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元勇者と悪魔嫁は

作者: 明智明

短編になりますが、評価が良ければ連載していきたいと思っております。

是非是非評価&感想お願いします!

「元勇者ルドロフよ。王国から追放する!」


「な、なにを言っているのだ! 俺は魔王軍幹部と渡り合った勇者だぞ!?」


ルドロフは涙ながらに弁明を王に求めた。だが、王の瞳はルドロフに哀れみを向けていた。


「その功績は認めよう。だが、お主は、魔王軍の残党を匿った。それも女型の魔族をな。魔族を妻として向かい入れ、大きな布で身体を隠して町を歩かせていたようじゃやな。この反逆者が!そして、その魔族が暴れ、王国の民に被害を与えた!本来であれば、お主の罪は死刑に値する。だが、魔王幹部と渡り歩いたといわれるお主に刑罰を与えた場合、民衆や他国への信頼が落ちよう。今回お主に与える刑罰は生涯にわたりドミノ王国への入国禁止じゃ!」


王はそう言うと、衛兵を呼び、ルドロフを無理やり連行していった。


「暴れるんじゃないっ。この反逆者が。おい誰か拘束の魔法をかけてくれ。」


元勇者な事もあり、ルドロフを取り囲む衛兵達はバッタバッタと倒していくが神官がバインドの呪文をかけるとルドロフの体に茨の様なものが出現し、縛り上げられる。


「くそっ!離せ!俺達は悪じゃない。頼む!」


ルドロフの声は次第に小さくなっていった。そして、城を出る頃には、もう聞こえなくなっていた。


「おい、元勇者の連れて来た魔族も追い出せ。下手に殺しでもしたらルドロフは本物の反逆者となるであろうからな。」


「お心のままに。我が王よ。」


こうして、王国最強の男、元勇者ルドロフは追放された。


「くそーあのクソ国王がっ。俺の装備類も全て没収しやがって。俺は元勇者だぞ?こんな格好じゃ村人と変わらねぇじゃねーか!」


「まぁまぁ、自称元勇者様。そんな事言っても遅いですのよ」

ルドロフは振り返ると大きな布で身体を包んだ女がプププと口を抑えながら、門から出てきた。


「まぁ、過ぎた事は忘れましょうよ。あの騎士も忘れがってると思いますし、あっもう、隠す必要もないですわよね?それよりも、これからどうしますの?」


布から現れたのは、緑色の髪に2つ角が出ている、緑色の瞳をした紫肌の娘だ。

彼女の名前はヴィータ。種族は悪魔。白色の服を着てはいるが、布地は薄めであり、ボディーラインがくっきりとわかる。肌の色が紫色でなければ声をかけない男はいないだろうと思われるような妖美な表情している。


ルドロフは元勇者だ。現在は引退し、村人の女を妻に向かい入れ、王から頂いた賞金により、退役生活を優雅に過ごしているという事になっていた。


ルドロフは、ゴツゴツとした岩の様な男だ。身長も高く、夜道で出くわすと口をそろえてミノタウロスが出たと大騒ぎするほどである。勇者という職業は魔王に対抗出来る重要な職業だ。また、常に命を落とすか分からない職業である為、生存本能が強く、町などに泊まる日は朝になるまで娼婦を漁るほど飢えていた。だが、ルドロフは全てが規格外な為、娼婦達は金を返すから、無しにしようとせがむものが大半だった。一度娼婦の意見を無視して行為に及んだ結果娼婦が窒息しかけた為、稼いだ大金を置いて逃げた事もある。


そんなルドロフの前に現れたのが、ヴィータであった。


ルドロフはヴィータと出会ったとき、彼女は、魔王軍に所属しており、魔族の村に訪れたルドロフと1対1で殺し合いをした。最初は均衡していたが、徐々にヴィータに余裕が無くなり留めを指す瞬間、隠れていた魔族が一斉に飛び出してきた。ルドロフを攻撃する為に来たと思い一歩引き体制を整えようとした。だが、魔族達はヴィータに駆け寄り泣きながら抱きしめ始めた。それを見たルドロフは魔王の為でなく村人を守る為に戦っていたのだと知り、魔族は絶対悪というルドロフの価値観を見事に壊した。そこから彼女に惚れ、ルドロフは何度も口説いた。最初は殺意を向けられるほどの最悪な関係だったが、今では、ルドロフの可愛い嫁である。彼女は人間に比べて耐久性が高い為、ルドロフの激しい夜の性活にも対応出来た。そんな彼女が、何故王国にいるのかと言えば、安定した生活を求めた、というよりも嫌がるヴィータを無理やりルドロフが連れて来たというのが正解だ。


そんな生活がばれてしまったのは少し前、ルドロフとヴィータは酒場で飲んでいた。そこそこ賑わっていたが、人気が少ない端の席に座って飲んでいた。酒場は次の勇者の話で持ち切りだった。


「次の勇者は女と聞いた。」「大剣を片手で振り回していたから男に違いない。」「美人で巨乳って噂を聞いていたが、胸筋の間違いだな」そんな低俗な話や、次の勇者こそ魔王討伐するだろうと願う声が交わっていた。


そんな話を聞きながらルドロフとヴィータは酒とつまみを頼み、静かに飲んでいた。そこに休暇中の騎士が現れ、ヴィータの隣に座った。最初は静かに飲んでいたが、ヴィータの声を聞き女と知るや否や、ヴィータの尻を触り始めた。最初は注意したが、酒もあってか剣を抜き、頭を下げて謝れと罵倒を繰り返してきた。ルドロフは抑えるよう注意したが、ヴィータがキレてしまい、爪で騎士の腕を切り裂いた。騎士は篭手を付けていたが、ヴィータは元戦士だ。下から繰り出した攻撃によって篭手は紙のように切れ生身の腕に深い溝を作った。騎士の悲鳴と大量出血で酒場は恐怖に包まれ大事になってしまい、ヴィータの存在が露見してしまった。


「どうする何も、とりあえず国境を越えるしかないな。危険な旅にはなると思うが仕方がない。確か、人間と魔族が共生している町が南東にあったはずだ。そこを目指すか。」


「私の首を持って王の前に行けばまだ間に合いますのよ?」


ルドロフはそっと服を掴んできたヴィータの手を見た。顔は下を向いたまま、震えている。それを見たルドロフは思わず、抱きしめる。


「そんな事二度と言うなよ?お前は俺の嫁だ。誰が何と言おうとな。これは決定事項だ。」


「本当にもうっ。角、胸に刺さってますけど痛くありませんの?」


「痛くねぇ。気持ちいいぐらいだ。そのまま刺されて死んでも悔いはねーな。」


「バカ。早く行きますわよ。私達の幸せな場所を求めて。」


ルドロフはヴィータの言葉に強く頷き、二人は歩き出した。この先どんなトラブルが起きようとも二人の愛が強い限り、乗り越えていくだろう。

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