ワガママ令嬢の幸せ
「あなたの背中」のシャロンのその後になります。
美しい王太子妃様とお姫様の側にいる護衛騎士の恋、そして2人の恋物語には邪魔者が…親に決められ家の為に縁を結んだ婚約者。
私に割り当てられた役は邪魔者の婚約者だった。
デビュー間近の令嬢達の間でまことしやかに囁かれ広がっていった噂。私が事故にあってしまい、婚約解消になり護衛騎士が退任してこの2年のうちにいつの間にか噂は消えた。王太子妃様が絡んでいたから王家が上手く情報操作したのかもしれない。
『消せるのなら、もっと早くに動いてくれたら良かったんです!』
噂が下火になった頃、アンナが私だけの時にこっそり怒ってた。
私としては身体に跡が残る傷も付いたけど、起こってしまったことは仕方ない。それこそアンナに『あのときはお嬢様の涙でバスタブが溢れるかと思いました』と私が少し笑えるようになってから、からかわれるぐらい泣いた。
泣いて泣いて、お肌もボロボロになるほど泣いてある時ふと思ったのだ、我慢を沢山したのにこんなに泣くことになるんだったら我慢しなきゃ良かった。もっとヒルデブランド様にも思いの儘に感情をぶつけてれば良かったのだ、それが出来なかった自分が悪い。
よし、ワガママになろう!
まず最初のワガママは社交界に暫く行きません!そして、次の婚約者をすぐに決めないで欲しい!
ワガママ令嬢シャロンは、両親に宣言したのだ。
そして勝利した、両親は泣き笑いをしながら言ってくれた。
「シャロンが元気になってくれたのなら良いよ」
それから私は社交をしなくて良くなったのだが、とても暇になってしまった。今まで社交や結婚準備や婚約者に使っていた時間、起きて寝るまでの時間全てが自分の為に使える時間になった。
体の傷も完全に塞がっているし、元々健康なので心が癒えたら元気があり余っている。
何をしようかと考えてとりあえず淑女らしく刺繍をすることにした。今まで嗜みとしてしか、やってなかったがやってみると凄く楽しかった。
ボーッとしてたらついヒルデブランド様のことを思い出してしまうこともあったのだが、一針一針モチーフに添って刺していく、刺すことだけに集中出来て終わったら綺麗な模様が出来るのだ。
ちょっと疲れたら庭に行って花をスケッチしてまた違う花のモチーフを刺していく。そうしているうちに刺繍がどんどん楽しくなっていつの間にか、次はどんな模様にしよう、刺し方を変えてみようとなり思い出すことも無くなった。
出来た物はお父様やお母様、アンナそして屋敷中の人にプレゼントしまくったが、時間があるためどんどん溜まっていく。
初めは喜んで受け取ってくれていたが暇に飽かせて作っていたら凄い量になってしまっていた。
溜まっていく完成品を『どうしたらいいのかしら?』と母に相談すると『教会に寄付すれば良いのでは?』と言われ馬車に乗るのはまだ怖くてメイドにお願いした。
ハンカチなどはバザーで売れるので教会にとても喜ばれ売上は、併設されている孤児院の子供たちの服や美味しいお菓子になったらしい。シスターや子供たちからもお礼の手紙をもらった。決して上手とは言えない文字や絵が書かれた手紙を読んでいると、子供たちに会ってみたくなって勇気を出して馬車に乗った。もちろんシュヴェリーン家の護衛も一緒に。
孤児院に着いて直接刺繍をしたハンカチをシスターに渡していると女の子達にキラキラした目で見つめられ、嬉しくなって刺繍を教える為に孤児院へ通うようになった。
最初はこわごわアンナに手を握ってもらいながら馬車に乗り、週に1回程度刺繍を教えに行ってただけだったのが、子供達が可愛くて家から要らない絵本を持っていって読んであげたり、字や簡単な計算を教えたりするようになって、今では週の半分ほど孤児院に通っている。アンナは実用的なお裁縫や行儀作法などの先生。護衛は男の子達に身を守るための術を教えてあげている。
「シャロン様ー。今日はこの本読んでー」
「今日は刺繍が先よ。ね、シャロン様」
「こないだ教えてもらった事ちゃんと出来るようになったよー」
「アンナ先生、洋服破れたー」
孤児院に行くと子供達が銘々話し出す。
