第2話 腕試し
次の日
刀夜は昨夜の戦いで身体がガタガタだった。
蓮のことはというと...悲しみを乗り越えたという訳ではない...が最強の男、天堂無月やつを倒すまでは
(待っていてくれ!)
キーンコーンカーンコーン
そこでチャイムがなる...
(次の授業は体育か...というか授業は思ったより普通の学校だったことに驚きなんだよな)
そんな呑気なことわ考えながら体育館に向かう刀夜
(いやぁ〜ここら辺ももう修繕されてんだな...)
昨日穴が空いていたはずの体育館はすっかり元通りだった。
その後授業が始まり、体育館で体育座りをして先生を待っている。
そこで多くの教師が体育館に入ってくる。
「遅れてすまない!今からお前たちの基礎を測る!番号順で先生達と組手をしてもらい、一撃でも入れることが出来なかったものは退学とする!」
(!?)
その言葉におそらくクラス全員がびっくりしただろう。一番最初の関門。問題は力を出しすぎるとクラスの人に能力、実力を予測されてしまう。これはかなり、今後に関わってくる。かといって、力を抑えすぎると一撃も入れることができないため、退学...つまり”脱落”ということになる。
「急に難しい授業だね〜退学者どれぐらい出ると思う?”如月くん”」
「そうだなぁ〜存分に戦えないのは大変かもな」
(うん?)
「なんで俺の名前を?ってか誰?」
(こんな最下位争いをしているような奴に話しかけてくるなんて...こんな時にまで虐めをしてくるのか?)
そう思っていると
「名乗ってなかったね、私の名前は下城咲希よろしくね〜」
妙に馴れ馴れしかったので
「俺みたいな最下位争いの人間に話しかけるなんて物好きだな...」
そう冷徹な対応をすると意外な答えが返ってくる。
「そうかな?順位が全てじゃないからね」
「それはそうと番号順だから君が先かな?どれぐらいの強さか拝見させてもらうよ?」
(面倒くさそうな奴に絡まれたな...)
そう思っていると、1番、2番、3番の人が同時に挑み出す。
「制限時間は5分!当然先生方も君たちを”殺しこそ”はしないが、油断すれば大怪我は避けられないだろう!今のうちに退学を宣言すれば助かる。とだけ言っておこう。」
「...」
しばらくの間誰も名乗り出ない。
「お前はいいのか?」
なんて色んなところから刀夜は茶化されるが無視する。
「では!!開始する!」
その言葉と同時に始まり、3人は先生に立ち向かっていく...そしてすぐに
ボキッ!と鈍い音の後に
「うわぁぁぁ!足がぁ!?」そんな叫び声が聞こえる。
「2番!脱落!医療班運べ!」
医療班が”骨がおかしな方向に回った”足を治すために能力を使う。
1番の人は何とか不意打ち系?の能力で一撃を与える。
「続いて1番合格!3番は退学!次の3人前へ!」
脱落した3番の人の意識はなかった。
その次の3人は足が動かない、もちろんクラス全員呆然とする。
(ここまで本気で来るのか?)
先程の3人のうち2人は退学を選び、1人は立ち向かう。
...がそのまま返り討ちに合う。
刀夜の番が来る前までで数人余裕で合格した人達がいたが、脱落した人の方が明らかに多かった。
(もう順位が864位に上がっている。始まって数分でこの減り方、まさか...ほかのクラスも同時にやっているのか?)
「次の者!!」
そう考えていると刀夜の番がやってきた。
(でもあの程度の強さなら俺は余裕で合格だな...)
と教師の前に立つ
刀夜が構える前に教師は驚きの行動にとる。
「能力解放!」
(は!?能力も使うのかよ?てかなんで俺の時だけ?)
心の中で刀夜が混乱していると
「先生〜さすがにそいつに能力を使うのはオーバーキルですって笑」
そう野次で笑っている奴らがいるが、刀夜は目の前にいる教師に集中する。
「始め!」
その合図で、教師は手に炎を纏いこちらに何発も飛ばしてくる。
(ちょっと体術だけじゃ無理かな...?)
そう思い、刀に右手を置く。
教師は次々と手に炎をまとい俺に打ち込んでくる。それを刀夜は素早く避ける。
「あいつあんなに早いのか!?」
さっきの野次馬達が言い出すが...
興味の無さそうにしていた数名も俺の戦いに目を向ける...
(炎系の能力か.....なら!)
刀夜は後ろに回り込む。
(その順位とは思えない速さだが…甘い!)
そう思っている教師の思惑に刀夜は気づいていた。
(この感覚は...まだ目で追えてるな...)
