いじめ集団のリーダーは過呼吸になる、刀夜は体術も強かった。
いや……
(俺たちが弱かったんだ……)
「殺さないでください…」
いじめ集団のリーダーは涙を流し、頭を下げる。その様子を見た刀夜は
「能力者様じゃなくてそっちの方がいい様だな笑」
刀夜はそう言い残し、首に1発入れて気絶させ、そこから去る。
刀夜は走りながら思った。
”やっぱりこの世界は変えなきゃダメだ……”
今現在、森の3分の1を超えたところだろうか?
時刻は11時、まだ全然時間はある。
スピードを上げているため、戦闘をすることなく前に進む。だいぶ戦闘をし合っている人を抜いたのでそろそろ先頭が見てくるかな?と思っていた時、
「遅かったじゃない?」
聞き覚えのある声が聞こえる。
「下城...お前もうこんなところまで来てたのか?」
「まぁ最初の先生の妨害を受けなかったからね。」
「剛は見たか?」
「見てないわよ?一緒にいると思ってたんだけど...」
(そうか...心配だな...)
次の瞬間
下城は後ろから刃物で刀夜の首を狙う。
「こんな簡単に騙せるとはな笑」
聞き覚えのない声に下城の声が変化する。
(変装!?)
刀夜はすぐにその場から離れる。
(あんな能力者もいるのか……)
(声をかけられるまで全く殺意を感じなかった...)
森を再び駆け抜けていると、嫌な予感がした。
「…誰だ?」
さっきの変装の奴か?と思ったが、ものすごい気配を感じた刀夜は刀に手を置く。
「名乗るほどじゃありませんよ...ただ...順位は”10位”ということだけ言っておきましょう。」
(はぁ〜なんで俺はこうもやばい奴らとばかり会うんだ.....ここは逃げるが勝ち...)
全力で刀夜は森を駆け出す。後ろは見ない...追いかけてきている様子はない
すると目の前にさっきの奴の顔が来る。
(は?)
俺は意味が分からないまま頬を殴られ、殴り飛ばされる。
(痛ってぇ...)
刀夜は何とかくるりと回転をして木の側面に立つ、その木を蹴り飛ばす勢いで自分のスピードを上げる。
「早いですね、なんで逃げるですか?」
「知らない人に話しかけられたらその場から離れろって小学校で教わらなかったか?」
(特別早そうなわけじゃないのに...なんでこんなに俺に追いついてくる?)
奴が拳を構えたのを視認して、木の枝を飛び移りながら今までみたいに追いついてきてその拳が飛んでくると予想して警戒する。
後ろに気配が感じたので、身体を反転させてそれを受けようとした。予想は当たり、俺は間違いなくその拳を捉えた...
(なのに……なんで...)
奴の拳は刀夜の腹に打ち込まれていた。
わけも分からず、刀夜は受け身をとる事が出来ずに木に激突する。
「ガハッ!!」
(これは...勝てないな、このまま逃げても俺は...奴に負ける...もう今の全力をぶつけることしか...)
「やっと戦う決意をしましたか...」
「まぁ私の能力を知ることが出来なければ君は勝てないですけどね笑」
(そう...まずは奴の能力を知らなきゃ...特別早いというわけじゃないことだけは分かる。)
まずは試すだけだな…
刀夜は刀を抜く。
「妖刀 四季……」
前と同じ刀だが...前は”愛刀”今は”妖刀”この違いはこの刀に自我が宿ること...
愛刀と叫べば、力を加減するために”自我”を抑えた状態で使える。
妖刀と叫べば、力を解放し、”自我”を持った刀本来の力で使える。
さっきいじめ集団に刀を奪われた時、これを使う事もできたが、それは何か嫌だった。
だいぶ前に来たからあまり人は居ない。
つまり俺も本気で戦えるということ。