シスターの「皆さんお行儀良くしてください」その声が聞こえたら皆決められた場所に座りその日の授業開始。
シスターが「そろそろお菓子ですよ」と、持っていったお菓子を皆に配るとその日の授業は終了。
「シャロン様また来てねー」
帰りに一生懸命手を振る子供達の笑顔が嬉しい。
ワガママ宣言をしてもう2年、そろそろ今後の事も考えないとと思いつつ、子供たちから元気をもらって楽しく過ごしていた。
ある日お父様が『最近出来た美術館に一緒に行かないか?』と誘ってくださった、なんでもその美術館は芸術に興味のある人との交流が出来るサロンがあるそうだ。お父様のシャツの袖に刺した私の刺繍を見て、『一度サロンに行ってみては?』と知り合いに勧められたそう。刺繍のモチーフの参考にもなるかもと思い、お茶会や夜会では無く趣味の交流、それとお父様との久しぶりのお出かけの誘いが嬉しくって『行きたいです』そう答えた。
スケッチブックと作ったものを数点持ち、久しぶりにキチンとドレスを着て出掛ける。着る機会が無かったのに流行に合わせて仕立ててくれていた両親の気持ちが嬉しい。
「いつもの格好も良いけど、ドレスを着ていると華やかだね。とても似合っているよ」
お父様が嬉しそうに褒めてくれる。
「お父様ありがとう。エスコートお願いしてもよろしいですか?」
「もちろんだよ!」
お父様にエスコートしていただいて出掛けるのも久しぶりで自然に笑顔になってしまう。
初めて来る美術館だったので、色んな絵画や彫刻を見て廻りその後サロンに行く。ここのサロンは美術館の開館してる間、資格がある人の参加は自由らしい。広い空間にテーブルとソファーが間隔を開けて幾つかあり、各々が作品を手に話している。壁際にはサロンの参加者の作品も展示されていた。
何となく話し込んでる方々の所に入り込む勇気も持てず、展示されてる作品を見ることにした。
そろそろ見終わるかなという頃、背が高くお父様より少し若い方から声がかかった。親しい方なのかな?目があったので軽くご挨拶をした。
「彼女があのシャツの刺繍を刺したご令嬢ですか」
「はい、シャロンと申します」
「そうかここでは家名を名乗らないことになっているので、シャロン嬢と呼ばせていただくよ。私はジェラルドだよろしく」
「ジェラルド様、よろしくお願いします」
「スケッチブックを持ってるということは、作品も?」
「はい、持ってきています」
アンナが持ってるスケッチブックに目を止めて聞いて来た。
「是非見せてほしい。良いかな?」
キラキラした目が、孤児院の子供達と重なって笑ってしまった。
近くにあったソファーに移動してスケッチブックと持ってきた刺繍をテーブルに並べていく。
「これは…本当に素晴らしい!モチーフも良いデザインだよ」
ジェラルド様の言葉に他の方も私達のテーブルに集まってきた。
絵を描く人、物語や詩を書いてる人、彫刻を造ってる人も色んな芸術を楽しんでる人達だった。
今までの社交とは全く違う雰囲気で、本音で語り合えて楽しかった。絵を書いているアーヴィン様からは自分の絵をモチーフに刺繍が出来るかとか、絵本を書いてるマデリーン様は刺繍で絵本を一緒に作らないかなど色んなお話を楽しんだ。
閉館時間が近づき、話が盛り上がっているしもう付き添いは無くてもいいだろうとお父様は先に帰ってしまってたので、ジェラルド様が馬車までエスコートしてくれることになった。
「私は才能がないんだが、芸術が大好きなんだ、もちろん芸術家達のことも。それでここを作って色々な人の話を聞いているんだ」
馬車までの間にジェラルド様が教えてくれた。
なんとジェラルド様はここの美術館とサロンのオーナーだった。
「これを持っていればいつでもサロンに入れる、シャロン嬢もらってくれるかな?」
「はいもちろんです。また参加させて下さい。今日はとても楽しかったです、ありがとうございました」
馬車に乗ってから素敵なデザインの紋章が描かれたカードを渡された。笑顔で大きく手を振って馬車を見送るジェラルド様に思わず笑って手を振り返した。
サロンで色んな人から刺激をもらい事故以降、人とあまり接すること無く黙々と刺繍をしていたが、ここの人達と一緒に作品を作る楽しみが出来て人付き合いは、怖さだけでは無く楽しさがあるのだと思い出した。
