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86話 狂気VS狂気

「なんだ……何の声だ!」


 慌てるスティグマ。


 不気味な声は空を震わせ、徐々に形を作り出していく。


 そして。


「やれやれ……そこの小僧にマークをつけといたのは正解だったなァ」


「あ……プサイ!」


 トレンチコートに中折れ帽、インクの顔を歪ませて笑うプサイが晴葵達を(かば)うように立っていた。


「何者だ……貴様」


 スティグマがプサイに尋ねる。


「おいおい、久しぶりだなァ。ずいぶん変わっちまったじゃねぇか。ええ?オメガ」


 スティグマの言葉を無視してプサイがオメガに笑いかける。


「我を無視するとは……!消えよ!」


 スティグマが腕を振ると巨大な針が地面から突き出してプサイに迫る。


「ちっぽけな『破壊』じゃねぇか……仕方ねぇ、相手してやるか。生き延びろよ。ガキ共」


 プサイは晴葵にニヤリと笑って腕を振るう。


 すると……どこからともなくザザァという波のような音が聞こえる。


「こ、この音は……」


 幸大が耳を澄ますと。


「津波でござる!」


 匡也が自身らの後方を見て叫ぶ。


 そこにはスティグマの針山なぞ軽く飲み込む巨大なデータで作られた大波が迫ってきていた。


「さぁ……デリートだァ!」


 そして津波は針山を崩し、街ひとつを飲み込んだ。



「さて……無事か?ガキ共」


 ガレキの頂上に立ち、波が去った荒地を見るプサイ。


 線路は壊れ、ビルは潰れ、街は破壊され尽くしていた。


 そこの中心で。


「こりゃ……驚いたねぇ」


 前と後ろに『デバッグソード』を盾状にして立ち、内側の小弓と千弦やサン達全員を守っている匡也、幸大の姿があった。


「なぜ……俺たちまで……」


 ディガンマが晴葵に尋ねる。


「晴葵が言っただろ?敵を助けちゃいけないルールはないんだよ」


 ニコリと振り返って笑う幸大。


「生きてやがったか。面白ェ」


 ケラケラとプサイが幸大達の近くに降りてきて笑う。


「晴葵は無事でござるか!?」


 匡也がキョロキョロと周囲を見回す。


「あぁ、こっちだよ」


 津波からオメガを守った晴葵と文菜が近づいてくる。


「私を放っておけば、お前達の勝利だったのだ。なぜ、自分たちが不利なことをする」


「うーん……君がサン達の『仲間』だから、かな?」


「『仲間』?」


「そう、大切な人。君にとっても……そうだろ?」


 オメガはハッとしたようにサンやヘータ、ショー達を見る。


「……忘れてた。どうして、こんなに大事なことを忘れてたんだろ……ディガンマ、サンピ、コッパ……ヘータ、ショー……サン」


 涙を浮かべて自身の作ったAI達を見るオメガ。


 次の瞬間、オメガの首筋にあったスティグマの聖痕が消え去る。


「オメガ!ウチらが……わかるのカ……」


「当たり前じゃない……長い間、待たせてごめんね……サン、みんな……」


 オメガは涙を浮かべて、『仲間』の元へ、走っていった。


 仲間達は嬉しそうにオメガを抱きしめたのだった。

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