85話 オメガ
「お、オメガ……!」
サンが苦しそうに男の横で無表情にこちらを見ている少女に声をかける。
「君がボス。いや……オメガかい」
雷が収まったのを確認すると晴葵はオメガに声をかける。
「気安く話しかけるでない。人間」
「『ボス』は貴様ら人間と話すほど暇ではないのだよ」
オメガの横の男がニコリと言ってくる。
「お主が……スティグマでござるな」
匡也が男に声をかける。
「その通り。『ボス』の側近をさせてもらっているスティグマだ」
頷くスティグマ。
「オメガ!ウチだ!サンだ!オメガ!」
サンが声を枯らしながら叫ぶ。
しかし。
「……スティグマ。アレがうるさい。黙らせよ」
表情一つ変えず、命令するオメガ。
「かしこまりました」
オメガにお辞儀してこちらを見るスティグマ。
その顔は狂気の笑みを孕んでいた。
「ソンナ……オメガ……」
涙を浮かべるサン。
ヘータやショーも悲しそうな顔をしている。
「あ、当たり前だ……裏切り者を『ボス』は喜ばない」
ディガンマが苦しそうに言う。
「さらばだ」
スティグマが手を振ると、地面から針のような物が突き出して晴葵達に迫ってくる。
「このままじゃ、ディガンマ達も巻き添えだ!」
幸大が叫ぶ。
「『ボス』には弱者も必要ないのだよ」
ニタリと笑うスティグマ。
「そんな……」
絶望するサンピ達。
その顔を見て晴葵は下を向く。
「匡也、『デバッグソード』の領域を広げて、盾のようにするんだ。全員を守れるくらいの大きさにしてくれ」
「あぁ……わかった」
匡也がガラケーを使って巨大な盾を展開する。
針は晴葵の眼前の盾にぶつかり消滅する。
「……オメガ、君にとって『仲間』とは何だい。使い捨てて、利用できるかできないか。それだけの事かい?」
「それは……ぐっ!」
答えようとしたオメガは苦しそうに頭を抑える。
それに違和感を覚える晴葵。
「おぉ、『ボス』は苦しそうだ。人間め、我らの『ボス』を苦しめおって」
台本を読むかのようにオーバーに落ち込むスティグマ。
「これは……消さなくてはな!」
嬉しそうに叫ぶスティグマ。
手を上げると巨大なデータで作られた針山のようなものが大量に現れる。
「……なるほど。『ボス』にとって……俺たちは使い捨てだったか……」
諦めたように呟くディガンマ。
「いや、違うさ。あれはオメガの意思じゃない。スティグマの独断だ」
「気休めはよせ。こうなってはもう助からん……人間、巻き込んで……すまなかったな」
ディガンマがポツリと言う。
「……ごめんナ」
サンも泣きながら謝る。
全員が諦めかけた瞬間。
「おいおい、それが破壊プログラムだってのかぁ?ぬるいなぁ」
聞き覚えある声が空に響いた。
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