どんどん顔見知りも増えて、私の作品も飾ってもらえたり初対面の人とも緊張せずに話が出来るようになりサロンに馴染んでいった。ジェラルド様はたまに来てサロンの作品の入れ替えをしたり、各テーブルを回り色んな人と、いつもにこやかに話をされていた。
マデリーン様との刺繍絵本が本格的に決まり、サロンの一画にある作業場で刺繍を刺していたのだが、少し疲れを感じて休憩に外のテラスに行くとジェラルド様が難しい顔をして座っていらした。
いつもにこやかなのに珍しいなと眺めていると、目があった瞬間驚いた顔をして向かいの席に座って欲しいとジェスチャーされた。
アンナにお茶を頼んで席に座る、お茶を飲んで一緒に添えられたお菓子を食べていると
「…相談があるんだが…」
ジェラルド様が少し言いにくそうにお子様の話をし始めた。今年4歳になるお子様、フィリップ様の教育で悩んでいるとおっしゃった。ジェラルド様の奥様は元々あまり丈夫な方では無くフィリップ様をお産みになった後、程なく体調が戻らず亡くなってしまったそうなのだ。それで母親がいないのは寂しいだろうとつい甘やかして育ててしまい、最近我儘が過ぎることが増えたがどう教育しようかと悩んでいたと打ち明けられた。
私が孤児院に頻繁に行っているのを聞いていらっしゃって、子供との接し方を聞きたかったらしい。作業中だったので話しかけるのをテラスで待っていたら私が現れたので驚いたそうだ。
「子供のことは、子供に任せません?」
「ん?どういうこと?」
「孤児院には母親どころか両親も居ない子供達ばかりがいるのです。フィリップ様と同い年の子達も居ますし、孤児院の子供達に会って一緒に遊んでみてはどうかしらと思いまして」
「孤児院に?」
「はい。私が行ってる孤児院は、平民ですが比較的行儀の良い子達ばかりですし、初めは身分など違う子とは仲良く出来ないでしょうが子供同士で一緒に遊ぶと、遊びに夢中になって仲良くなれるんじゃないかなと思うんです」
「なるほど」
「一度一緒に見学に行きますか?ダメだったらまた違う方法を試しましょう」
「そうだね、同年代の子と接する機会もないし、一度行こうかな。先に私だけ行って孤児院を見てみたいんだけど連れて行ってくれるかな?」
今週行く日と時間を伝えてジェラルド様が都合のいい日に現地で合流することになった。着ていく服を今よりもラフにすることもお願いした。孤児院を見学したジェラルド様は、シスターや子供達と話をしてフィリップ様を連れてくることを決められた。
そしてフィリップ様と子供達は仲良くなれたのか…。
「待てー!」
「うわぁーー、逃げろー」
泥んこになって走り回っています、なぜかジェラルド様も一緒に。
「はー、子供の体力は凄いねー」
「あっ!ちゃんと泥は外で落としてきてください!」
「はい、ごめんなさい」
「こちらに来るときは手を洗って来てくださいね」
服に付いた泥をパタパタ叩いて、キチンと手を洗ってフィリップ様が遊んでいる様子をお茶を飲みながら見守ってらっしゃる。
「ここに来て良かったよ。シャロン嬢ありがとう」
そうなのだ、初めはぎこちなかったフィリップ様も子供達に囲まれて話すうちに一緒に遊びだし今日で3回目の訪問なのだが泥んこになって楽しそうに走り回っている。
結局、我儘になっていたのはジェラルド様に構って欲しくて甘えてらしたみたい。ここに一緒に来れて、子供達と遊んでもらえ我儘が無くなってお勉強もしっかりやるようになり、今はここに来るのを楽しみにしてらっしゃるそうだ。
孤児院を訪問してからジェラルド様とフィリップ様とも仲良くなり、今日は3人でピクニックに来ている。平民の遊びだけでは無く、貴族の子供の遊びも楽しんでもらおうとジェラルド様が計画してらして、フィリップ様が一緒に行こうと誘ってくださった。
久しぶりの遠出、景色も素敵なところでお天気も良いし誘ってもらえて良かった。フィリップ様も外で食べるご飯が珍しく美味しいのか、いつもより沢山食べていらした。今はお昼寝の時間、可愛いお顔で眠ってる。私とジェラルド様は湖の周りを散策して、草花をスケッチしているところをジェラルド様は楽しそうに見てらっしゃる。