刀夜は直感でそう感じ、教師が後ろを向く前に刀を上に投げて...拳を固め、左ストレートを打ち込む
案の定教師はそれに反応して
(これで終いだ!)
「炎の剣」
炎の剣でカウンターを狙ってくる。刀夜はそれを確認した後、拳を緩めて手のひらを開き教師の剣を受け流す。
(あっちぃ〜)
刀夜は受け流されて隙だらけの教師を右足で上に向けて蹴りあげる。
「ぐっ!」
(冬の盤「雪の華」)俺は心でつぶやく
「何を?」先生がつぶやく。
その時、教師の上には刀夜が事前に投げて上空を舞っていた刀が落ちてくる。
教師がそれを視認したと同時に刀から雪でできた花が出てきて、氷を飛ばす
(先に仕掛けといて、後から発動する剣術...不意打ちによく使う技だ、しかも空中では避けられない。これならいけるだろ?)
そう思ったのだが...
「実力を隠すために手加減したのが仇となったな...」
「まじか...」
教師は空中で炎を使って熱風を生み出し、ギリギリで氷の花を避ける。
「残念だったな...」
刀夜に向かって急降下し、炎の剣を振る。
(ああ...)
「良かったですよ…油断してくれて」
(この剣術は二段構えだ!)
二回目に飛んでくる氷には反応しても避けきれず、教師の背中に優しく当たる。
刀夜にあたるスレスレで炎の剣が消える。
「俺の負けか...強いな...」
教師は少し笑った気がした。
(一回目が当たる気で技を使ったんだが...まぁ全然実力なんてバレないだろう。)
「すまない...能力を使ったのは昨日の戦いを見ていて、試したかったからなんだ(小声)」
(そうだったのか…)
能力を使った理由に納得をする刀夜。
「おめでとう合格だ!」
そう言われて座っていた位置に戻る。
(ぶっちゃけ昨日の戦いのせいで身体がガタガタだったから能力使われた時はさすがにやばいと思ったんだよな。いや〜何とかなって良かった。)
戦っていて気が付かなかったが刀夜より早く下城咲希は合格していたようだ。
(俺の試合もそれなりに早かったんだけどな)
「強かったね〜お疲れ様!」
と言ってくる。
「たまたまだよ...」
そう言い返すと
「そうだよ!下城さんこいつが合格なんてありえない!」
さっきの野次馬が言っている。
「おい!お前の番だぞ!」
教師に注意され、前に出る。
「すいません...」
(あんなに強気でいたから強いのか?)
そいつは刀夜がさっき戦った教師との試験で、能力を使う前に炎の剣で足を切られてしまう。
「15番!脱落!」
「貴様のような煽る癖に弱い奴が一番の弱者だ!」
と先生は言ってくれる。
そのまま授業は進み....
クラスで残ったのは半分ぐらいで、あらためて強者が出揃った気がした。
(現在の順位は.....650位...かだいぶ上がったな...)
校章を確認して刀夜は驚く。既に350人が退学それか死亡という事実に。
こうして急に始まった試験は終わりを向かえた。
(今日でだいぶ人数が減ったな...。)
人数にして約半分の人がいなくなってしまった。
そして刀夜は自分の刀
「愛刀 四季」
を見てつぶやく
「俺は勝ち残るぞ.....」
(そして.....)
次の日...
いつも通り廊下を歩いて教室に向かう途中だった。
「刀夜くん、おはよう!」
(げっ!下城咲希...)
刀夜は分かりやすく嫌な顔をする。
(苗字呼びから名前呼びになってるし、本当に馴れ馴れしいな...)
刀夜はそう思っていると
「おい...そこのお前...」
「呼ばれてるよ?」
(きっと俺じゃない、俺じゃない)
面倒事は避けたかったため、自分じゃないと信じて無視する。
「650位のお前だよ!」
はぁ〜〜と心の中でため息を吐いて低い声で「何か用ですか?」と聞く。
「俺と勝負しろーーーー!」
その人は大声で向かってくる。
「俺は650位の雑魚ですよ?」
刀夜はもう戦い続きで嫌だったので誤魔化そうとする。
「教師を超える完璧な戦術を考えれる頭脳、その戦術を可能にする身体能力。お前は強いんだろ?」
(クラスの子だったのか...あまり目立つと俺の実力を知られて今後不利になる...戦いは避けたい。)
そう思っているけど...
「いくぞ〜!」
向かってくるんだよな...
単純な攻撃なので軽く横に避ける。
「下城咲希、助けてくれ」
助けを求める
「え〜めんどくさい」
(俺もめんどくさい)
見た感じ378位だったので油断すれば負ける可能性すらある...
