【日常の16】もうすぐ桜のシーズン
「気が早すぎない?」
そかな。
「まだ1月なんですけど。」
そだね。
「桜ってば4月じゃないの?」
それがね、2月に咲く早咲きの桜があるんですよ。
「そんなのあるの?」
河津桜って知らない?
「あ、なんか聞いたことあるかも。」
2月上旬頃から咲くんですよ。
「早っ。なんでそんなに早く咲くの?」
それはですね。
「それは?」
次回の『あてどない植物記』でくわしく解説します。
「何それ。」 ( `ー´)ノ”★
◇
ここではごく簡単に説明を。
「はいはい。」
伊豆の河津町ってとこに、河津川って川があってね。
「ふんふん。」
その両岸の堤防に、超早咲きの「河津桜」っていう桜が植わってるんですよ。
「なるほど。」
それが濃いピンクのきれいな桜でね。
「ほー。」
毎年、2月上旬~3月上旬ころまで『河津桜まつり』が開かれて。
「開かれて。」
屋台が出たり。
「出たり。」
ちょっとしたイベントが開かれたり。
「するんですね。」
するんですよ。
「で、毎年それを見に出かけるんだけど、今年は寒波が来たからまだ咲いてない、みたいな話ね。」
…………全部言われちゃったな。
◇
今週末行くつもりだったんだけどねー。
「咲いてないんじゃねー。」
まあ仕方がない。
「ショウキ的には河津桜見てお終い?」
いや、出店も見て回るけど、なんで?
「いやなんか、ショウキって花しか興味なさそうじゃない?」
そんなことないって。それにね、面白い屋台が出てたりするんですよ。
「どんな屋台?」
まな板屋さんとか。
「は?………何それ。」
地元の建築会社が出してる店でね。イチョウとかホオノキとかヒバとか、珍しい木で出来たまな板を売ってるんですよ。
「……ふーん。」
興味なさそうだね。
「ないわ。」
◇
あとはねえ、みかん屋さんがいっぱい出る。
「みかん?」
このへん、みかん畑多いんですよ。
「わざわざ伊豆まで来てみかん買うの?」
それがね、東京のスーパーで売ってないみかんがあるんですよ。
「どんなみかん?」
レモンイエローで、皮の厚いみかん。
「なんか酸っぱそう。」
それがね、とても甘いんですよこの酸っぱそうなみかんが。
「そんな見た目で?」
名前は『はるか』。
「聞いたことない。」
東京のスーパーなんかではめったに見ない品種だよ。
「へー………。」
河津桜まつりに行ったら、必ず買って帰るみかん。
「買ってきて!食べたい!」
はいはい。再来週だねきっと。
◇
あとねえ、毎年じゃないんだけど、変なイベントが開かれたりする。
「どんな?」
こないだ行ったときは、クラシックカーのオーナーズクラブみたいなのが来て、車を展示してた。
「へー。桜関係ないよね。」
ないね。
「他には?」
極めつけに変だったのは、『発動機運転会』みたいな名前の同好会が来た時。
「何それ?」
何ていうかな………木の台に据え付けた古いエンジンが沢山展示されててね。それを回して眺めるだけ、みたいな奇特な人達。
「は?」
その台に据え付けたエンジンが、スパンスパン音を立てながら回るのを見て喜ぶ。
「…………」
それで何かを動かすわけじゃなくて、ただただエンジンが回るのを見て喜ぶ。
「…………」
まあ、見てるとそれなりに面白かったよ。牧歌的で。
「ショウキってそっち系のひとだったの?」
そういう訳じゃないけど、まあそんなに嫌いじゃないかな。
◇
「ま、とりあえず今週末はおあずけ喰らっちゃったわけだ。」
わけだ。
「とりあえず、再来週行ったら『はるか』よろしくね。」
うん、買っとく。
「こんなとこかしらね。」
そうだね。
「じゃ、また。」
またね。




