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浮かれて、僕は女性を轢き殺してしまった!?

作者: 七瀬







僕は今! 幸せの絶頂にいた。

もう直ぐ、5年も交際していた女性ひとにプロポーズ

するところだからだ!

いつもは、行かないような高級レストランを予約して。

彼女に、100本の薔薇の花束を贈る。

彼女は、何が起きているのか薄っすらと分かっている様子だった。

僕は、そのタイミングを逃すまいと指輪を渡した。



『ぼくと結婚してください!』

『・・・はい。』




 *



僕と彼女は、高校の時の同級生で僕たちが1年生の時に初めて

僕は彼女に告白した。

その時も、僕は彼女にこう言った。


『僕と付き合ってください!』

『・・・はい。』



あれから、僕と彼女の関係は変わらない。

まあ、5年も同じ女性ひとと付き合っていると? 

どうでもいい事やしょうもない事で喧嘩が頻繫になる事もあったけど...。

僕も彼女も、お互いを理解し支え合っていけると信じていた。

お互いの両親にも、僕たちの関係は伝えていたし。

彼女のお父さんにも、僕は気に入られていた。

だから、年が若く結婚する事もお互いの両親も受け入れてくれたんだ。

僕たちは、お互い20歳で彼女のお腹に命を身ごもった。

僕も彼女も、嬉しくて抱き合い涙した。



『私たち早く、結婚式を挙げないとね』

『そうだな、僕ももう直ぐ“パパ”になるんだしな!』

『うん!』




 *



この頃の僕はまさに幸せの絶頂の中にいたんだ。

幸せ過ぎて、自分自身を見失っていたのかもしれない。

彼女も、僕との結婚式の日を待ち遠しくしていた。



『パパとママ、私のウエディングドレス姿を見たら泣くかな?』

『そりゃ~泣くんじゃない! 特にパパさんはね!』

『そうね!』





結婚式の前日。

僕と彼女は、お互い友達を集めてそれぞれに羽目を外していた。

僕は、仲がいい友達をたくさん集めて飲みに行っていた。

その日は、男友達がお店を貸し切りにしてくれてお酒を浴びるほど

飲みまくっていたんだ。

僕の最後の、独身生活が終わると思うと悔いがないように今日だけは

飲みに飲みまくろうと決めていた。

それと? 僕の男友達が今日だけ羽目を外せるようにと可愛い女の子

を何人も呼んでいたからだ。


『ねえねえ、コイツ! 明日、結婚するんだけど今日だけ付き合って

やってよ!』

『えぇ!?』

『別にいいよな! 明日からは、奥さんになる彼女だけなんだし!

今日ぐらいは、いい思いしてもさ!』

『・・・それって? “浮気”って事?』

『浮気じゃないじゃん! ただのワンナイでしょ!』

『えぇ!? 彼女にバレたらどうするのよ』

『大丈夫だって! 誰も言わないからさ』

『・・・・・・』

『お前のタイプも知ってるしな』

『・・・あぁ、』




 *




僕はその日だけ! 独身最後のワンナイトすると決めていたんだ!

彼女を車に乗せて、○○ホテルに入る予定だった。



『服部さん、本当に大丈夫なんですか?』

『えぇ!?』

『随分とお酒飲んでたじゃないですか』

『大丈夫! 大丈夫!』

『それならいいんですけど、』

『いいんだよね、○○ホテルに行っても』

『勿論! “最初で最後ですよ”』

『分かってるって!』




僕は店を出て、彼女を助手席に乗せて近くの○○ホテルに向かっていた。

彼女以外の女性ひとと体の関係をもつのは初めてだ。

彼女と付き合ってから、他の女性ひとに見向きもしなかったからだ。

ずっと、彼女だけを見てきた。

それがまさか!? 他の女性ひとと関係をもてるなんて!

今の今まで、想像もしていなかった。

でも、僕の助手席には結婚相手の彼女以外の女性ひとが乗っている。 

僕は、物凄く浮かれていた。

お酒も体に回りほろ酔い気分で彼女を○○ホテルに連れて行く。





・・・でも、○○ホテルに行く途中で急に雨が降り出してきた。

視界は、雨も降ってきて凄く悪くなり。

周りも真っ暗で、雨が降り、お酒も入っている。

そんな時、少し遠くの方で自転車に乗っている若い女性を見つける。

赤い傘を差して、自転車をこいでいる女性。

僕は気づいていたのに、ブレーキとアクセルを踏み間違えて彼女を

轢き殺してしまう。

助手席に座っていた彼女は、悲鳴を上げた。

僕は、怖くなってそのまま逃げてしまう。

自転車に乗っていた若い女性は倒れたままビクともしない。

僕は車のバックミラーを見ながら、彼女が立ち上がってくれるのを

じっと待っていたが、信号が青になりそのまま右に右折した。

一度も、立ち止まる事無く僕は逃げたんだ。

こうなると? ○○ホテルどころじゃない。

取りあえず! 何処かに車を止まって。

先、轢いた女の子の事を助手席の彼女と僕は話をした。




『・・・な、なんで逃げたの? “ひき逃げだよ”』

『そ、そんなこと言われても、僕は明日、“結婚するんだ!”』

『もし? あの女性が死んでいたら? どうするのよ!』

『そしたら、【自首】するよ』

『今! 警察に連絡したらいいじゃない!』

『まだ、犯人が僕かは分からないだろう!』

『・・・な、何言ってるのよ』

『君も僕の共犯者だからね』

『・・・・・・』

『一緒に逃げたんだよ』

『私は関係ないじゃない!』

『そんな事、警察に通用すると思うのか!』

『・・・・・・』

『取り合えず、明日ニュースに出たら自首する! それでいいな!』

『・・・ううん、』






…朝一で、テレビをつけてニュースを見たけど?

昨日、僕が車で轢いた若い女性の事はニュースに出ていなかった。

何故なのか、僕も分からない。

僕は、一睡もせず式場に向かった。

会場には、僕たちを祝うためにたくさんの人たちが集まっている。

彼女も、ウエディングドレスに着替えて嬉しそうに僕に話しかけてきた。



『昨日は、よく眠れた?』

『・・・い、いや、一睡も眠れなかったよ』

『もうー緊張して眠れなかったの?』

『・・・ううん、』





僕はこうして、彼女と結婚式を挙げた。

まさか!? 結婚式を挙げた後“最悪の状況”になるとも知らずにね。





最後までお読みいただきありがとうございます。

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