「刺繍が上手い人は絵も上手いものなのかな?」
「他の方のスケッチを見ることは無いのですが、下描きして刺すので上手い方が多いんじゃないでしょうか」
年上の方に失礼かもしれないけれど、ジェラルド様は本当に子供の様にキラキラとした目でスケッチブックを覗き込んでいる。
そうか…と残念そうに呟く姿も可愛らしい。
フィリップ様とお顔が似てらっしゃるからそう見えるのかしら。
うつむいていたジェラルド様と目が合う、ニッっと笑われるところもそっくりで私までつられて笑ってしまう。
スケッチが描き終わりフィリップ様の所に戻ると丁度目が覚めたところで、ジェラルド様はフィリップ様に引っ張られ今は釣りを楽しんでらっしゃる。少し前まで我儘だったなんて信じられないぐらい仲良しな親子だ。
1台の馬車で森に行くので帰りは先にシュヴェリーン家で私とアンナが降りる。
「シャロン帰っちゃうの?」
「はい、フィリップ様また今度遊びに誘って下さいね。ジェラルド様今日はありがとうございました」
馬車でうとうとしてたフィリップ様がジェラルド様に抱っこされながら寂しそうにおっしゃる。そのお顔にキュッと胸が締めつけられるが手を振り見送る。本当に楽しかった、また一緒に行きたいな。
その日から孤児院、サロン、そして3人での遠出。ジェラルド様と一緒に居る時間が増えていった。遠出の度に帰りにフィリップ様が寂しそうに『今日も先に馬車から降りるの?』と言ってくださる。
今日の遠出は、初めて3人で来た湖のある森に来た。少し肌寒い季節になったので今年の遠出は最後かなと寂しい気持ちになりながら、フィリップ様のお昼寝中にいつもの様にスケッチをしていた。
「シャロン嬢、少し話をしても良いかな?」
「はい、大丈夫ですよ」
スケッチの手を止めてジェラルド様が隣に座るのを待つ。
「あのねフィリップが君に懐いてるからとかではなく、あぁもちろんそこも私にとって大事なことなんだけど、シャロン嬢。私は君のことがとても好きになってしまったんだ、私とフィリップの家族になってくれないかな?」
嬉しい、その言葉しか思い浮かばなかった。でも、ジェラルド様は私の体のことをご存知ないのだ。はいと返事をしたいのに言葉が出ない。
「あの…ジェラルド様のお気持ちはとても嬉しいのです。お返事をする前に、話しておかなくてはいけないことがあって…」
私は2年前の事故のこと、お腹の傷のこと、その傷が原因でもしかしたら子供が望めないかも知れないことを話した。途中で我慢出来なくて涙が出てしまったけれど、ジェラルド様はそっと涙を拭いてくださり「うん、うん」と優しいお声で相槌を打ちながら私の話を聞いてくださった。
「申し訳ありません、ジェラルド様」
「ん?それは10歳も年の離れた私と家族になるのは嫌だという返事?それとも今話してくれた理由で一緒にいれないと言うこと?」
「家族にはなりたいです。でも私にはそんな資格が…」
私がそう答えるとジェラルド様は震えてる私の手を握ってくれて
「私はシャロンと結婚したいんだ。シャロンとの子供が出来たらそれは素敵なことだけど、私とフィリップ3人で家族になるのは嫌かい?」
「いいえ、嬉しいです。ジェラルド様もフィリップ様も私で良いですか?」
「あぁ、シャロンじゃなきゃ嫌だ。実は先にフィリップにはOKをもらってるんだ」
そう言って抱きしめてくださった。そして私が泣きやみ落ち着いてから、フィリップ様の所に一緒に行ってジェラルド様は嬉しそうに報告した。フィリップ様も凄く喜んでくれた。
その数日後、ジェラルド様はフィリップ様とシュヴェリーン家に来て、お父様にお話をしてくださりドレスが出来たらすぐに結婚という運びになった。アンナはもちろん一緒に来てくれる。両親は話がまとまるとすぐフィリップ様にあれこれ世話を焼いて、フィリップ様も甘えられる大人が増えて嬉しそうにしていた。
