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一丁目のほとり ー悪魔との対話形式による日常記ー  作者: 蘭鍾馗


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9/9

【日常の8】字は丁寧に書こう

 最近ねえ、ずっとサボってることが一つあってね。


 ◇


「何?連載の更新は出来たじゃない。」

 手書きの日記。

「ああ、エッセイ『還暦厄災記』の元ネタにしてたアレ?」

 アレ。

「元々は『字が下手になって漢字忘れ始めたから』って書き始めたやつね。」

 そうそう。

「何時から書いてないの?」


   〜 確認中 〜


 最後に書いたのが7月12日だねー。

「4ヶ月以上前じゃん。」

 また字が下手になって漢字忘れてるかも。

「……その辺は後で確認しといてね。」


 ◇


 PCで仕事してるからって言っても、手書きのメモでのやりとりが無くなった訳ではないからね。ちゃんと人に渡して読んでもらえる程度に綺麗な字が書けるのは大事なこと。

「そうよねー。」

 高校の頃、世界史の先生で恐ろしく板書の汚い人がいてねー。

「それ困るわね。」

 特にカタカナが駄目で、『ス』と『マ』と『ヌ』の区別が付かない。

「え?待ってどういう状態?」

 紙に書いてみると分かるよ。


……★……★……★……


「わかった。最後の右斜めの線の位置がいい加減なのね!」

 その通り。で、世界史だからカタカナいっぱいでてくるでしょ?

「うわー……。」

 大変だったんですよ。


 ◇


 仕事でもねえ、字が汚くて困る人がいるんですよ。

「どんな状況?」

 その人の場合、汚くて読めないのは漢字。

「ああ、やたら崩して書くとか?」

 それな。でも、普通は崩して書いても何とか読めるはず。

「ものすごく崩すとか?」

 まあ、それもあるけど、その崩して書いた字が、なんか見た事のない不思議な形をしている。

「え?」

 最初は読めないのは崩し過ぎてるからだと思ってた。でも、それだと崩し方の癖とかに慣れてくれば何とか読めるようになる筈なんだ。

「その人の字はそうじゃなかったのね。」

 で、ある日、その人が採取した分析サンプルの袋に名前を書いている所を目の前で見ていたら、理由がわかった。

「理由は何だったの?」

 書き順が間違ってたんですよ。

「書き順?」

 書き順が間違っているとねえ、崩して書くと変な形の読めない字になってしまうんですよ。

「あー………なるほど!」

 書き順大事。

「……大事ね。」


 ◇


 仕事って、人と人とのやり取りの積み重ねだからさ、手書きのメモだって意思疎通のための大事なメディアなわけですよ。

「そうよねー。」

 だから、人に渡してちゃんと読んでもらえるくらいの丁寧な字を書くように心がけないとね。いちいち確認しないといけないようじゃ周りが大変だから。

「本当よねー。私の周りでもそう言えば字の汚い人いたわ。」

 どんな人?

「ムハンマド11世。私が最後に仕えたグラナダの王様。」

 そうだったの?

「あの人、絵も描くしウードも弾けた文人だったんだけど、字だけは駄目だったわね。」

 意外だなー。

「でもね、汚いなりに丁寧だったから、読めないことはなかったわね。」

 それ大事だね。

「本当にね。」


 ◇


「今日は小芝居やらないの?また窓から出ようか?」

 いやー、そういうのはそろそろ要らないかなと思ってね。

「そうね。私もその方が助かるわ。」


 じゃ、またね。

「おやすみなさい。」






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