「わかった、まずは場所を変えよう、廊下は目立つ。それと、ルールを作ろう。先に俺が攻撃を与えたら、もう戦うのはやめてくれ...俺が先に攻撃を食らったらお前の好きにしてくれていい。」
(これでいい、わざわざ殺したりする必要は無いし、本当にめんどくさい。)
「了解した!!」
元気よく了承してくれたので一度戦いを中断してから目立たない場所に移動して再び対面する。
「なんで下城咲希までついてくるんだよ...」
「いいでしょ?あなたの力を観察しようと思ってね...それより集中した方がいいんじゃない?あの子多分...”強い”わよ?」
刀夜はその言葉をよく聞いておけば良かったと後から後悔することになる。
「今度こそいくぞ?名乗り忘れていたが俺の名前は東川剛だ!」
「俺は刀夜、お手柔らかによろしく。」
挨拶を終えた瞬間、剛は次の瞬間消える。
(消えた?あの最強と同じぐらい速いのか?)
そう思うがすぐに真実に気づく。
(いや.....これは...)
頬を汗が通る。下城の言う通りこいつは油断できない相手だと再認識する。
「透明化の能力か?」
俺が言うと何も無いところから声が聞こえる。
「こんな早くネタがバレるとはな...でもわかったところで何も出来ない!くらえ!」
後ろから見えない拳が飛んでくる。剛が話していたおかげで場所を把握し、その見えない拳を刀夜はバク転で避ける。
続いて拳が何回も飛んでくるので感覚で躱す。一度距離をとってその後すぐに刀を抜き、
(まずは場所を把握しなきゃな...)
「春の盤 「桜斬・散」!」
桜を撒き散らす。
(あいつ何を!?)透明中の剛は疑問に思う。
刀夜は刀を構えながら考える。(この桜は本来目眩しに使うが...この桜が剛の頭に止まったりすれば...)
その下、すなわち剛が居る位置は桜がない空間ができる。
刀夜はそこを瞬時に見つけて刀で切る。
刀夜の刀は切りきることが出来ず、途中で止まった。
なぜなら剛の身体に当たったからだ。
「みね...うち...?」
剛は倒れる。
「俺の勝ちだ!約束は守ってもらうぞ。」
「一撃入れたら勝ちなのに一撃で終わらせちゃってんじゃん…」
下城は少し引いている。
「結局今回は見たことある技の応用か〜」
(!?)
刀夜は聞き逃さない。
「見たことのある技の応用?」
(俺はこの学校に来て「春の盤「桜斬」」はあの最初の戦い以外使っていない...まさか...)
「下城...お前あの天堂との戦いを見ていたのか?」
刀夜は真面目な顔で訝しむように問う。
「うん見てたよ〜よく第1位相手に認められたよね。あの最後の攻撃は私だったら死んでるかも...」
「お前...天堂のまわし者か?」
(最初からおかしかったんだ、最下位争いをしているような俺に話しかけてくる物好きなんているわけない。)
「さぁ〜どうでしょう?」
下城は答えてくれない...
その時剛が目をさめる。
「刀夜!お前は凄いな!一度戦った仲だし、今日から俺らはライバルであり、友だな!」
「馴れ馴れしいかもしれないけど俺は君を尊敬する。」
「俺は友達を作る気は無い...ライバルは勝手にそう思っていても構わない。」
刀夜は持っていた刀をしまい、教室に戻ろうとした。
「友達なんて作っても...別れが悲しくなるだけだ...」
「なんて思ってるんじゃないの?」
下城が俺の心を言い当てるかのように言ってくる。
「.....」
「図星ね...私は居なくならないわよ?強いからね!」
「よくわかんないけど俺も強いから負けないぞ!」
剛も下城に続いて言う。
「友達になりましょうよ...私達三人。一位にならなくたって卒業まで生き残れば一緒に卒業出来る。みんなで勝ち残りましょう。」
(俺は...友達なんか作っても、一位以外はみんないなくなるからいらないと、蓮が死んでから決めつけていたのかもしれない...そりゃあ友達になってその後すぐに死んだらトラウマになる...。けど.....俺は...共に競い合える友達が欲しかったのかもしれない。
それこそ蓮は弱い、俺が守らなきゃいけなかったんだ...
刀夜は拳を強く握る。
「わかったよ...生き残ろう、”三人”で」
「じゃあよろしく」
俺たち三人は拳を当て合う。
(それにしても下城が蓮のことまで知っていたとは...いつから戦いを見ていたんだろうな。)
そう思いながら教室に”三人”で歩き出す。
(そういえば下城って何位なんだろ?)
歩いている刀夜はふと思う。




