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ワタリドリ  作者: 梔子依織
第六章
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鳥は渡る

 供養が終わればすぐに村を出ていくつもりだったのだが、雨水の頭首就任式までいて欲しいと頼まれ数日間村に滞在することになった。

 産みの親とこれまであったことを話し、雨水には実の兄弟であることを告げた。イタチとも暫しの別れを惜しみながらも久々に高津賀の森を駆け回った。

 そして今日、雨水の頭首就任式が終わり白露たちはまた旅に出る。

「ここで暮らせばいいのに」

 屋敷の門に寄り掛かりながら雨水が唇を尖らし不満げに告げた。白露はそんな兄の様子に呆れた表情をみせる。切ってしまった髪は雨水と同じくらいの長さになり、どっちが白露でどっちが雨水か一目では見分けがつかなくなってしまった。

 まるで鏡のようだと雨水を眺めながら白露は首を振る。

「お前は二度と悲劇が起こらないように村を改善する。おれはまだ色々な世界がみたいんだ」

「……いつかまた出会えるよね」

「その気になればいつだって」

 寂しそうな雨水の言葉に飄々と肩を竦めた白露はくるりと背を向けた。冬に包まれていた村は晴天により冷気を溶かされている。春が近づくにつれ雨水の体調も良くなっているようだった。

 今では雨水が頭首になることを反対する人はいないだろう。雨水の代わりに白露が頭首になればいいなんて戯言をほざく人はもう誰もいなかった。

「またね! 白露!」

 ぶんぶんと手を振る雨水。白露は振り返らず手をひらひらと振り返した。

「またな、お兄ちゃん」

 隣で鶺鴒が微かに笑う。そんな鶺鴒の脇腹を肘で突きながら白露は真っ直ぐ空を見上げた。

 雲一つない青空に渡り鳥が羽ばたいている。もうすぐ春が来る。白露と件、そしてイタチが出会った季節が。

 少し早い薄紅で木々を彩り、愛する子の門出を高津賀の森は祝福した。

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