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お題シリーズ

比喩 シーズン・ギルド

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2021/02/20



 弱くてちっぽけな冒険者達は、強大な者達に遠く及ばない。

 だから彼らは、ギルドを作る事にした。


 その者達は、まだ知らない。

 これから駆けるように過ぎていく時の中身を。





 一月の人は、始まりの瞬間に居合わせた。

 まっさらな心で、世界が始まるのを見届け、絆が培われていくのをその目で見ていた。


 二月の人は、産声をあげる世界で、ただ祝福され幸福にひたっていた。

 これから何が起こるのか全く知らずに、

 世界はただ、優しい揺りかごそのものだった。


 三月の人は、小さな別れを経験した。

 けれどそれは、心に傷をつくらなかった。

 温かくて、幸福な別れだった。

 まだ、胸が痛むほどではない。


 四月の人が、新しい出会いを引き連れてきた。

 輪に、一つの可能性が加わる。

 みな、その新参者を歓迎した。


 五月の人は、可能性を感じていた。

 弟子とした新参者の成長には、目を見張るものがあった。


 六月の人は、いつも憂鬱な気分を抱えていた。

 年長者であるその者は、とりたてて才能のない人間だった。

 活躍する若者がまぶしかった。


 七月の人は、あらゆる面で飛躍をみせる傑物だった。

 それにつられ、皆が力を伸ばした。

 輪は大きくなり、季節達の数は一気に増えた。


 八月の人は躍進し、変化に富んでいた。

 才能を開花させる者が多くいた。

 そのため、季節達は神の領域へもたやすく手をのばした。


 九月の人は、輪の外でそれを眺めていた。

 大きくなった泡は、いつかはじける。

 その時に備えて、何も言わずに去っていった。


 十月の人は、口を閉ざした。

 古巣に誰も近寄らず、孤独な時間を過ごしていた。

 慎ましく静かに、けれど逞しく生きていた時を忘れる事ができなかった。


 十一月の人は、歯車を盗んだ。

 小さな部品を引き換えにして得たのは、大金。

 笑いながら泣きながら、季節達の元を去っていった。


 十二月の人は崩壊を目にした。

 一瞬で、後には何も残らなかった。

 上げた嘆きの声すら闇の中に沈んで消えていった。




 そして跡形も残らない。

 誰もいない。


 残った者は滅びに巻き込まれ。

 去った者は傷を受けた。


 彼等の残した足跡は、やがて全てが消えていった。



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