79話 距離感
あれから数日。
晴葵達は『ならふぁ』に旅行で必要なものや水着などを買いに来ていた。
そして、晴葵も水着を選ぼうとしたのだが。
「じゃーん!」
これで何度目になるか分からない文菜の水着披露に拍手を送る。
「いいねぇ。もう少し際どくてもいいんじゃないかな?」
「これ以上際どいのになると、ほとんど紐ですよ?」
実際、今の状態でも文菜はかなり攻めた水着だ。
「そうだねぇ。俺以外の男の目にもつくんだし、セクシー路線は残したままで、もうちょっと落ち着いたのにしようか」
「はーい」
普段なら変態モードを炸裂させるのだが、文菜の事となると少々自分のペースが崩れる。
他の男に文菜の肌を見られると思うと、なんだか胸が苦しくなる。
「まぁ、『仲間』だからだろうねぇ……」
そんな言い訳をわざと口に出してみる。
では、千弦なら?小弓なら?
そんな質問をされると返事出来なさそうだ。
晴葵の中で文菜と千弦&小弓に対する態度がハッキリと違う。
千弦&小弓には、怒られてでも、もっとエロさを求めただろう。
しかし、文菜にはしなかった。
「やれやれ、女子には平等がモットーだったんだけどねぇ……」
晴葵は文菜が着替えている試着室の前で困ったように笑って頭をかいた。
夕方。
いつも通りフードコートでの食事。
「まぁ、色々買えてよかったねぇ」
結局あの後晴葵は、文菜に勧められたちょいワルが履きそうなハイビスカス柄のサーフパンツを買った。
本当は『スペシャルバナナ』と書かれたサーフパンツがよかったのだが。
「海水浴なんて中学生以来だよ。水着買ったのもそう」
幸大が少し嬉しそうに水着を見ている。
「あら、私は海水浴と水着を買ったのなんて小学生以来よ」
もっと猛者がいた。
「文菜ちゃん、どんなのにしたのー?」
「なーいしょ」
「ねー、晴葵先輩?」と見上げてくる文菜。
思わず距離の近さに驚いてしまう。
「あ、あぁ……そうだね」
ぎこちなく頷く晴葵に文菜は満足そうだ。
「ふふふ、拙者は聖なる純白の翼が描かれたサーフパンツを選んだ!」
匡也が決めポーズで宣言する。
「誰もあなたの水着に興味ないわよ」
千弦が素っ気なく返す。
「な!ち、千弦殿が、私は漆黒の黒にするからって拙者に白のサーフパンツを選ばせておいてそれはなかろう!」
「ちょっと、なんでこの場で言うのよ!」
ギャイギャイと騒ぐ千弦と匡也。
この二人も思いのほか楽しく水着が選べたようだ。
「幸大先輩のは私が選びましたー!」
ピシィと小弓が手を上げる。
「お、そうなのかい?」
晴葵は幸大にニヤニヤと視線を向ける。
「い、いや。僕、水着の流行りとかわかんないから……女子の意見を聞こうと思って……」
顔を真っ赤にして弁明する幸大。
「私のも選んでくれたんだよねー!」
小弓が嬉しそうに幸大に笑いかける。
「なぬ!」
匡也が幸大を慌てて見る。
「え?私も晴葵先輩に選んでもらったけど?」
文菜もサラリと言ってのける。
「お、お主らああああああ!拙者も千弦殿の水着をチョイスしたかったでござるうううううう!」
「お断りね」
優雅にワンコイン以下のうどんを啜る千弦。
ワイワイと六人の旅行計画は進んでいった。
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