4/7
第四編「この音が聞こえている間だけは」
ぽたぽた、ぽたぽた。
重ねた唇の端から、繋がった下半身から、体液が零れる。
何度キスを交わしても、体を交えても、僕たちが本当の意味でひとつになることはない。
最奥を突き、嬌声を上げさせてる今も、君は多分、別の男のことを考えている。
わかっていたことだ。
君にとって僕は、ただの遊び相手だって。
こんな関係になる前に、言われることだ。
この行為も、愛する夫に相手にされない、ただの当てつけなのだろう。
ただ、それでも──。
ぽたぽたと、辺りに響く水音。
……これは体だけでも、僕たちがひとつになってる証だから。
だからこの音が聞こえている間だけは、どうか、僕のことだけを考えていて。