ジェラルド様とフィリップ様が帰られた後お父様とお話をした、実はサロンに行くことを勧めてくださった知り合いは王太子殿下だった。ジェラルド様は側室のクリスティーナ様の親戚で、奥様に先立たれたジェラルド様と、もしかしたら子供が望めない私が気が合ったら良い縁談になるのでは無いかと思ってくださったそうだ。
でも王家から話を持っていって、お互いに合わなければ断り辛いだろうとサロンで自然に出会えるように考えてくださったらしい。
このお話もお父様の判断で言わなくても良いと言ってくださっていたらしい。お父様は話しても私が嫌な気持ちにならないだろうと教えてくださった。
もちろんならない、ただ私が社交界に出ないことで心配をかけた方々が沢山居るのだろうと、ワガママ令嬢になってしまったのをちょっとだけ申し訳無くなった。
今、ジェラルド様の元に引っ越す準備で部屋の片付けをしている。引き出しにしまったヒルデブランド様からの封の開いてない手紙を見つけて手が止まる。アンナに一人にしてほしいと声をかけ読み始める。ヒルデブランド様の気持ち、私を愛してくださっていた思いが詰まった手紙だった。
あぁ良かった、我慢して辛かったけどちゃんと私は愛されてた。
惨めだったり、苦しかった思いも沢山したけど、私は確かに愛されていたのだ。片思いだと思いこんでた恋が報われて、これで本当に終わらせられる。読み終えた手紙を、処分する物に加えてアンナを呼んで片付けを再開した。アンナは何も言わずにそっと私の一番好きなお茶を入れてくれた。
孤児院の子供達にジェラルド様とフィリップ様と家族になることを報告した。子供達は初めは私達がもう来なくなるのでは無いかと寂しそうにしていたが、ここには来るよと伝えると安心したように笑顔で「おめでとう」と言ってくれた。フィリップ様にも「良かったね」との声をかけてて、両親の居ない子供達の前で喜んで良いのかちょっと複雑な気持ちだったようでお祝いしてくれて安心したと嬉しそうにしていた。
サロンでも報告して皆が記念になるお祝いの品を作ろうと、集まって話をし始めて嬉しかった。
「シャロンが幸せそうに笑えてて良かったわ」
マデリーン様がこっそり私に言ってくれた。私がジェラルド様のことを気になっていて、でもそう思わないようにしているのを気づいていたらしい。
前の婚約者とのこともきっと知っているのだろう、マデリーン様の優しさに心が温かくなった。
そして最後、王城に王太子様に結婚の報告をするための夜会に行く。公式の場で初めてジェラルド様にエスコートしていただく日、緊張しすぎてしゃっくりが止まらない。が、迎えに来てくださったジェラルド様を見てビックリして止まった。
ジェラルド様は私を見るなりドレスや髪型が崩れないようにそっと抱きしめてくださって
「シャロン凄く綺麗だよ」
耳元で囁かれた。普段は子供みたいなのに夜会服のジェラルド様の色気が凄すぎる。そのまま流れるようにエスコートされ、いつの間にか王城でした。王太子殿下に挨拶をして結婚の報告が出来た。
「おめでとう、幸せに」
本当にホッとしたお顔で言ってくださった。
それから色んな方にご挨拶を2人でして、ダンスを踊って休憩にお菓子やお酒をいただいたり。結婚の報告が目的の夜会だったのでずっと2人で過ごした。2人共ずっと笑顔で幸せな夜会だった。
夜会でお顔を合わせた王太子妃殿下は、前までのお姫様の様なフワフワしていらした雰囲気が無くなって大人の女性に変わられていた。
ヒルデブランド様は夜会には出ていなかったが、今は王都を離れ王家が設立した騎士の学校で教師をしていらっしゃるそうだ。
そして私はジェラルド様、フィリップ様と家族になった。この先ジェラルド様との間に子供が出来るのかはわからない、でも今の3人の生活が本当に幸せだと思ってる。
あれこれ考えても仕方ない、だって先のことは誰にもわからないのだから。今この時を精一杯楽しもうと思う、大切な家族と共に。
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「あなたの背中」シャロン視点
「青い蝶」王太子妃視点
「護れなかった笑顔」元婚約者ヒルデブランド視点
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