異世界では能無しは即クビになるようです
アビティとして再出発して半年の月日が流れた。
異世界に来たら冒険者としてギルドに所属して様々なモンスターを倒してランクを上げていきやがてラスボスの魔王を倒して英雄になる。
そういう感じになるのだろうと想像していた。
しかし、異世界にやってきてもそんな理想は1日で崩れ去った。
そう、このテオドール青果店にやってきてから……。
「おいアビティ! お前御遣い如きでどれだけ時間潰してるんだよ!?」
店主のテオドールさんは強面で屈強な身体つきだ。最初は笑顔で頼れる兄貴分な感じの人だった。
その期待に応えよう。
そう思っていたのだが、やること成すこと空回りで日に日に笑顔は消え、次第に顔を合わせるたびに眉間にシワを寄せ、仕事をする度に説教を受けている。
「す、すみません! 道に迷ってしまって……」
「お前のすみませんは、もう耳にタコができるくらい聞いた!ぶっちゃけここに来てもう半年だろ? しかもクラウスさんの家なんか何回も行かせてるよな?」
「いや、クラウスさんの家には怖いモンスターがいて……」
「そんなくだらねぇ言い訳を聞きてぇわけじゃねぇんだよ! ああもうゼウスさんの紹介だからって今まで耐えてきたがもうこんな能無し我慢ならねぇ!」
テオドールさんは奥にある金庫を開けて何やらお金を袋に詰めている。
そして、その袋を俺の顔めがけて投げてきた。
「てめぇは今日限りでクビだ! そいつはせめてもの餞別にくれてやる。それとこの荷物を持ってさっさとここから出ていけ! 二度とその面見せるなよ!」
テオドールさんは荷物を包んだ袋を店の外に捨て、次に俺の首根っこを掴んで店の外に放り投げた。
こうして異世界での居場所を失ってしまった。
ボルドー王国に行くまでは比較的早く進んでいく予定です。




